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Finnegan's Wake《フィネガン家のお通夜(フィネガンズ・ウェイク)》


Tim Finnegan lived in Walken' Street
A gentleman Irishman mighty odd;
He seen a brogue so soft and sweet
And to rise in the world he carried the hod
ティム・フィネガンはウォーケン通りに住んでいた
紳士で、アイルランド男で、かなりの変わり者
なまりも心地よい優男(やさおとこ)*1
レンガ箱を担いで世過ぎをしていた

Tim had a sort of a tipplin' way
With a love of the liquor now he was born
To help him on with his work each day
Had a "drop of the cray-chur" every morn
ティムは飲み助といってもまあよかった
生まれてこの方酒が大好き
仕事の助けになるからと
毎朝「ウイスキーのひとしずく」をきこしめす*2

*Whack fol the da O, dance to your partner
Welt the floor, your trotters shake;
Wasn't it the truth I told you?
Lots of fun at Finnegan's wake!
*おっさんをひっぱたいて、パートナーとダンス、*3
 床を蹴飛ばし、足を振り振り
 俺のお喋りはほんとのことかな?
 フィネガン家のお通夜はお楽しみがいっぱい!*4

One mornin' Tim felt rather full
His head felt heavy which made him shake;
Fell from a ladder and he burst his skull
So they carried him home his corpse to wake
ある日ティムはしたたか飲み過ぎて
頭が重い気がしてかぶりを振ってみたら
はしごから落ちて頭蓋はめちゃめちゃ
それでみんなはお通夜のために遺体をティムの家に運び込んだ

Rolled him up in a nice clean sheet
Laid him out upon the bed;
A gallon of whiskey at his feet
A barrel of porter at his head
きれいで清潔なシーツでティムを包み
ベッドの上に寝かせてやり
足元にはウイスキー1ガロン
頭には黒ビールをひと樽*5

*Refrain
*繰り返し

His friends assembled at the wake
And Mrs. Finnegan called for lunch
First they brung in tea and cake;
Then pipes, tobacco and whiskey punch
友人一同がお通夜に集い
フィネガン夫人が昼食に招待
まずはみんなでお茶とケーキを持ち込み*6
それからパイプにタバコにウイスキーパンチ

Biddy O'Brien began to cry
"Such a nice clean corpse, did you ever see?
Tim mavournin, why did you die?"
Arragh, shut your gob said Paddy McGhee!
ビディ・オブライエンが泣き始めた*7
「こんなきれいな死体、見たことあって?
愛しいティム、どうして死んでしまったの?」*8
「あらまあ、お黙りよ」とパディ・マッギー

*Refrain
*繰り返し

Patty O'Connor took up the job
"Ah Biddy," says she, "You're wrong, I'm sure"
Biddy gave her a belt in the gob
Then left her sprawlin' on the floor
パティ・オコナーが仕事にかかった
「ああ、ビディったら」とパティ、「言い間違いよね、そうでしょ」
ビディはパティの口にベルトをぶっこみ
床に大の字にのしちゃった

Then the war did soon enrage
Woman to woman and man to man
Shillelagh-law was all the rage
And a row and a ruction soon began
それから戦いに火がついた
女は女に、男は男に、
みんなが怒鳴りあいいきりたち*9
すぐに罵りあいと喧嘩が始まった

Mickey Maloney lowered his head
And a bottle of whiskey flew at him
Missed, and fallin' on the bed
The liquor scattered over Tim!
ミッキー・マロニーが頭をかがめて
その上をウイスキー瓶が飛んでいく
それは外れてベッドに落ちて
お酒がティムにぶちまけられた!

Tim revives! See how he rises!
Timothy risin' from the bed
Sayin', "Whirl your liquor around like blazes
Thunderin' Jaysus! Do you thunk I'm dead?"
ティムが生き返った! ティムが起きてるよ!
ティモシーはベッドから起き上がって*10
言うことには、「そこら中お前らの酒でめちゃくちゃだ
とんでもねえこった! お前ら俺を死人だとでも思ってるのか!」

*Refrain
*繰り返し

*1 brogueは本来アイルランドやスコットランドで使われた頑丈な革靴。現在では穴飾りのあるオシャレ革靴。転じて、アイルランドなまり。
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*2 強い酒、特にウイスキーのことをcreatureと称し、さらになまってcray-churとも呼ぶ。
*3 恐らくは「whack for the daddy 'o」のこと。意味不明の囃し言葉。
*4 wakeは目覚める、起きているという意味だが、アイルランド地方では「通夜」「寝ずの番」を意味する(ずっとwakeしているから)。「死者が目覚める」ことにひっかけてもいる。
*5 porterは荷担ぎ人夫、転じてそのような労働者が好んで飲んでいた弱い黒ビール。
*6 brungはbringの過去形のなまり。フィネガン家の人が部屋に持ち込んだのか、友人達が自前で持ち込んだのかよくわからない。
*7 BiddyはBridget(ブリジット)の愛称だが、くちやかましいめんどり婆さんという意味もある。
*8 mavournin=my bonnie、my daringのこと。ゲール語の「mo mhuirnín」からきている。
*9 Shillelaghは本来ステッキがわりに使うコブのついた杖。Shillelagh-lawは口げんか、ののしりあいのこと。
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*10 ティムは元々ティモシーの愛称。
*11 Thundering=雷鳴が轟く音、転じて「ものすごく」という意味のスラング。 Jaysus=Jesus。英米人がよく言う「南無三!」。

text & tune: アイルランド民謡

また酒の歌か。

The Irish Rovers
収録アルバム: The Irish Rovers 50 Years - Vol. 1


おまけ

「ダブリン市民」「ユリシーズ」で知られるアイルランド人作家ジェイムズ・ジョイスの最後の小説。
死亡したが復活したティム・フィネガンを、原罪による転落からキリストの復活へ至る人類の象徴と見立て、ある一家族の物語を描くと見せかけて円環する人類の意識そのものを描こうとする一方で、神話だの言葉遊びだの当て字などを入れまくってふざけまくっているという、とっても難解な小説。
タイトルがFinnegan's WakeではなくFinnegans Wakeとなっているのは、「フィネガンたち」という意味を含んでいる。
このバージョンでは生き返ったティムはまた棺に戻される…らしい。
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by CockRobin96 | 2017-08-05 14:26 | Trackback | Comments(0)

Sliabh Geal Gcua《シュリーブ・ゲール・グクア》

youtubeはなし
BOYS AIR CHOIR
収録アルバム: BOYS AIR CHOIR

Ah! Sliabh Geal Gcua of the festivals,
'tis a-far o'er the sea I be
Sittin' sad and alone by the harbour wall,
desereted - dismal I be
'Tween me and my native homeland,
the yellow stream by my side
Oh! Sliabh Geal Gcua of the festivals,
is not my tale very sad?
ああ、祝祭の山シュリーブ・ゲール・グクアよ
わが身ははるか海の向こう
悲しくひとりぼっちで、堤防の上に座り込んでいる
見捨てられて−わたしはみじめだ
わたしと生まれ故郷の間は隔てられ
黄色く濁った海流のそばわたしは立ちすくむ
ああ、祝祭の山シュリーブ・ゲール・グクアよ
わたしの身の上話は悲しかろう?

Ah! If bat I were with my kinsfolk,
born of gentle line
When the healing rays of the sun
brightly fall from a cloudless sky
with the dew on the land nearby
Oh! Sliabh Geal Gcua, O what charity
if only it could be.
ああ、もしもわたしに身寄りがあって、
高貴な血筋に連なる生まれであったなら
太陽の癒しの光が
雲ひとつない空から輝かしくしたたるであろうに
それも恵みの露が置かれた地へと
シュリーブ・ゲール・グクアよ、なんという慈愛
あらん限り与え給え

It's my fate that I'd no learnin'
in the beautiful Gealic tougue
For to sing fine songs to ease my grief
the ocean wide I'd cross
And Sliabh Geal Gcua I'd see again
in all your splendour true.
Oh Daisy, dear, my darling are
with your hills and plains and glens
わたしがついに学び得ない定めだとしても
うるわしきゲールの言葉
悲しみを和らげる数々の良き歌を歌うための言葉がなくても
はるばる大洋を渡り
シュリーブ・ゲール・グクアに再びまみえるだろう
そのまことの輝きのただ中で
ああ雛菊の君よ、愛しい人よ*1
その丘よ、野辺よ、谷よ

To swim the mighty ocean
too weak I be, too feared beside
With the help of God I'll call on all my strength
to teach my Ireland shore
And be safe in the hills of the festivals,
the love of my heart.
果てしない大洋を泳ぐには
あまりにか弱く、そのうえ臆病なわたしだけれど、
神の助けによって力が呼び起される
わが島の岸辺に導き
祝祭の丘に無事たどり着くまで
わたしの心の恋人にたどり着くまで

*1 女性名でもあるが、かわい子ちゃんを指す言葉でもある。

text & tune: Pádraig Ó Miléadha (1877-1947)

この英訳詞はボーイズ・エアー・クワイア版のみで使用されている。原歌詞は全てアイルランド語で書かれている。Sliabhは山、Gealは輝くという意味。「輝けるグクア山」というほどの意味。グクアの意味はよくわからなかった。

アイルランド語版

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by CockRobin96 | 2017-05-07 09:17 | Trackback | Comments(0)

Dúlaman《デュラマン(海草)》McGlynn


A'níon mhín ó,
優しい娘や
sin anall na fir shúirí
ここへお前を口説きに男たちが来るよ
A mháithair mhín ó,
優しい母さん
cuir na roithléan go dtí mé
車を押してわたしの方にやって来るわ

*Dúlaman, dúlaman,
*海草、海草、
 dúlaman na binne buí
 黄色い崖の海草だよ*1
 Dúlaman na binne buí Gaelach
 アイルランドの黄色い崖の海草だよ
 Dúlaman, dúlaman,
 海草、海草
 dúlaman na farraige
 海で取れた海草
 Dúlaman na binne buí Gaelach
 アイルランドの黄色い崖の海草だよ

Rachaimid go Doire
デリーまで行ってきて*2
leis an dúlamán gaelach
アイルランドの海草を持って
Is ceannóimid bróga daora
そして上等の靴を買ってきてちょうだい
ar an dúlamán gaelach
アイルランドの海草で

*Refrain
*繰り返し

Bróga breaca dubha
黒い靴を履いた
ar an dúlamán gaelach
アイルランドの海草さん
Tá bearéad agus triús
ベレー帽に長ズボンの
ar an dúlamán gaelach
アイルランドの海草さん

*Refrain
*繰り返し

**Dúlaman na binne buí
 黄色い崖の海草
 Dúlaman na binne buí Gaelach
 アイルランドの黄色い崖の海草だよ
 Dúlaman na binne buí
 黄色い崖の海草
 Dúlaman na binne buí Gaelach
 アイルランドの黄色い崖の海草だよ

*Refrain
*繰り返し

**Refrain
**繰り返し

A'níon mhín ó,
優しい娘や
sin anall na fir shúirí
ここへお前を口説きに男たちが来るよ
A mháithair mhín ó,
優しい母さん
cuir na roithléan go dtí mé
車を押してわたしの方にやって来るわ

*Refrain
*繰り返し

Tá ceann buí óir
黄金(こがね)色の髪の
ar an dúlamán gaelach
アイルランドの海草さん
Tá dhá chluais mhaol
形のいい耳をした*3
ar an dúlamán gaelach
アイルランドの海草さん

*Refrain
*繰り返し

**Refrain
**繰り返し

*1 アイルランドはヨーロッパでは珍しく海草を食用にする。また、染料に粘りを出すために使われる。海草売りの行商人の口上がそのままリフレインとなっている。
*2 ロンドンデリーとも呼ばれる、アイルランドで4番目に大きい都市。
*3 英語ではblunt earsとなっている。先が丸いナイフなどをbluntという。先が丸い立ち耳の犬の耳もblunt ears。

text: アイルランド民謡
tune: Michael McGlynn(1964-) アイルランドの音楽グループ「アヌーナ」のディレクター。

「デュラマン」は海草の意。転じて、海草を集める人。アイルランドの海草でよく知られているのが、《ダウン州の輝ける星》にも言及されたゴールウェイ湾に浮かぶアラン諸島。海風はきつく、土地は痩せているどころか、岩ばかりで土がないので、海草と砂を混ぜて土を作り、畑にした。切り立った崖やケルト時代の遺跡は観光名所にもなっている。
アラン諸島のひとつ、イニシュマーン島の崖。
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アラン諸島レポ

本来もう少し長く複雑な歌詞だが、マクグラン版では小洒落た格好の羽振りのいい海草行商人が、娘を口説きに来るという他愛ない歌詞となっている。

Anuna
収録アルバム: The Best of Anuna


シャンティクリア
収録アルバム: Wondrous Love - A Folk Song Collection


おまけ1

アラン諸島旅行エッセイ。

おまけ2

アラン島の生活をテーマにした古いドキュメンタリー。
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by CockRobin96 | 2016-10-16 21:26 | Trackback | Comments(3)

Silent, oh Moyle《静かに、モイル》



ピアノ伴奏


ハープ伴奏


Silent, oh Moyle!
静かなれ、モイルよ*1
Be the roar of thy water,
吠え猛る大水よ、
Break not, ye breezes,
絶やすなかれ、海風よ
your chain of repose,
汝の憩いのひと時を、
While, murmuring mournfully,
嘆かわしきさざめきの間に間に
Lir's lonely daughter
リル王のひとり娘は*2
Tells to the night-star
宵の明星に語りぬ
Her tale of woes.
その痛ましき身の上の物語を

When shall the swan,
いづくの日にか白鳥は
her death-note singing,
自らの死の調べを歌う鳥は
Sleep, with wings
眠りにつき、その翼を
in darkness furl'd?
暗闇のうちにたたまん
When will heav'n,
いづくの日にか天は
its sweet bell ringing,
その優しき鐘の音を響かせて
Call my spirit from this stormy world?
わが霊を狂風の世より呼び戻し給わん

Sadly, oh Moyle!
悲しきかな、モイルよ
to thy winter-wave weeping,
すすり泣く冬の荒波よ
Fate bids me languish
運命の女神は我に苦難を強い給いぬ
long ages away;
はるか遠き昔より
Yet still in her darkness doth,
いまだ暗闇の中にありて
Erin lie sleeping,
エリンは伏して眠る*3
Still doth the pure light
いまださやかなる光は
its dawning delay!
黎明を告げざるなり

When will that day-star,
いづくの日にか日輪は*4
mildly springing,
ゆるやかに昇りいでて
Warm our isle with peace and love?
我らが島国をば安らぎと愛にて暖めん
When will heav'n,
いづくの日にか天は
its sweet bell ringing,
その優しき鐘の音を響かせて
Call my spirit to the fields above?
わが霊をいと高きところへと呼び戻し給わん

*1 北アイルランドの地名。呪いをかけられ白鳥となったリルの子供たちが過ごさねばならない、荒れる冷たい海の名でもある。
*2 この娘の名はフィヌーラ(フィンヌーラ)とされる。リルは本来はケルト神話の海の神で、『ブリタニア列王史』に登場するレイア王とも関連があるとされる(シェイクスピアの『リア王』の元ネタ)。
*3 エリンはアイルランドの美称。
*4 昼の星、つまり太陽の詩的な呼び方。

text :Thomas Moore(1779-1852) 原題はThe Song of Fionnuala《フィヌーラの歌》。ムーアはアイルランドの国民的な詩人。代表作はThe Last Rose of Summer《夏の名残のバラ》。
tune: おそらく民謡をJohn Andrew Stevenson(1761-1833)がアレンジしたもの。

ケルト神話『白鳥になったリルの子供たち』に由来する詩。リル王には三人の息子と一人の娘がいて、この上なく愛していたが、後妻がそれに嫉妬して、子供たちを白鳥に変えてしまった。子供たちは数百年間を呪いのためにさまよい続け、人間の声で自分たちの悲しい物語を歌い続けた。呪いは「北の男と南の女を結び合わせぬ限り人間に戻れない」というものもあれば、「聖者の鳴らす鐘の音を聞けば呪いは解かれる」というものもある。前者は野生の白鳥が同情して謎解きをし、「北の男」「南の女」と呼ばれる山に白鳥の架け橋を作ったというパターン、北の王と南の女王が結婚するというパターンがある。後者は、キリスト教を布教しに来た聖パトリック(アイルランドの守護聖人)が鳴らした鐘によって人間に戻る。
ただし、主題としては神話そのものよりも、18世紀頃から芽生え始めたアイルランド人としての意識に重点を置いている。飢饉やイギリスへの同化圧力に翻弄されるアイルランドを、安住の地を求めさまよい続ける白鳥と重ね合わせているのである。

ジェイムズ・ジョイスの短編集『ダブリン市民』では、辻音楽師が《静かに、モイル》を奏でるシーンが出てくる。

Méav
収録アルバム: Silver Sea


おまけ

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by CockRobin96 | 2016-05-12 22:13 | Trackback | Comments(0)

Dunluce castle《ダンルース城》


Once upon a time in Ireland
stood a castle proud and free.
On the stormy coast of Antrim
high above the Irish Sea.
Lords and ladies gathered nightly
in the great hall of the king.
Bread and meat and wine did flow,
bards would play and poets sing.
昔々のアイルランドに
誇らしげに城がそびえていた。
アントリムの荒れ模様の岸辺*1
アイルランドの海のはるか上に。
貴族も貴婦人も夜毎に集(つど)った
王様の大広間の中に。
パンと肉とワインに満ち溢れ、
吟遊詩人が詩歌を奏でたものだった。

McDonald was a chieftain bold
who dwelled in Dunluce with his clan.
Safe from ships upon the ocean
and from raiders on the land.
There he ruled for many years,
for Ulster was his wide domain.
Many tried to conquer him,
and many men have died in vain.
マクドネルは豪胆な首長*2
ダンルースに一族と住んでいた。
海上の船団も
地上の侵略者も防いだものだった。
長年彼が治めたところは
アルスター一帯の広い領地。*3
大勢が彼を征服しようとしたけれど
大勢が虚しく倒れていった。

*Dunluce castle fell to no man,
sword, or pike, or cannon ball,
Roving clans or Spanish foeman,
Dunluce stood against them all.
*ダンルース城は誰にも落とせない
 剣にも、矛にも、砲弾にも
 流浪の民にもスペイン兵にも
 ダンルース城は立ち向かって倒れなかった。

When a fleet of Spanish raiders
sailed across the raging main,
Sure that victory was at hand
and glory for the king of Spain.
McDonald met them with full storm,
and loudly did the cannons roar,
The tide of Spain was turned away
and vanished from the Irish shore.
スペイン艦隊の侵略者たちが、
荒れ狂う大海原を越えてやってきた。
勝利を手に入れるため、
栄光をスペイン王に捧げるために。
マクドネルは大嵐とともに彼らにあいまみえ*4
砲声がとどろきわたった。
スペイン軍はきびすを返して、
アイルランドの浜辺から消え失せた。*5

*Refrain
*繰り返し

Then one night a storm came in
and loudly did the north wind blow,
Walls of stone came crumblin' down
and fell into the sea below.
Fate was cruel as many souls
were lost against the raging might,
Nature did what no man could
on a dark and stormy night.
ある夜嵐がやってきて、
北風が吹き騒いだ。
石の壁は微塵(みじん)に崩れて
海の中へ落ちていった。*6
運命は残酷だ、大勢の霊魂が
荒ぶる暴力の前に失われたという。
自然が誰にもできないことをやり遂げた、
暗い嵐の夜だった。*7

*Refrain
*繰り返し

*1 北アイルランド北東部。
*2 16世紀頃、スコットランド系の氏族MacDonnell of AntrimとMacDonald of Dunnyvegがこの城に入った。
*3 アイルランド北部にあった旧王国。
*4 stormは猛襲するという意味もある。
*5 1588年、スペインの無敵艦隊がアルマダ海戦で敗走した際、一部はカトリック仲間が多いスコットランドに助けを求めてアイルランド沖をルートに選んだ。しかし悪天候とアイルランド海岸の複雑な地形に対応しきれず、次々と難破した。スペイン艦隊は戦闘によってよりも、帰路においての溺死や餓死による死者の方が多かったのである。当時のダンルース城主は海岸に累々と流れ着いたスペイン兵の遺体を集め、聖カスバート教会に埋葬してやったとも、アイルランド沖で難破したジローナ号の部品や宝物を引き上げて城を補強したとも言われている。
*6 1639年の嵐で、城のキッチン部分が海に崩落し、料理人たちと使用人たちが犠牲になった。以来ついに住むものがいなくなった。
*7 スヌーピーが小説の書き出しとしていつも使う文章でもある。ちなみに元ネタがあり、E.ブルワー=リットンの小説『ポール・クリフォード』の冒頭文。「ペンは剣よりも強し」という言葉を作った人だが、冒頭文が駄文なことに定評がある。一応『ポンペイ最後の日』とかゴシックホラー小説は評価されとるんやで?

text&tune: George Millar(1947-) 民謡っぽく聞こえるけど実は民謡ではないんですよ。

海上にそびえる廃城として有名な観光地、ダンルース城の歌。レッド・ツェッペリンのアルバム『Houses Of The Holy』のジャケットに使われたことでも有名。

他にもナルニア国物語のケア・パラベル城のモデルになったり(ロケに使われたかどうかは知らん)、ジャッキー・チェン主演の『メダリオン』のロケ地に使われたりしている。


The Irish Rovers
収録アルバム:The Irish Rovers 50 Years - Vol. 2


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by CockRobin96 | 2015-11-17 21:05 | Trackback | Comments(0)

Be Thou My Vision《君は我のまぼろし》


Be thou my vision,
O Lord of my heart,
Be all else but naught to me,
save that thou art;
Be thou my best thought
in the day and the night,
Both waking and sleeping,
thy presence my light.
あなたはわたしのヴィジョン、*1
わたしの心の主。
わたしが一切において無価値でも、
それを救ってくださるのはあなたです。
あなたはわたしのこよなき思考、
昼も夜も。
目覚めているときも眠っているときも、
あなたの存在はわたしの光。

Be thou my wisdom,
be thou my true word;
Be thou ever with me,
and I with thee, Lord;
Be thou my great Father,
and I thy true son;
Be thou in me dwelling,
and I with thee one.
あなたはわたしの知恵、
あなたはまことのみ言葉。*2
あなたはとこしえにわたしと共に居られ、
わたしはあなたとともにあります、主よ。
あなたはわたしの偉大な父、
わたしはあなたのまことの子。
あなたはわたしのうちに住まわれ、
わたしはあなたと一体です。

Be thou and thou only
the first in my heart;
O Sovereign of heaven,
my treasure thou art;
Great heart of my own heart,
whatever befall,
Still be thou my vision,
O Ruler of all.
あなたこそ、そしてあなただけが
わたしの心の要
天の統治者よ、
あなたこそわたしの宝物
わたしの心のうちの大いなるみたま、
たとえ何が起ころうとも、
あなたは変わることなくわたしのヴィジョン、
万物の支配者よ。

*1 visionは単に視覚という意味のほか、神が預言者などに見せる幻、先を見通す力、未来の展望などさまざまな意味を持つ。
*2 イエスの比喩。→《父の御言葉が人となる

text: 古いアイルランドの詩『Bí Thusa 'mo Shúile』のEleanor Hullによる英訳。チルコット版では4番と5番の歌詞を切り貼りして3番にしている。
tune: Bob Chilcott(1955-) チルコットはオックスフォードを拠点とするイギリス人の音楽家。

この曲はもともと聖歌として別メロディの方がよく知られている。通称《slane》(アイルランドの地名)と呼ばれる民謡で、日本語訳では《こころみの世にあれど》(江口忠八訳)、《きみはわれのまぼろし》(中田羽後訳)がある。映画『リバー・ランズ・スルー・イット』の劇中歌としても使われた。牧師の父と、その二人の息子が釣りを通じて絆を育むが、やがて兄弟で異なる進路を選び、その先に続く一家の運命を描く。

slaneのメロディによるBe Thou My Vision


《こころみの世にあれど》(初音ミクしかなかったんや)



St Mary's Cathedral Choir, Frikki Walker
収録アルバム: Listen


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by CockRobin96 | 2015-10-19 22:21 | Trackback | Comments(0)

O Danny Boy(Londonderry Air)《ダニー・ボーイ(ロンドンデリーの歌)》


O Danny Boy,
the pipes, the pipes are calling
from glen to glen
and down the mountainside;
the summer's gone and all the roses falling
'tis you, 'tis you must go and I must bide.
ああダニー・ボーイ、
バグパイプの音が呼んでいるわ。*1
谷間から谷間へ響き、
山の斜面を駆けおりる。
夏は過ぎる、バラは皆枯れ落ちる。
そしてあなたは行く、わたしは待つ。

But come ye back
when summer's in the meadow
or when the valley hushed
and white with snow;
'tis I'll be here
in sunshine or in shadow.
O Danny boy, o Danny boy,
I love you so.
でももしもあなたが戻ってきたら、
夏の草ざかりにも、
谷が静まりかえって、
雪で白くなる頃にでも、
わたしここにいるわ、
日向の時も日陰のときも。
ダニー・ボーイ、ダニー・ボーイ、
わたしはあなたが大好きよ。

But if ye come
and all the flow'rs are dying,
if I am dead,
as dead I well may be,
You'll come and find
the place where I am lying
and kneel and say an Ave there for me.
でももし、あなたが帰ってきて
花が全部枯れていたら。
もしわたしが死んでたら、
きっと死んでいるでしょうけど、
あなたは探し出してくれるでしょう、
わたしが眠っている場所を。
そしてひざまずいてお祈りしてくれる、わたしの為に。*2

And I shall hear,
though soft, you tread above me
and all my grave shall warmer, sweeter be
for you will bend
and tell me that you love me
and I will sleep in peace
until you come to me.
わたしはきっと聞くでしょう、
あなたがわたしの上をやわらかく踏む音を。
そしてわたしのお墓は温かくやわらぐ、
あなたが身をかがめて、
わたしに愛してるよって言ってくれるから。
わたしは安らかに眠るでしょう、
あなたがわたしのもとに帰る日まで。

*1 バグパイプというとスコットランドのもの(いわゆるグレートハイランドバグパイプ)が有名だが、アイルランドでもよく使われる楽器。他にふいごを肘につけるアイルランド独特の「イリアンパイプス」というタイプもある。この場合は作詞者がどっちを想定してるのかはわかりません(だって生粋のイギリス人だもん)。古くはバグパイプの音を戦闘開始の合図にしていたといい、戦争を予感させる音を暗示している。
*2 Aveといえばラテン語で「めでたし」とか「ごきげんよう」とかいう意味になるが、ここでは「アヴェ」で始まるお祈りを指している。なぜならアイルランドはカトリックが多いから。

text: Frederic Edward Weatherly(1848–1929) バース在住の弁護士であったが、三千もの歌に歌詞をつけた作詞家でもあった。なかにし礼の「おおダニーボーイ いとしきわが子よ  いずこに今日は眠る…」の訳詩もある。
tune: アイルランド民謡。通称Londonderry Air《ロンドンデリーの歌》。ロンドンデリー在住だったジェイン・ロスに採取されたことに由来する。アイルランド人にとっての事実上の国歌。作詞者のウェザリーは、アメリカ在住の義妹からこのメロディを紹介してもらい、ダニーボーイの歌詞をあてた。また聞きのまた聞きである

元来はタイトルも歌詞もない器楽曲であり、しかもロス以前に言及された事がないという謎のメロディだった。その後研究により、伝承曲Aislean an Oigfear《若者の夢》及びThe Confession of Devorgilla《デヴォージラの告白》のバリエーションのひとつであったことがわかっている。メロディが出版されて以降多くの歌詞がつけられたが、もっとも有名なバージョンがこの《ダニー・ボーイ》。恋人同士の歌とも読めるが、出征する息子を送る親の歌という説もある。そしてその場合大体「父親」の気持ちという意見が多いらしい。母親にしちゃったよ!
この歌詞が作られた1910年は第一次世界大戦勃発前。
第二次世界大戦中のイギリス兵たちを描いた映画『メンフィス・ベル』、アイルランド系ギャングの友情と美学をテーマにした『ミラーズ・クロッシング』でも劇中歌として使われている。

もっと詳しい解説

日本語の歌詞をあてた聖歌『この世の波風さわぎ』



The Kings Singers
収録アルバム: Folk Songs Of The British Isles


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by CockRobin96 | 2015-05-30 21:14 | Trackback | Comments(0)

Star of the County Down《ダウン州の輝ける星》Swingle Singers


Near Banbridge town, in the County Down
One morning in July
Down a borreen green came a sweet colleen
And she smiled as she passed me by.
Oh she looked so neat from her two white feet
To the sheen of her nut-brown hair
Such a coaxing elf I'd to shake meself
To make sure I was really there.
ダウン州のバンブリッジ・タウンのそば、
七月の朝のことさ
緑の野辺を愛らしいアイルランド娘が降りてきて
そして通りがかった俺に微笑みかけたんだ
ああ、彼女はそれは素敵だった、二本のまっ白い足から、
亜麻色の髪の先のきらめきまで
こんな魅惑的な妖精がいるのかと、俺は頭を振ってみた、
俺がちゃんと生きてるのか確かめようと。

*From Bantry Bay up to Derry Quay
And from Galway to Dublin Town
No maid I've seen like the brown colleen
That I met in the County Down.
 バントリー湾からデリー波止場にあがり
 ゴールウェイからダブリンまで行っても、
 亜麻色の髪のアイルランド娘ほどの乙女はあるまい
 俺がダウン州で逢った娘ほどのは。

As she onward sped I scratched my head
And I gazed with a feeling quare
There I said, says I, to a passer-by
"Who's the girl with the nut-brown hair?"
Oh he smiled at me and with pride says he,
"That's the gem of Ireland's crown.
 Young Rosie McCann from the banks of the Bann,
 She's the star of the County Down."
*Chorus
彼女は走り去り、俺は頭をかき乱して、
激しい想いを抱いて彼女を見つめていた。
俺は聞いた、道行く人に尋ねたのさ
「あの亜麻色の髪の娘は誰なんだい?」
ああ、そいつは微笑んで得意げに俺に言った、
「あれこそアイルランド王の冠の宝石、
 バンの土手から来たうら若きロージィ・マッカン、
 彼女こそダウン州の輝ける星。」
*くりかえし

At the harvest fair she'll be surely there
And I'll dress in my Sunday clothes
And I'll try sheep's eyes and deludhering lies
On the heart of the nut-brown rose.
No pipe I'll smoke, no horse I'll yoke
Tho' my plough with rust turn brown
'Til a smiling bride by my own fireside
Sits the star of the County Down.
*Chorus
収穫祭にもあの娘はきっとくるだろう
俺は日曜日用のきれいな服を着よう
流し目を送り、あざむきすかして
亜麻色の薔薇の心を掴もう。
パイプもふかさない、馬にもくびきをかけない
くわが赤錆で茶色になったとしても
俺んちの炉辺に微笑む花嫁が
ダウン州の輝ける星が座ってくれるまでは。
*繰り返し

test & tune: アイルランド民謡

アイリッシュ・ローバーズバージョンも参考のこと。
ちらっと見初めた女の子をストーカーする(そこまで言ってない)上にやや謎めいた歌詞(ロージィ・マッカンとは何者なのかとか)の割に、非常に人気の高い民謡で、多くのシンガーがカバーしている。なので、以下に色んなバージョンを集めてみた。

オーソドックス・ケルツ


キングス・シンガーズ


ヴァン・モリソン&チーフタンズ


スウィングル・シンガーズ版



オーソドックス・ケルツ版



キングス・シンガーズ版



チーフタンズはなかった
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by CockRobin96 | 2015-01-09 22:10 | Trackback | Comments(0)

Star of the County Down《ダウン州の輝ける星》Irish Rovers


Near Banbridge Town in the County Down*1
One morning last July,
Down a boreen green came a sweet colleen
And she smiled as she passed me by.
She looked so sweet from her two bare feet
To the sheen of her nut brown hair.
Such a coaxing elf, sure I shook myself
For to see I was really there.
ダウン州のバンブリッジ・タウンのそば、
去年の七月のある朝のことさ
緑の野辺を愛らしいアイルランド娘が降りてきて
そして通りがかった俺に微笑みかけたんだ
ああ、彼女はそれは素敵だった、二本のまっ白い足から、
亜麻色の髪の先のきらめきまで
かくも魅惑的な妖精に、俺はほんとにびっくりした、
俺が見たものは現実かと。

*From Bantry Bay up to Derry Quay and
From Galway to Dublin Town,
No maid I've seen like the fair colleen
That I met in the County Down.
*バントリー湾からデリー波止場にあがり
 ゴールウェイからダブリンまで行っても、
 この美少女ほどの乙女はあるまい
 俺がダウン州で逢った娘ほどのは。

As she onward sped, sure I scratched my head,
And I looked with a feelin' rare,
And I say's, say's I, to a passer-by,
"Whose the maid with the nut brown hair"?
He smiled at me and he says's, say's he,
"That's the gem of Ireland's crown.
It's Rosie McCann from the banks of the Bann,
She's the star of the County Down".
*Chorus
彼女は走り去り、俺は頭をかきむしり、
心を高ぶらせて彼女を見つめていた。
俺は聞いた、道行く人に尋ねたのさ
「あの亜麻色の髪の娘は誰なんだい?」
ああ、そいつは微笑んで俺に言った、言ったのさ
「あれこそアイルランド王の冠の宝石、
 バンの土手から来たロージィ・マッカン、
 彼女こそダウン州の輝ける星。」
*くりかえし

She had soft brown eyes with a look so shy
and a smile like a rose in June.
And she sang so sweet what a lovely treat,
as she lulled to an Irish tune.
At the patterns dance i was in the trance
As she whirled with the lads of the town.
And it broke my heart just to be apart,
From the star of the County Down.
*Chorus
はにかみを含んだやさしい茶色の瞳、
六月の薔薇のようなほほえみ。
なんと愛らしい節回しで歌うのか、
彼女がアイルランドの歌を口ずさむ時は。
パトリック祭のダンスで俺は呆然となった、*2
彼女が町中の若い連中とくるくる踊っていたから。
俺の心が砕かれたのはまさにそのとき、
ダウン州の輝ける星と離ればなれになってから。
*くりかえし

At the Harvest Fair she'll be surely there
And I'll dress in my Sunday clothes,
With my shoes shone bright and my hat cocked
Right for a smile from my nut brown rose.
No pipe I'll smoke, no horse I'll yoke
Till my plough turns rust coloured brown.
Till a smiling bride, by my own fireside
Sits the star of the County Down.
*Chorus
収穫祭にもあの娘はきっとくるだろう
俺は日曜日用のきれいな服を着よう
靴を磨いてピカピカにし、帽子を傾けて、
亜麻色の薔薇の前ではお行儀よくしよう。
パイプもふかさない、馬にもくびきをかけない
くわが赤錆で茶色になったとしても
俺んちの炉辺に微笑む花嫁が
ダウン州の輝ける星が座ってくれるまでは。
*くりかえし

*1 カウンティは「県」と訳することもある。ダウン州は北アイルランド(一応イギリスに組み込まれている)の州の一つ。「嵐が丘」や「ジェーン・エア」で有名なブロンテ姉妹のお父さんがダウン県の出身なので、「ブロンテ州」という愛称がある。バンブリッジまで行商に行ったときに何故かミルトンの「失楽園」を買ってきた変な人。貧しい職人から身を起こしてケンブリッジ大学に入り、牧師になったとても偉い人。でも子供たちが軒並み早死に。
*2 聖パトリック(聖パトリキウス)はアイルランドにキリスト教を伝えた人物で、アイルランドの守護聖人。祝祭日は3月17日で、アイルランド他アイルランド系移民が多いアメリカでも盛大に祝われる。この日はシンボルとしてシャムロック(クローバーやカタバミなどの三つ葉の葉っぱの総称)か緑のものを身につける。

text&tune: アイルランド民謡

アイルランドの民謡。歌詞は何パターンかあり、ここではアイリッシュ・ローバーズによる歌詞を対訳。
「星」の意訳として「カウンティ・ダウンのピカ一娘」という邦題もある。
聖歌集に取り入れられて、『主のみ手はかつて』という聖歌で使われた。
メロディの通称は「Kingsford」、何故かイギリス民謡ということになっていた。ヴォーン・ウィリアムズが編集したせいかもしれん。
陰口叩いたら対訳サイトにリンク貼ってくれたけど今度は旧館の方貼られてしまったお。問題があればいってくださいっつったってわざわざアカウントつくらなきゃコメントできないやんけ。

主のみ手はかつて》(ニコニコに飛びます)

The Irish Rovers
収録アルバム: The Irish Rovers' Gems


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by CockRobin96 | 2015-01-09 21:57 | Trackback | Comments(0)

The Wren in the Furze《金雀枝の中の鷦鷯》



The wren oh the wren he's the king of all birds,
On St. Stevens day he got caught in the furze,
So its up with the kettle and its down with the pan
Won't you give me a penny for to bury the wren.
ミソサザイよミソサザイ、彼こそは万鳥の王*1
聖ステファノの日にエニシダのしげみで捕らえられ、*2 *3
その身はやかんと共にあげられ、鍋と共におろされる
ミソサザイを葬るために1ペニーのおめぐみを

Oh its Christmas time that's why were here,
Please be good enough to give us an ear
For we'll sing and we'll dance if you give us a chance,
And we wont be comin' back for another whole year.
このクリスマスの時に我らがここにいる訳を
存分にお聞かせしますから耳をお貸しください
あなたがたが望めば我らが歌い踊るその訳を
そして毎年ここに戻って来たがる訳を

We'll play kerry polkas, they're real hot stuff,
We'll play the masons apron and the pinch of snuff,
Jon Maroney's jig and the Donegal reel,
Music made to put a spring in your heel.
《ケリー・ポルカ》を踊ろう、激アツだ*4 *5
《メイソンのエプロン》や《嗅ぎタバコひとつまみ》を踊ろう*6 *7
《ジョン・マロニーのジグ》と《ドニゴールのリール》も*8 *9
音楽はみなのかかとを浮き立たせる

If there's a drink in the house, may it make itself known,
Before I sing a song called "the Banks of the Lowne",
And I'll drink with you with occasion in it
For my poor dry throat and Ill sing like a linnet.
お屋敷に酒があるならすぐにわかる
《ラウンの土手》という歌を歌う前にはね*10
機会さえあればあなたがたと飲みましょう
みじめに乾いた喉をうるおし、ヒワのように歌うため

Oh please give us something for the little birds wake,
A big lump of pudding or some Christmas cake,
A fist full o' goose and a hot cup o' tay
And then we'll soon be going on our way.
小鳥たちを目覚めさせるために何かおめぐみを
クリスマスプディングかケーキの大きなかたまりを
ガチョウの丸焼きにあたたかい紅茶を一杯
そしたらすぐにここから立ち去りますとも

*1 スズメよりも小さい、地味な茶色の鳥。しかし古くから「鳥の王」「冬の王」「旧年の象徴」とみなされていた。冬至の日にこの鳥を殺して葬列を組み、家々をめぐって施しを乞い、新年を迎えるという風習があった。新年の象徴であるコマドリ(ロビン)とカップリングされることもある。ヨーロッパの民話によれば、鳥たちの王を決めるために鷲と競争し、鷲を出し抜いて王になったという。
 不思議なことに古代日本でも「鳥の王」というイメージがあり、古事記と日本書紀に登場する仁徳天皇は、「おおさざきのみこと(偉大なミソサザイの君くらいの意味)」という名で呼ばれる。
*2 聖ステファノは新約聖書使徒言行録に登場する人物で、12月26日の聖人。この日は「ボクシング・デイ(箱の日)」と呼ばれ、25日にも働いていた人たちをねぎらってプレゼントしたり、恵まれない人たちのために募金をつのったりする。
*3 黄色い花をつけるハーブ。毒性アルカロイドを持つが、使い方次第では薬にもなる。ケルトでは太陽神の象徴とされ、キリスト教以後も妖精や魔法に関連するとされた。魔女はこのエニシダで魔法の箒を作るとされる。
*4 ケリーはアイルランドの南西部にある湖沼の多い山岳地帯。
*5 hot stuffは直訳すると「熱いモノ」。「エロい奴」という意味のこともある。
*6 「メイソンのエプロン」とは本来石工などが作業の際につけるエプロン。転じて、石工の組合であったフリーメイソンのメンバーが着用する、またはシンボルとして使用するエプロン。さらに転じて、このエプロンをつけて踊るアイルランドのダンス曲のひとつ。
*7 「嗅ぎタバコひとつまみ」これもダンス曲のひとつ。全部ここに載せるとブログが重くなるので、適当にYoutubeでぐぐってください。
*8 *9 *10 いずれもアイルランド音楽の曲名と思われるが、《ジョン・マロニーのジグ》(あるいは《Old John's Jig》のことか?)と《ラウンの土手》は現存しない模様。知ってたら誰か教えてください。

 アイルランド音楽尽くしのにぎやかな曲。《We Wish Your Merry Christmas》と同じく、貧しい人などがほどこしを求める歌の一種。次々と曲名をあげるのは、「何かくれないとお前の家の前で延々と歌いまくってやるぞ」という脅迫にも取れる。

参考文献:ソフィア・モリソン『マン島の妖精物語』ニコルズ恵美子訳



(CDのみ)

West of Eden版


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by CockRobin96 | 2014-06-28 11:15 | Trackback | Comments(0)