O for the wings of a dove《鳩のように飛べたなら》


O for the wings of a dove!
Far away would I rove!
In the wilderness build me a nest,
And remain there for ever at rest.
わたしに鳩の翼があったなら、
はるか彼方へさすらいゆくのに!
そして荒れ果てた地に巣をひとつかけて
とこしえにとどまって安らぎたい。

text: 詩編55:07-08
tune: Felix Mendelssohn Bartholdy(1809-1847)

本来は10分もあるドイツ語のアンセムHör mein Bitten《わが祈りを聞き給え》の、後半部分O könnt' ich fliegen《鳩のように飛べたなら》を独立させて英訳したもの。もちろんドイツ語版もある。技巧を要求されるソプラノ独唱(もしくは合唱が付随)で、ボーイソプラノの見せ場。
1980年頃に一世を風靡したボーイソプラノ歌手アレッド・ジョーンズ(当時はいかにもイギリスっぽい美少年だった&ジュネ全盛だった)のレコードが日本に紹介された際、このタイトルで知られるようになった。なお、アレッドは声変わり&激太り後紆余曲折を経て今はテレビリポーターに落ち着いている。よかったね。

Aled Jones
収録アルバム: Ave Maria


余談だが、『ねじの回転』で知られる作家ヘンリー・ジェイムズの長編小説に『鳩の翼』というのがある。貧しい恋人との結婚を反対されている没落貴族の娘ケイトは、身寄りがなく死病を患っているが裕福なアメリカ娘ミリーと友人になる。ミリーが自分の恋人に好意を寄せていることに気づいたケイトは、わざと恋人をミリーに接近させ、その財産を譲らせようと企む。ミリーはその企みに気づきつつも、遺産をふたりに残して死ぬ。タイトルとなっている「鳩の翼」は詩編55編からとられているのだが、これは信頼する味方から裏切られ、迫り来る脅威からの救済を祈り、そして裏切り者への復讐を願う詩なのである。ミリーは復讐することなく鳩のように三角関係から飛び去り安住の地を得るが、残されて希望通りに財産を手にしたふたりの後の破綻を予感させて物語は終わる。

ウィーン少年合唱団によるドイツ語版



オックスフォードニューカレッジ聖歌隊版



おまけ
古き良きジュネ時代を思わせる耽美な美少年たちを描く鳩山郁子の挿絵による、長野まゆみによるヤング向け絵本。《鳩のように飛べたなら》が劇中歌として登場する。

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by CockRobin96 | 2015-02-01 10:54 | Trackback | Comments(0)
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