Cruel Shister≪残酷な姉≫



There lived a lady by the North Sea shore
Lay the bent to the bonnie broom
Two daughters were the babes she bore
Fa la la la la la la la la la
北の海辺の地に貴婦人が住んでいて
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)*1
ふたりの娘をみごもった
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

As one grew bright as is the sun
Lay the bent to the bonnie broom
So coal black grew the elder one
Fa la la la la la la la la la
ひとりは太陽のように輝かしく育った
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
姉の方は炭のように黒く育った
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

A knight came riding to the lady's door
Lay the bent to the bonnie broom
He'd traveled far to be their wooer
Fa la la la la la la la la la
ひとりの騎士が馬に乗って貴婦人の扉までやってきた
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
彼は姉妹の求婚者となるため遠くから旅してきた
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

He courted one with gloves and rings
Lay the bent to the bonnie broom
But he loved the other above all things
Fa la la la la la la la la la
騎士は手袋と指輪でもって求婚した
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
しかし彼が何にも増して愛したのは妹だった
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

Oh, sister will you go with me
Lay the bent to the bonnie broom
To watch the ships sail on the sea?
Fa la la la la la la la la la
「妹よ、わたしといっしょにいらっしゃい」
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
「船が海をゆくのを見に行きましょうよ」
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

She took her sister by the hand
Lay the bent to the bonnie broom
And led her down to the North Sea strand
Fa la la la la la la la la la
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
姉は妹の手をひいて
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)
北の海岸まで連れて降りていった

And as they stood on the windy shore
Lay the bent to the bonnie broom
The dark girl threw her sister over
Fa la la la la la la la la la
ふたりが風の強い岸辺に立ったとき
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
邪悪な娘は妹を突き落とした
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

Sometimes she sank, sometimes she swam
Lay the bent to the bonnie broom
Crying, "Sister, reach to me your hand"
Fa la la la la la la la la la
妹は時に沈み、時にもがいた
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
「お姉さま、わたしに手を貸して」と叫びながら
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

Oh sister, sister, let me live
Lay the bent to the bonnie broom
And all that's mine I'll surely give
Fa la la la la la la la la la
「姉さま、姉さま、命は助けて」
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
「わたしのものは全てさしあげるから」
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

Your own true love that I'll have and more
Lay the bent to the bonnie broom
But thou shalt never come ashore
Fa la la la la la la la la la
あなたの大切な恋人はわたしのものになるけれど
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
お前は二度と岸に上がって来られないだろう
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

And there she floated like a swan
Lay the bent to the bonnie broom
The salt sea bore her body on
Fa la la la la la la la la la
妹は白鳥のようにただよい
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
塩辛い海が彼女の遺体を運んだ
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

Two minstrels walked along the strand
Lay the bent to the bonnie broom
And saw the maiden float to land
Fa la la la la la la la la la
ふたりの吟遊詩人が海岸沿いを歩いていると
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
おとめが陸に流れ着いているのを見つけた
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

They made a harp of her breastbone
Lay the bent to the bonnie broom
Whose sound would melt a heart of stone
Fa la la la la la la la la la
ふたりは彼女の胸骨で竪琴を作った*2
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
その響きは石の心もとろかすほど
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

They took three locks of her yellow hair
Lay the bent to the bonnie broom
And with them strung the harp so rare
Fa la la la la la la la la la
ふたりはおとめの金髪の房を取り
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
このまれなる竪琴の弦とした
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

They went into her father's hall
Lay the bent to the bonnie broom
To play the harp before them all
Fa la la la la la la la la la
ふたりはおとめの父の屋敷に入った
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
皆の前で竪琴を奏でるために
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

But when they laid it on a stone
Lay the bent to the bonnie broom
The harp began to play alone
Fa la la la la la la la la la
しかしふたりが竪琴を石の上に置くと
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
竪琴はひとりでに鳴り出した
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

The first string sang a doleful sound
Lay the bent to the bonnie broom
The bride her younger sister drowned
Fa la la la la la la la la la
最初の弦は悲しげな響きで歌った
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
「花嫁が妹を溺死させた」と
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

The second string as that they tried
Lay the bent to the bonnie broom
In terror sits the black-haired bride
Fa la la la la la la la la la
二本目の弦を奏でようとすると
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
黒髪の花嫁は恐怖のあまり座り込んだ
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

The third string sang beneath their bow
Lay the bent to the bonnie broom
And surely now her tears will flow
Fa la la la la la la la la la
三本目の弦が弓で弾かれたなら
(枯れ草を愛らしいエニシダに積もう)
花嫁の涙が今にもあふれるだろう
(ファ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ ラ)

*1 bentは稲科の雑草、または枯れ草。エニシダは別名ほうき草。毒性があるが強心剤のもとにもなる。魔女はこれをたばねてほうきにして空を飛ぶという。
*2 胸骨は本来胸の真ん中にある肋骨があつまる平たい骨だが、単に肋骨のことかもしれない。水死体の骨で楽器作るとか頭おかCと思うだろうが、不幸な死を遂げた死者の骨が、歌うあるいは喋るなどして悪事を糾弾するというモチーフは多い。

チャイルドバラッド10番の民謡を、イギリスのフォークグループ「ペンタングル」が改変したもの。「枯れ草を愛らしいエニシダに積もう」というフレーズは示唆に富むが、実はRiddles Wisely Expounded《賢女問答》という全然無関係のバラッドからひっぱってきたというオチ。ちなみにこちらは騎士が出した謎を賢い娘が解いてみせるというもの。賢さに感じ入った騎士が娘と結婚するというオチもあれば、騎士の正体が悪魔で、正体を言い当てられ逃げて行くというオチもある。この場合はFalse Knight《偽騎士問答》とも呼ばれる。


きょうだい仲良くとはいうけれど、骨肉の争いは人類を含む全生物の創世からの命題である。他人ならつきあわなければいいだけのことだが、血縁ではそうはいかないので、思いあまって殺してしまうわけである。実際、他人による殺人より家族間での殺人の件数の方が多いという統計が出ている。また、バージョンによっては妹が姉を殺すこともある。
騎士が最初から妹だけに求婚すればいいのにと思うが、「姉より先に妹を嫁がせない」あるいは「姉妹そろって嫁ぐ」という風習は世界各地に見られる。
より原型に近いものとして《Twa Shisters》がある。
Twa Sisters(Binnorie)



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# by CockRobin96 | 2014-07-24 22:46 | Trackback | Comments(0)

Casey Junior《ケイシー・ジュニア》ダンボ


Casey Junior's coming down the track
Coming down the track
With a smoky stack
Hear him puffing, coming round the hill
Casey's here to thrill
Every Jack and Jill
ケイシー・ジュニアが戻ってくる*1
レールを降ってやってくる
モクモクする煙突をふりたてて
シュッシュッポッポッと丘を巡るのをお聞きよ
ケイシーがわくわくさせにやって来たよ
たくさんのジャックとジルのために*2

Every time his funny little whistle sounds
Everybody hurries to the circus grounds
Time for lemonade and Cracker Jacks*3
Casey Junior's back
Casey Junior's back
彼のひょうきんな口笛が響いた時はいつでも
みんなはサーカス広場へ急ぐんだ
レモネードとキャラメルコーンの時間だよ*3
ケイシー・ジュニアが帰ってきた
ケイシー・ジュニアが帰ってきた

text & tune: Frank Churchill and Ned Washington

*1 本来は列車事故で乗客を守って殉職した機関士ケイシー・ジョーンズ(1862-1900)という実在の人物の、末っ子のあだ名。ケイシーが乗っていた蒸気機関車がこの愛称で呼ばれるようになったとも。ケイシーの勇敢な死はバラッドとして歌われた。ディズニーはケイシー・ジョーンズを扱った『勇敢な機関士』という短編アニメを制作しているが、悲劇的な事故には触れず、あらゆる手段を使って指定時刻に間に合おうとするコミカルな機関士として描いている。
*2 マザーグースの《ジャックとジル》に由来する言い回し。男の子と女の子の総称。
*3 クラッカー・ジャックはアメリカのお菓子のブランドで、キャラメルコーンにピーナッツが混ぜてある。グリコキャラメルのようにおまけがついてきて、それを集めているコレクターもいる。

 ディズニー映画『ダンボ』に登場する劇中歌。これを書くためにあらためて『ダンボ』を見直してみたら、けっこうひどい話でワロタ。象のおばちゃんども大人げなさすぎだろ。それにダンボが大きくなって飛べなくなったらどうするんだろう? とりえがなくなるじゃないか。

 日本語による歌詞は、ケイシー・ジュニアが日本では知られていないため、「サーカス列車が来た」というだけのたわいない歌詞になっている。と思っていたが、新しい方の歌詞はちゃんと「ケイシー・ジュニア」の名前が入っている。

 サーカス乗せて汽車がゆく
 ウーウウー ポッポ ウーウウー
 野山越えてサーカス列車
 陽気な ポッポ 汽笛

 町から村へと響く
 そら来た 駆け出せ 列車だ
 サーカス乗せて列車がつく
 サーカス列車 ようこそ

勇敢な機関士ケイシー・ジョーンズ


収録アルバム: Dumbo / Bambi (Original Motion Picture Soundtrack)



現行日本語版


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# by CockRobin96 | 2014-07-18 23:45 | Trackback | Comments(0)

Hail Holy Queen《めでたし聖なる女王》


Hail Holy Queen enthroned above
Oh, Maria
Hail mother of mercy and of love
Oh, Maria
Triumph all ye cherubin
Sing with us sweet serafin
Heaven and Earth resound the hymn
Salve, Salve, Salve Regina
めでたし、天の聖なる女王となり給いし方、
おお、マリア!
めでたし、憐れみと愛のおん母よ、
おお、マリア!
こぞりて勝ち誇れ、ケルビムよ
共に歌え、やさしきセラフィムよ
天地に聖歌を響かせよ
「めでたし、めでたし、めでたし、女王よ!」と*1

Our life of sweetness here below
Oh, Maria
Our hope in sorrow and in love
Oh, Maria
Triumph all ye cherubin
Sing with us sweet serafin
Heaven and Earth resound the hymn
Salve, Salve, Salve Regina
この低きなる地での我らの人生の喜び
おお、マリア!
悲喜こもごもにありて我らの望み、
おお、マリア!
こぞりて勝ち誇れ、ケルビムよ
共に歌え、やさしきセラフィムよ
天地に聖歌を響かせよ
「めでたし、めでたし、めでたし、女王よ!」と

Alleluiah
Mater amater entermerata
Sontus sontus dominus
Virgo respice mater aspice
Sontus sontus dominus
Alleluiah

アレルヤ、
愛すべきおん母、汚れなきお方*2
聖なるかな、聖なるかな、主よ!
おとめとして顧みられ、母として望まれ給う
聖なるかな、聖なるかな、主よ!
アレルヤ


*1 salveはラテン語では本来「ごきげんよう」などの挨拶に近い意味。Aveと同じような扱い。とりあえず「めでたし」「幸いあれ」「おめでとう」などと訳される。
*2 ラテン語風と見せて意味不明の歌詞。ここのブログによれば、《O Sanctissima(至聖なる方)》の一節「mater amata, intemerata」がなまったものであろうとしている。

映画『天使にラブソングを』に登場する劇中歌。この歌でゴスペルを初めて知った人も多いだろう。グレゴリオ聖歌《Salve Regina(めでたし元后)》の歌詞を元にしたゴスペル風聖歌。参考にした楽譜がもしかすると歌詞間違ってるかもしれない。

収録アルバム: 天使にラヴ・ソングを・・・サウンドトラック

(絶版)

Kärntner in da Steiermårkによるカバー


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# by CockRobin96 | 2014-07-18 22:31 | Trackback | Comments(0)

People, Look East≪東方を見よ≫


People look east, The time is near
Of the crowning of the year.
Make your house fair as you are able,
Trim the hearth and set the table.
People look east, and sing today:
Love, the guest, is on the way.
東方を見よ、時は近し
新年が冠を戴くその時が。
あなた方の家屋をできる限りに清め、
ヒースを刈り込み、食卓を整えよ。*1
東方を見よ、今日は歌え、
恋人も、客人も、すぐに来る。

Furrows, be glad. Though earth is bare,
One more seed is planted there:
Give up your strength the seed to nourish,
That in course the flower may flourish.
People look east, and sing today:
Love, the rose, is on the way.
あぜ道よ喜べ、不毛であったのに、
一粒の種がそこに蒔かれたから。
その種にあなたの力を与えて育てはぐくめ、
必ずや花が満開になるだろう。
東方を見よ、今日は歌え、
恋人も、バラも、すぐに来る。

Birds, though you long have ceased to build,
Guard the nest that must be filled.
Even the hour when wings are frozen
He for fledging time has chosen.
People, look east and sing today:
Love, the bird, is on the way.
鳥たちよ、長らくねぐらを築けなかったものらよ
巣を守りその内を満たせ。
翼の凍てつく時があろうとも、
主が巣立ちの時を選び出してくださる。
東方を見よ、今日は歌え、
恋人も、鳥も、すぐに来る。

Stars, keep the watch. When night is dim
One more light the bowl shall brim,
Shining beyond the frosty weather,
Bright as sun and moon together.
People look east, and sing today:
Love, the star, is on the way.
星々よ目を離すな、暗い夜でも
今一度光をその鉢から溢れさせよ。
凍てつく大気のはざまできらめき、
太陽と月を合わせたほどに輝け。
東方を見よ、今日は歌え、
恋人も、星も、すぐに来る。

Angels, announce with shouts of mirth
He who brings new life to earth.
Set every peak and valley humming
With the news, the Lord is coming.
People look east, and sing today:
Love, the Lord, is on the way.
天使たちよ、歓呼の叫びで告げ知らせよ、
主は地に新たな命を給われる。
山も谷も皆ハミングする、
「主が来られた」という知らせを。
東方を見よ、今日は歌え、
愛しい方、主は、すぐに来られる。

*1 ヒース イギリスでは荒れ地によく生える植物。

text: Eleanor Farjeon (1881-1965)
tune: フランスの伝承曲

19世紀イギリスの女流児童文学作家エリナー・ファージョンによる詩を、フランスのメロディにつけたキャロル。彼女の著作はとくに石井桃子の翻訳によって早くから日本でも紹介されている。岩波少年文庫で『ムギと王さま』『天国を出ていく』などが現在でも入手できる。


Marty Haugen
収録アルバム: Night of Silence


リヴァプール大聖堂聖歌隊版


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# by CockRobin96 | 2014-07-16 23:57 | Trackback | Comments(0)

Psallite≪ほめ歌え≫


*Psallite
 Unigenito,
 Christo, Dei Filio,
 Psallite
 Redemptori,
 Domino, Puerulo,
 jacenti in praesepio.
*ほめ歌え、
 ひとり子を、
 キリストを、神の御子を、
 ほめ歌え、
 贖(あがな)い主を、
 主を、幼子を、
 飼い葉桶に横たわる方を。


**Ein kleines Kindelein
 liegt in dem Krippelein.
 Alle lieben Engelein
 dienen dem Kindelein
 und singen ihm fein.
**ひとりの小さな幼子が、
 飼い葉桶のうちで横たわっている。
 あまたの愛らしい天使達が
 この幼子にかしずき、
 その麗しさをほめ歌う。

*Refrain

***Singt und klingt,
 Jesu Gottes Kind,
 und Marien Söhnelein,
 und Marien Söhnelein,
 unserm lieben
 Jesulein im Krippelein
 beim Öchslein und beim Eselein.
***歌え、響かせよ、
 神の子イエス、
 マリアの小さな御子、
 マリアの小さな御子、
 我らの愛しい
 飼い葉桶の中の幼子イエス
 子牛と子ロバと共におられる方。

**Refrain

***Refrain

text & tune: composed by Michael Praetorius(1571-1621)

プレトリウスによって採取された、ドイツ語とラテン語の混交によるキャロル。

ジョット「生誕」
牛とロバが描かれている
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シャンティクリア版


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# by CockRobin96 | 2014-07-13 00:07 | Trackback | Comments(0)