An­gelus ad Vir­ginem《天使がおとめのもとに》

Stephen Cleobury版

アカペラ版

An­gelus ad vir­ginem
天使がおとめのもとに
Sub ­intrans in con­clave,
部屋の中におとずれた*1
Vir­ginis for­midinem
おとめが怖がったので
De­mul­cens, in­quit, 'Ave!
天使はなだめながら「おめでとう」と言った

Ave, re­gina vir­ginum;
「おめでとう、おとめにして女王よ、
Coeli ter­rae que Dominum
 天と地の主であるお方を
Con­cip­ies, Et pa­ries, In­tac­ta,
 処女でありながら身ごもり、宿しておられるのですから
Salutem hominum;
 人々の救いをもたらすために。
Tu porta coeli facta,
 あなたこそ天の門、*2
Medella criminum'
 罪人を癒すお方です」

'Quomodo conciperem
「どうして身ごもることができましょうか、
Quae virum non cognovi?
 男の人も知りませんのに?
Qualiter infringerem
 どうして罪を犯せましょうか、
Quod firma menti vovi?'
 心がけを確かにしておりますのに?」

'Spiritus Sancti gratia
「聖霊のみ恵みが
Perficiet haec omnia;
 全てをもたらしたのです。
Ne timeas, Sed gaudeas, Secura
 でも怯えないで、むしろ 安心して喜んでください
Quod castimonia
 あなたの貞節が
Manebit in te pura
 清らかなままであることを
Dei potentia.'
 これこそ神の力なのです」

Ad haec virgo nobilis
この高貴なおとめは
Respondens inquit ei:
天使にこう答えた
'Ancilla sum humilis
「わたしはいやしいしもべ
Omnipotentis Dei.
 全能の神に仕えるものです」

Tibi coelesti nuntio,
「天から遣わされた先触れよ、
Tanti secreti conscio,
 なんと大いなる秘蹟でしょう
Consentiens, Et cupiens Videre
 主がわたしを認め、望まれ、顧みられるとは
Factum quod audio;
 それをわたしが耳にするとは
Parata sum parere
 従う覚悟はありますわ
Dei consilio.'
 神の思し召しに」

Eia mater Domini,
ああ、主の御母よ
Quae pacem reddidisti
あなたは安らぎを取り戻させてくださる
Angelis et homini,
天使らにも人々にも
Cum Christum genuisti;
それもキリストが生まれ給うた時から

Tuum exora filium
 どうかあなたの御子に嘆願し
Ut se nobis propitium
 我らをとりなしてください
Exhibeat, Et deleat Peccata:
 罪を明らかにし、取り去ってください
Praestans auxilium
 助け導いてください
Vita frui beata
喜びと楽しみに満ちた生活へと
Post hoc exilium.
このさすらいの後に至れるように*3

*1 Conclaveは「鍵がかかっている」の意味。つまり密室に入ってきたのでびっくりしている。バチカンにおける教皇選出会議の語源。根くらべではない。
*2 「この門は閉じられたままにしておく。誰も開いてはならない。誰もここを通ってはならない。イスラエルの神、主がここから入られたからである。」(エゼキエル書44:1)より。神が通るときだけ開かれる門ということで、聖母マリアを「エゼキエルの門」「天の門」と呼ぶことがある。
*3 出エジプト記第16章における「荒野の四十年」、あるいはバビロン捕囚になぞらえている。

text&tune: 13世紀英国の作者不詳のキャロル

マリアは天使に言った。
「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」
「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。
だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。
あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。
不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。
神にできないことは何一つない。」
マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」
そこで、天使は去って行った。
(ルカによる福音書 第1章34-38節)

身に覚えもなく妊娠したのに安心して喜べとか無茶を言わないでほしい。
中世イギリスで非常に人気のあった、ラテン語によるキャロル。中世英語によるバージョンGabriel fram heven-king《天の王から遣わされたガブリエルは》もある。
チョーサー『カンタベリー物語』のうちの一つ「粉屋の話」に登場する軟派な学生ニコラスが、夜毎に竪琴で弾き語りをするのがこのキャロルである。
天使と処女の対話をテーマにした類似のキャロルに、Gabriel's Message《ガブリエルのお告げ》というのもある。

ムリーリョ「受胎告知」
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St. Albans Chamber Choir
収録アルバム: Christmas Across the Centuries


多分クレオベリー版
The Choir of Chester Cathedral, Benjamin Chewter and Philip Rushforth
収録アルバム: Glory to the New-Born King - Christmas Music sung by the Choir of Chester Cathedral

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by CockRobin96 | 2016-08-26 23:59 | Trackback(1) | Comments(0)
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