In the Bleak Mid-Winter《木枯らし寒く吹きすさび》

ホルスト版

ダーク版

ボブ・チルコット版 タイトルはMid-Winter《真冬のさなか》

In the bleak mid-winter
Frosty wind made moan,
Earth stood hard as iron,
Water like a stone;
Snow had fallen, snow on snow,
Snow on snow,
In the bleak mid-winter
Long ago.
寒々とした真冬のさなか
凍てつく風がうめき声をたてる。
大地は鉄のように硬く
水さえも石のよう。
雪は降り積もる、ずんずん
ずんずんと。
寒々とした真冬のさなか
昔むかしのこと。

Our God, Heaven cannot hold Him
Nor earth sustain;
Heaven and earth shall flee away
When He comes to reign:
In the bleak mid-winter
A stable-place sufficed
The Lord God Almighty,
Jesus Christ.
我らの神を、天も留め置けず
地も支え得ない。
天も地もいずれ逃げ去るだろう*1
やがて主の御代(みよ)となるときには。
だが今は寒々とした真冬のさなか
馬小屋の中で満ち足りておられる。
万能の神なる主
イエス・キリストが。

Enough for Him, whom cherubim
Worship night and day,
A breastful of milk,
And a mangerful of hay;
Enough for Him, whom angels
Fall down before,
The ox and ass and camel
Which adore.
主は乏しいことがない、智天使に
夜も昼も礼拝されるお方には
ミルクに満ちた乳房に
干し草に満ちた飼い葉桶がある。
主は乏しいことがない、天使たちも
その御前に倒れ伏すお方には
牛とろばとらくだが
かしずいている。

Angels and archangels
May have gathered there,
Cherubim and seraphim
Thronged the air -
But only His mother
In her maiden bliss
Worshipped the Beloved
With a kiss.
天使たちと大天使たちが
この場に寄り集い
智天使たちと熾天使たちが
大気にひしめく。
ただ主の母君だけが
すなわち至福のおとめが
最愛の御子を礼拝した
口づけでもって。

What can I give Him,
Poor as I am?
If I were a shepherd
I would bring a lamb;
If I were a wise man
I would do my part;
Yet what I can, I give Him -
Give my heart.
主に何を差し上げられるだろう
わたしのように貧しいものは。
もしもわたしが羊飼いなら
子羊を持っていくのに。
もしもわたしが賢者なら、
その才知を役立てるのに。
今はわたしにできることをさしあげよう
わたしの心をさしあげよう。

*1 「わたしはまた、大きな白い玉座と、そこに座っておられる方とを見た。天も地も、その御前から逃げて行き、行方が分からなくなった。」(ヨハネの黙示録20:11)より。キリストの再臨、最後の審判の後、善と正義に満ちた天地が新しく創造されることになっている。

text: Christina Georgina Rossetti(1830-1894)
tune: Gustav Holst(1874-1934) or Harold Darke(1888–1976) or Bob Chilcott(1955-)

クリスティーナ・ロセッティはイギリスの女流詩人で、ラファエル前派の雄ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの妹。兄やその仲間たちの絵のモデルをつとめたこともある。肺が弱く、引きこもりがちの人生だったので、アメリカの女流詩人ディキンソンとも比較される。
アニメ映画『風立ちぬ』で主人公がと口ずさむのが、クリスティーナの詩『風』を西條八十(やそ)が訳したもの。(「誰が風を 見たでしょう/僕もあなたも 見やしない…」)

クリスティーナがモデルとなったダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ『見よ、我は主のはしためなり(受胎告知)
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日本語訳詞に《木枯らしの風ほえたけり》または《木枯らし寒く吹きすさび》がある。
木枯らしの風 ほえたけり、
くろがねのごと 地は凍り、
雪ふりつみぬ いやしげく、
とおきむかしの 冬の日に。

わびしき冬の さなかにも、
君にゆたかに 乳はあり、
乾草(ほしぐさ)みてる 馬槽(まぶね)あり、
牛馬(うしうま)らくだ かこみつつ。

あまつつかいの うちつどい、
み空にみちて うたうとき、
み母はひとり みどりごを
口づけしつつ ほめまつる。

牧者(ぼくしゃ)なりせば こひつじを、
知者(ちしゃ)は知恵をぞ ささぐべき、
貧しきわれの イエス君(きみ)に
ささぐべきもの こころのみ。

ホルスト版
Choir of King's College, Cambridge/Stephen Cleobury
収録アルバム: Christmas At King's


ダーク版
Thomas Bullard/Choir of King's College, Cambridge/Benjamin Bayl/Stephen Cleobury
収録アルバム: A Festival of Nine Lessons and Carols



チルコット版
Commotio
収録アルバム: Chilcott: The Rose in the Middle of Winter

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by CockRobin96 | 2015-12-11 16:14 | Trackback(1) | Comments(1)
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Tracked from dezire_photo.. at 2016-01-06 16:27
タイトル : ミレイ、ロセッティ、バーン・ジョーンズの魅力
ラファエル前派Pre-Raphaelite Brotherhood 六本木ヒルズ・森アートセンターギラリーで、「ラファエル前派」でテート美術館所蔵の名画72点で紹介する美術展を開催されているので鑑賞してきました。この機会にラファエル前派」と称する美術の魅力と美術史における位置づけについて整理したて見ました。... more
Commented by desire_san at 2016-03-02 09:31
こんにちは。素敵な映画をご覧になりましたね。楽しく読ませていただきました。クリスティーナ・ロセッティはイギリスの女流詩人で、ラファエル前派の雄ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの妹で、ロセッティ『見よ、我は主のはしためなり(受胎告知)』のモデルとなったというのも興味深いですね。
私は『ラファエル前派 英国の夢』展を見て、今まで見たことのないラファエル前派の画家の傑作が多く見られて良かったと思いました。特にミレイ、ロセッティ、バーン=ジョーンズなどの作品の個性的な美しさには魅了されました。

特に印象に残った作品を選んで今までの基礎知識を交えて少し掘り下げて書いてみましたので、よろしかったら読んでいただけると嬉しいです。
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