Johnny, I hardly knew ye《ジョニー、あなただとわからなかった》

《CAUTION!! この記事には残酷な記述が含まれています》


When goin' the road to sweet Athy,
Hurroo, hurroo!
When goin' the road to sweet Athy,
Hurroo, hurroo!
When goin' the road to sweet Athy,
A stick in me hand and a drop in me eye,
A doleful damsel I heard cry,
Johnny, I hardly knew ye.
アシーの心良い道をゆけば、*1
(フレー、フレー!)*2
アシーの心良い道をゆけば、
(フレー、フレー!)
アシーの心良い道をゆけば、
手には杖、目には涙のしずく
悲しげなおとめの叫びを僕は聞いた*3
「ジョニー、あなただとわからなかった」*4

*With your drums and guns and guns and drums,
 Hurroo, hurroo!
 With your drums and guns and guns and drums,
 Hurroo, hurroo!
 With your drums and guns and guns and drums
 The enemy nearly slew ye.
 Oh darling dear, ye look so queer,
 Johnny, I hardly knew ye.
*太鼓と銃を持って、銃と太鼓を持って、
 (フレー、フレー!)
 太鼓と銃を持って、銃と太鼓を持って、
 (フレー、フレー!)
太鼓と銃を持って、銃と太鼓を持って、
 あなたは敵軍にあやうく殺されるとこだった
 ああ愛しい人、あなたはぞっとするような姿だわ
 ジョニー、あなただとわからなかった

Where are the eyes that looked so mild?
Hurroo, hurroo!
Where are the eyes that looked so mild?
Hurroo, hurroo!
Where are the eyes that looked so mild
When my poor heart you first beguiled?
Why did ye run from me and the child?
Johnny, I hardly knew ye.
*Refrain
あの優しい眼差しの両目はどこにいったの、
(フレー、フレー!)
あの優しい眼差しの両目はどこにいったの、
(フレー、フレー!)
あの優しい眼差しの両目はどこにいったの、
わたしの心を初めて奪った時の両目は
どうしてわたしと子供を置いて行ってしまったの?
ジョニー、あなただとわからなかった
*繰り返し

Where are the legs with which you run?
Hurroo, hurroo!
Where are the legs with which you run?
Hurroo, hurroo!
Where are the legs with which you run
When first you went to carry a gun?
Indeed your dancing days are done.
Johnny, I hardly knew ye.
*Refrain
駆け回る両足はどこにいったの、
(フレー、フレー!)
駆け回る両足はどこにいったの、
(フレー、フレー!)
駆け回る両足はどこにいったの、
先頭で出征した時にはあったのに
あなたとダンスを踊った日々もあったのに
ジョニー、あなただとわからなかった
*繰り返し

Ye haven't an arm, ye haven't a leg.
Hurroo, hurroo!
Ye haven't an arm, ye haven't a leg.
Hurroo, hurroo!
Ye haven't an arm, ye haven't a leg,
Ye're an ironless, boneless, chickenless egg
Ye'll have to be left with a bowl to beg.
Johnny, I hardly knew ye.
*Refrain
両腕もなく、両足もなく、
(フレー、フレー!)
両腕もなく、両足もなく、
(フレー、フレー!)
両腕もなく、両足もなく、
武器も持てず、立ち上がれず、親鳥に見放された卵みたい
これからはお椀を抱えて物乞いしなければならないわ
ジョニー、あなただとわからなかった
*繰り返し

But I'm happy for to see ye home.
Hurroo, hurroo!
Yes, I'm happy for to see ye home.
hurroo, hurroo!
Oh, I'm happy for to see ye home
All from the island of Ceylon.
So low in flesh, so high in bone.
Johnny, I hardly knew ye.
*Refrain
でもあなたが帰ってくれて嬉しいわ、
(フレー、フレー!)
そう、あなたが帰ってくれて嬉しいわ、
(フレー、フレー!)
ああ、あなたが帰ってくれて嬉しいわ、
セイロン島から戻る人は*5
生身の人は少なくて、骨になった人は多いから*6
ジョニー、あなただとわからなかった
*繰り返し

*1 アイルランドの地名。eyeやcryとの語呂合わせのために出てきただけ。
*2 「hurrah」は応援の時の「フレーフレー!」や「万歳!」を意味する掛け声。家族や恋人の帰還を喜ぶ、軍隊の凱旋の最中の悲劇の歌なのである。
*3 damselはおとめ、未婚のお嬢さんを意味する雅語。しかしこの後「どうして子供を置いて行ってしまったの」というセリフが出てくるので、ジョニーが戦争に行ってから子供が生まれたのだとわかる。
*4 ジョニーはもともと南北戦争時代の、北軍から見た南軍兵を指すスラング。
*5 Sulloon島とするバージョンもある。イギリス領セイロン島。現在のスリランカ。17世紀頃にオランダの植民地となったが、19世紀初頭にイギリスに奪い取られた。凱旋しているのはそのため。
*6 「セイロン島から戻る人は皆/肉は削げ落ちて骨ばかりだから」かもしれない。英語に詳しい人ヘルプ。

text: Joseph Bryan Geoghegan(?-?)と伝えられる。初出は1867年のロンドンのミュージックホールだが、このメロディにあてられたのはもっと後らしい。歌う人によって歌詞に差異がある。
tune: もともとはJohnny Fill Up the Bowl《ジョニーよ鉢を満たせ》というアメリカ民謡。南北戦争時代、Patrick Sarsfield Gilmore(1829-1892) によってWhen Johnny Comes Marching Home《ジョニーが凱旋するとき》という帰還兵を讃える歌詞があてられたが、そのさらなる替え歌としてこの《ジョニー、あなただとわからなかった》がとりあげられた。なぜかニコニコ大百科が詳しい。しかも元歌も敗残兵に鞭打つ内容でえぐい。
Johnny Fill Up the Bowl《ジョニーよ鉢を満たせ》


両腕ないのになんで杖持ってるんだという疑問が湧くが、まあ程度の軽い傷痍軍人が横目で見た悲しい光景とかだったのかもしれない。

ロビンのトラウマ映画、『ジョニーは戦場へ行った』の直接の元ネタになった歌である。ロビンだけ眠れないほど鬱になるのは不公平だから、ここにとりあげてトラウマを植え付けてやる
戦争から帰ってきて勝利に沸く凱旋の最中、言うなれば人間ダルマになった昔の恋人に遭遇するという、悲劇的な内容の歌。アメリカ発祥だが、その後イギリスでも広まり、反戦歌としての歌詞をあてられた。だからアイルランド民謡っぽく見えるが実は違うのである。が、アイルランドはイギリスに何かとひどい目にあわされる立場にあり、イングランド内戦を中心に戦争が絶えなかったせいか、「恋人が戦争に行ってしまった」系の歌がやたら多い。ジャガイモ飢饉とか鬼畜の所業。
シューラ・ルーン》でも一回とりあげたが、ダルトン・トランボの反戦小説および本人脚本による映画『ジョニーは戦場へ行った』はこれが元ネタである。第二次世界大戦勃発の1939年に発表され、戦争のたびに絶版と復刊を繰り返した。第一次世界大戦に出征した主人公ジョーは顔の大半と両手両足を失い、生きた肉塊として研究病棟に送られてしまう。触覚以外の全てをなくし、絶望したジョーの意識は現在と過去を行き来する。出征後の恋人の妊娠、見世物になって物乞いするなどの幻想が現れては消えるが、モールス信号を使っての意思疎通を思いつく。最初は痙攣の発作と思われ麻酔で妨害されるが、ついに理解する者があらわれる。ジョーは「見世物にしてくれ、さもなければ死なせてくれ」と頼むが…
こんなえげつない話書いた人が『ローマの休日』と同じ脚本家だなんて信じられない。

なお、恐ろしいことにこのジョーと同じ状態になりしかも10年生き続ける羽目になった人物が数人実在するそうである。怖くてググれない。誰かロビンの代わりにググって、そんな人はいなかったと教えてください。

追記:やけにアクセス数が多いと思ったら、劇場版『ガールズ&パンツァー』に《ジョニーが凱旋するとき》が取り上げられたので、そのついでだった。

The Irish Rovers
収録アルバム: The Irish Rovers 50 Years - Vol. 2



おまけ
トラウマでもくらえ!


さらにおまけ

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by CockRobin96 | 2015-10-21 23:49 | Trackback | Comments(2)
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Commented by みうりん at 2016-03-29 05:19 x
はじめまして。
英語がからきしなものでJohnny, I hardly knew yeの和訳を
こちらで拝見出来、嬉しかったです。
murder balladにも大変興味がありますが
いかんせん英語が…

ですのでこれからもお世話になります。
よろしくお願いします!
Commented by CockRobin96 at 2016-03-30 20:37
コメントありがとうございます!
このブログはところどころ訳しきれてなかったりしますが(肉と骨がどうなってるのか未だにわからない)、
なかなか日本語訳されない面白い歌をこれからも発掘していければと思っています。
殺人バラッドなんかは全然訳が出ない代表みたいなもんですね…
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