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Oranges and Lemons《オレンジにレモン》


Oranges and lemons,
Say the bells of St. Clement's.
「オレンジにレモン」と*1
聖クレメントの鐘が言う

You owe me five farthing,
Say the bells at St. Helen's.
「お前に5ファージング貸しがあるぞ」と*2
聖ヘレンの鐘が言う

When will you pay me?
Say the bells of Old Bailey.
「いつ支払ってくれる?」と
オールド・ベイリーの鐘が言う

When I grow rich,
Say the bells of Shoreditch.
「お金持ちになったらね」と
ショアディッチの鐘が言う

When will that be?
Say the bells of Stepney.
「いつなるの?」と
ステップニーの鐘が言う

I do not know,
Say the great bell of Bow.
「知らないよ」と
ボウの大鐘が言う

Here comes a candle to light you to bed,
And here comes a chopper to chop off your head.
(Chip chop, chip chop, the last man's dead.)
お前をベッドへ案内するろうそくが来たぞ
お前の首を切り離す首切り役人が来たぞ
(チョンパ、チョンパ、最後の奴が死んだぞ)

Pancakes and fritters,
Say the bells of St. Peter's.
「パンケーキに天ぷら」と*3
聖ピーターの鐘が言う

Two sticks and an apple,
Say the bells at Whitechapel.
「飴ん棒二本にりんご一個」と*4
ホワイトチャペルの鐘が言う

Old Father Baldpate,
Say the slow bells at Aldgate.
「つるっぱげの親父さん」と
オルドゲートの鐘が遅れて言う

Pokers and tongs,
Say the bells at St. John's.
「火かき棒に火ばさみ」と
聖ジョンの鐘が言う

Kettles and pans,
Say the bells at St. Ann's.
「やかんに平鍋」と
聖アンの鐘が言う

Brickbats and tiles,
Say the bells of St. Giles'.
「れんがつぶてにタイル」と
聖ジャイルズの鐘が言う

Here comes a candle to light you to bed,
And here comes a chopper to chop off your head.
(Chip chop, chip chop, the last man's dead.)
お前をベッドへ案内するろうそくが来たぞ
お前の首を切り離す首切り役人が来たぞ
(チョンパ、チョンパ、最後の奴が死んだぞ)

*1 オレンジもレモンも、イギリスがEUに加盟する以前は非常に高価なフルーツだった。なお、この名は1665年のダンス曲集にすでに登場している。
*2 ファージングは現在では使われなくなったイギリスの通貨単位。1ペニーにつき4ファージング。古いバージョンでは「ten shillings(10シリング)」。1ポンドにつき20シリング、1シリングにつき12ペンス。
*3 フリッター、フリットは要するに洋風天ぷらだが、魚や野菜だけでなくりんごやバナナなどを衣で包んで揚げてデザートにすることもある。日本の天ぷらに比べるとフニャッとしている。
*4 「sticks」を棒状のお菓子と解釈することもできるが、欧米で定番のお菓子であるりんご飴のことかもしれない(りんごの数が足りないが)。ハロウィンや11月のガイ・フォークスデーなどで定番となっている。
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text & tune: イギリスのナーサリーライム。文献初出は1744年頃に出版された『Tommy Thumb's Pretty Song Book(トミー・サムの可愛い唄の本)』。

初出の形は、以下のようになっていた。

Two Sticks and Apple,
Ring ye Bells at Whitechapple,
「飴ん棒二本にりんご」と
ホワイトチャペルの鐘が鳴る

Old Father Bald Pate,
Ring ye Bells Aldgate,
「つるっぱげの親父さん」と
オルドゲートの鐘が鳴る

Maids in White Aprons,
Ring ye Bells a St. Catherines,
「白エプロンの女中たち」と
聖キャサリンの鐘が鳴る

Oranges and Lemons,
Ring ye bells at St. Clements,
「オレンジにレモン」と
聖クレメントの鐘が鳴る

When will you pay me,
Ring ye Bells at ye Old Bailey,
「いつ支払ってくれるの」と
オールド・ベイリーの鐘が鳴る

When I am Rich,
Ring ye Bells at Fleetditch,
「お金持ちになったらね」と
フリートディッチの鐘が鳴る

When will that be,
Ring ye Bells at Stepney,
「いつなるの」と
ステップニーの鐘が鳴る

When I am Old,
Ring ye Bells at Pauls.
「年をとったらね」と
聖ポールの鐘が鳴る

ロンドンの鐘尽くし(ただし一部の鐘は現在失われているか特定できなくなっている)の、とぼけた童謡。日本の「通りゃんせ」と「花いちもんめ」を組み合わせたような遊びで、歌いながら「オレンジ」と「レモン」に別れた後、お互い引っ張りあって勝敗を決める。
かつて斬首刑が公開されていた記憶と、借金が重なって投獄されたという歴史が結びついたものという説がある。

Crimson Ensemble
収録アルバム: Classic Nursery Rhymes, Vol. 1


The Broadside Band
収録アルバム: Old English Nursery Rhymes


おまけ:ウォルター・クレインによるイラスト
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さらにおまけ:ヘンリエット・ウィルビーク・ル・メールによるイラスト
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さらにさらにおまけ:Bob Chilcott(1955-)によるパロディ曲
London Bells《ロンドンの鐘》

amazonには楽譜しかないのだ

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by CockRobin96 | 2017-08-17 10:52 | Trackback | Comments(0)

With A Voice Of Singing《歌声もて》


With a voice of singing
declare ye this,
and let it be heard,
Alleluia.
歌声もて
汝ら宣べ伝えよ、
告げ知らせよ、
アレルヤ。

Utter it even unto the ends of the earth.
げに、地の果ての極みまでも。

The Lord hath delivered his people,
Alleluia.
主はその民を救い出し給えりと。
アレルヤ。

O be joyful in God, all ye lands,
O sing praises to the honor of his name,
make his praise to be glorious.
神にありて歓び溢れよ、全地よ、
主のみ名の誉れをほめ歌え、
その賛美を栄えあるものとせよ。

With a voice of singing
declare ye this,
and let it be heard,
Alleluia.
歌声もて
汝ら宣べ伝えよ、
告げ知らせよ、
アレルヤ。

Alleluia.
declare ye this,
and let it be heard,
Alleluia.
アレルヤ。
汝ら宣べ伝えよ、
告げ知らせよ、
アレルヤ。

text: 旧約聖書イザヤ書48:20(欽定訳による)
tune: Martin Shaw(1875-1959)

四声と三声がある模様。アマゾンだとなぜか男声しかない。

河野和雄(多分東洋英和のオルガンの先生)による日本語訳詞:
歌声もて
知らせよ み救いを
アレルヤ

知らせよ み救いを
アレルヤ

告げよ 遠く地の果てまでも

み神は世人(よびと)を救い
アレルヤ
命を与え給う
アレルヤ

喜べ いざ民よ
ほめ歌え み名の栄え
たたえよ 御稜威(みいつ)を

歌声もて
知らせよ み救いを
アレルヤ

アレルヤ
知らせよ み救いを
アレルヤ

ピアノ伴奏のしかなかった
Matthew Curtis
収録アルバム: With A Voice Of Singing SATB - Martin Shaw


オルガン伴奏だけど男声三重唱
Mount St. Mary's Seminary Vespers Schola
収録アルバム: Canticles of the Seasons: Advent, Christmas, Easter, and Marian Devotion

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by CockRobin96 | 2017-08-16 16:33 | Trackback | Comments(0)

Blessed be that Maid Mary《おとめマリアこそ祝されし者》


Blessed be that Maid Mary;
Born He was of her body;
Very God ere time began,
Born in time the Son of man.
おとめマリアこそ祝福されし者
主はその肉体より生まれた
まことに、時を刻む以前よりの神が
時満ちて人の子として生まれた

*Eya! Jesu hodie
Natus est de Virgine.
*ああ! イエスはこの日
 おとめより生まれ給えり


In a manger of an ass
Jesus lay and lulled was;
Born to die upon the Tree
Pro peccante homine.
*Refrain
ロバの飼い葉桶の中で
イエスは寝かされあやされた
木にかけられて死ぬために生まれた
人の原罪ゆえに
*繰り返し

Sweet and blissful was the song
Chanted of the angel throng,
"Peace on earth," Alleluya.
In excelsis gloria.
*Refrain
甘美で祝福に満ちたこの歌が
数多の天使に詠唱された
「地には平和あれ」、アレルヤ
いと高き処には栄光あれと
*繰り返し

Fare three Kings from far-off land,
Incense, gold and myrrh in hand;
In Bethlehem the Babe they see,
Stelle ducti lumine.
*Refrain
はるかな地より三人の王が旅して来た、
乳香、黄金、没薬をたずさえて
ベツレヘムにて彼らはみどりごにまみえた、
星の光に導かれて
*繰り返し

Make we merry on this fest,
In quo Christus natus est;
On this Child I pray you call,
To assoil and save us all.
*Refrain
この宴を楽しめよ、
キリストが生まれ給うたこの時を
この幼子にわたしもあなたも乞い求める
我ら皆があがなわれ救われることを
*繰り返し

text: 15世紀頃の作者不詳の詩
tune: 16〜17世紀頃に出版されたWilliam Ballet's Lute Book(ウィリアム・バレットのリュートの本)に掲載されたメロディから


David Willcocks & Choir Of King's College Cambridge
収録アルバム: Christmas With: David Willcocks & Choir of King's College Cambridge

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by CockRobin96 | 2017-07-22 10:19 | Trackback | Comments(0)

Song for Athene《アテネに寄す歌》


Alleluia.
May flights of angels sing thee to thy rest.
アリルイア。
飛行する天使たちが、あなたの安息のために歌ってくださるように。*1

Alleluia.
Remember me,
O Lord, when you come into your kingdom.
アリルイア。
わたしを覚えていてください、
主よ、わたしがあなたの御国(みくに)に入る時には。*2

Alleluia.
Give rest, O Lord,
to your handmaid, who has fallen asleep.
アリルイア。
安息をお与えください、主よ、
あなたのはしために、眠りに落ちいらんとする者に。*3

Alleluia.
The Choir of Saints have found
the well-spring of life and door of Paradise.
アリルイア。
聖人らの合唱隊はすでに得たり、
命の泉と楽園の扉を。*4

Alleluia.
Life: a shadow and a dream.
アリルイア。
命とは、幻影と夢そのもの。*5

Alleluia.
Weeping at the grave creates the song:
アリルイア。
墓の上でむせび泣く者が歌を造り出す。*6

Alleluia.
Come, enjoy rewards and crowns
I have prepared for you.
アリルイア。
来たり、報いと栄冠を楽しめ、
あなたのために備えられたものを。*7

*1 シェイクスピア『ハムレット』からのセリフ。瀕死のハムレットに、親友ホレイショーが別れの言葉として言うセリフ。
*2 正教会における「永眠者のための奉神礼(パニヒダ)」の式文より。
*3 はしためは女の召使いのこと。永眠者が男性である場合servant(しもべ)とする。
 正教会では「死者」「逝去者」という呼び方はせず、「永眠者」と呼ぶ。死は天国へ至る喜ばしいことと考えるためである。
*4 これも「パニヒダ」の式文より。日本正教会の式文では「聖人の群は生命の泉と,天道の門を得たり。」
*5 これも『ハムレット』からのセリフだが、原文ママではない。クローディアス王からハムレットのスパイを命じられたギルデンスターン&ローゼンクランツと、ハムレットの会話に基づく。
ギル「その、夢と御意(ぎょい)あるが、取りも直さず、御大望(ごたいもう)でござる。何故と仰(おしゃ)あれ、所謂大望の本体は夢の影に過ぎませぬ。」
ハム「夢も影じゃ。」
ロー「いかにも。私は大望をば果敢(はか)ない、影の影とも申すべき空(あだ)なものと心得まする。」(坪内逍遙訳)
*6 「パニヒダ」の「ただ墓の上の嘆きに歌いて言うべし、アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ。」に対応している。stand at the graveで「墓の上に立つ」つまり残された人。死者本人を指す場合は、「in the grave」。
*7 これも「パニヒダ」式文より。呼びかけに対する神からの返答。

text: Mother Thekla (1918–2011) ギリシャ正教会の修道女。正確に言えば、『ハムレット』と「パニヒダ」に基づいて編訳したもの。
tune: John Tavener (1944-2013)

若くして亡くなったギリシャ系の女優Athene Hariadesを記念したもの。ロンドンのHellenic Collegeで英語と劇の教師も務める才女であったが、1993年に自転車事故で死去した。
ダイアナ元皇太子妃の葬儀でも使用されたことで知られる。英語風に発音した《アシーナのための歌》とも訳される。

ちなみに、正教会というのはカトリックと同じくらい古いキリスト教の一派。キリスト教の勢力分類は、一位がカトリック、二位が正教会である。ギリシャ正教会、もしくは東方正教会とも呼ばれる。カトリックは西の方。基本的には正教会の上に現地の名前がつく(「ロシア正教会」「日本正教会」など)。

St. John's College Choir, Cambridge
収録アルバム: Tavener: Song for Athene / Svyati

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by CockRobin96 | 2017-07-16 20:57 | Trackback | Comments(0)

All people that on earth do dwell(Old 100th)《よろずのくにびと(詩篇第100編)》


All people that on earth do dwell,
Sing to the Lord with cheerful voice.
Him serve with fear, His praise forth tell;
Come ye before Him and rejoice.
地に住まう全ての者よ
高らかな声で主に向かいて歌え。
畏れつつ主に仕え、その誉れを告げ知らせよ
主の御前に来たりて歓べよ。

The Lord, ye know, is God indeed;
Without our aid He did us make;
We are His folk, He doth us feed,
And for His sheep He doth us take.
汝ら知れ、主こそまことに神なりと
我らの助けなくして主は我らを造られ給えり。
我らは主の民、主は我らを養い給う
主は我らをその羊となし給えばなり。

O enter then His gates with praise;
Approach with joy His courts unto;
Praise, laud, and bless His Name always,
For it is seemly so to do.
賛美しつつ主の門に入り
喜びつつその中庭に進め。
賛美せよ、歓呼せよ、祝福せよ、絶えず主の御名を
その行いは主にふさわしきゆえに。

For why? the Lord our God is good;
His mercy is for ever sure;
His truth at all times firmly stood,
And shall from age to age endure.
なにゆえにや、我らの神なる主は善にして
その憐れみはとこしえに確かなるは?
そのまことは常に堅固にそびえ、
代(よ)から代へと限りなく続かん。

To Father, Son and Holy Ghost,
The God Whom Heaven and earth adore,
From men and from the angel host
Be praise and glory evermore.
父と、子と、聖霊に
天と地に崇めらるる神に、
人からもみ使いからも
とこしえに賛美と栄光が献げられよ。

text: 『ジュネーブ詩篇歌』からWilliam Kethe(?-1594)が英訳したもの。『ジュネーブ詩篇歌』は宗教改革の立役者の一人ジャン・カルヴァンの主宰で編集された、フランス語訳詩篇による聖歌集。ある程度まとまった時点で段階的に出版され、完成したのは1562年。後のあらゆるプロテスタント派の賛美歌に影響を与えた。本来は第134編に当てられていたメロディだったが、のちに歌詞として第100編が使われ、この通称がついた。
tune: 『ジュネーブ詩篇歌』のうち、Louis Bourgeois(c.1510–1559)によるメロディ。初出はPseaumes Octante Trois de David (1551)。多くの作曲家が編曲を手がけたが、Ralph Vaughan Williams(1872-1958)によるオケ伴奏アレンジがよく知られ、英国の戴冠式などでも使用される。
その他大バッハによるアレンジもある。


東北学院大学による日本語の賛美歌

新古今聖歌集の日本語訳詞:
よろずのくにびと
わが主に向かいて
声を高らかに
歓び歌えよ

主こそ神にませ
主はわが牧主(かいぬし)
我らはその民
み牧の羊ぞ

いざや歓びの
歌を歌いつつ
御門(みかど)にいりゆき
大宮にのぼらん

恵みは豊かに
憐れみは絶えず
み神のまことは
世々に限りなし

大宮って聞くたびに埼玉の方の大宮思い出しちゃうの。

Mark Bennett, Westminster Abbey Choir, The English Chamber Orchestra, Martin Neary & Martin Baker
収録アルバム: Coronation of H.M.Queen Elizabeth II

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by CockRobin96 | 2017-07-15 08:59 | Trackback | Comments(0)

Three Blind Mice《三匹の目の見えないネズミ》


Three blind mice.
(Three blind mice.)
See how they run.
(See how they run.)
They all ran after the farmer's wife,
Who cut off their tails with a carving knife,
Did you ever see such a sight in your life,
As three blind mice?
三匹の目の見えないネズミ
(三匹の目の見えないネズミ)
あいつらの走り方をごらんよ
(あいつらの走り方をごらんよ)
そろって農家のおかみさんを追いかけたら
おかみさんは肉切り包丁でシッポをちょん切った*1
君は生まれてこの方見たことあるかい、
三匹の目の見えないネズミどもみたいなのをさ

*1 おかみさんが尻尾をちょん切ったから追いかけたのではない。もしそうなら「had cut off」になる。

text & tune: イギリスの古い童謡

文献初出は非常に古く、17世紀初頭に活躍した音楽家Thomas Ravenscroft(1582or1592-1635)によって採取された民謡集『Deuteromelia or The Seconde part of Musicks melodie(デューテロメリアまたは二声の楽曲集)』(1609年に出版)に収録されている。
当時の形は、以下のようになっていた。

Three Blinde Mice, (Three Blinde Mice,)
三匹の目の見えないネズミ(三匹の目の見えないネズミ)
Dame Lulian, (Dame Lulian,)
ルリアンの奥様(ルリアンの奥様)
the Miller and his merry olde Wife,
粉挽きとその陽気なおかみさん
she scrapte her tripe licke thou the knife.
おかみさんが胃袋を刻んでナイフを舐めた
*1「ルリアン」が何を意味するかは不明。マヨルカ(カタルーニャ)の神学者ラモン・リュイ(Ramon Llull)の研究者などのことをLlullianと呼んだりはするが、関連性があるかどうかわからない。
*2 この胃袋は牛などの胃袋のこと。料理に使う)

熱烈なカトリックであったメアリー一世によって火刑に処された、英国国教会の大司教クランマーと二人の司教のことを歌っているとする説もある。カトリックに対して「盲目」であったから、という説明がなされるが、今日に至るまでの英国国教会の優勢を考えるとあまりこの説明は当てはまらないように思える。
そもそも目が見えないのにどうやっておかみさんの後ろにつきまとっているのか?
やや差別的な内容を含むにも関わらず、残酷で不気味なこの歌は現在でも童謡として愛唱されている。輪唱として歌うこともできる。

Crimson Ensemble
収録アルバム: Children's Party: The Ultimate Collection


輪唱版
The Broadside Band
収録アルバム: Old English Nursery Rhymes


おまけ:

1952年の初演以来、現在に至るまでロングランを続けている、クリスティの戯曲。
ロンドンで殺人事件が起こり、現在も逃走中である折に、ゲストハウスを始めたばかりの若夫婦の元に、5人の客(小説版だと4人)と1人の刑事がやってくる。大雪で閉じ込められたゲストハウスの中に、殺人犯が潜んでいると知らされ、全員が疑心暗鬼にかられるが…。
この中で《三匹の目の見えないネズミ》が繰り返しテーマとして現れ、登場人物たちが口ずさんだりする。「三匹のネズミ」とは、殺人の発端となった「疎開中の3人の子供が、引き取られた先で虐待され1人が死亡した」という戦時中の事件が元となっている。残った2人の子供のどちらかが、自分たちを追い込んだ人間に復讐して回っているのだが、それが男女いたので性別もわからない…という訳である。

おまけその2:
ディズニーのシリー・シンフォニーシリーズの一つ「ネズミ三銃士」

お前ら本当は見えてるだろ

さらにおまけ:
2:15以降あたりから

007シリーズの映画第1作「ドクター・ノオ」の冒頭に、この童謡のパロディが出てくる。
3人の盲人に扮した暗殺者たちが、ターゲットを殺害するというシーンで始まっている。

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by CockRobin96 | 2017-06-25 10:00 | Trackback | Comments(0)

Jubilate Deo in C《ハ音のユビラーテ・デオ(神にありて歓べ)》


O be joyful
歓べよ
in the Lord, all ye lands;
主にありて、全地よ。
Serve the Lord with gladness
喜びをもて主に仕え
and come before his presence with a song.
主のみ前に歌いつつ来れ。
Be ye sure
確信せよ、
that the Lord he is God:
主こそ神なりと。
It is he that hath made us
主は我らを創られ給えり、
and not we ourselves;
我らが創りしにあらず。
We are his people,
我らは主の民、
and the sheep of his pasture.
その牧場の羊。
O go your way
進みゆけ
into His gates with thanksgiving,
主の門のうちに感謝とともに入り
And into His courts with praise.
その宮中に賛美とともに入れ。*1

Be thankful unto him
主に向かいて感謝に満ち満ちて
and speak good of his name.
その御名を良き声で呼ばわれ。
For the Lord is gracious,
主は恵み深く
His mercy is everlasting;
その憐れみはとこしえであるゆえに。

And his truth
そのまことは
endureth
限りなく続く
from generation to generation.
世から世へと。

Glory be
栄光は
to the Father
父と
and to the Son
子と
and to the Holy Ghost;
聖霊に、
as it was in the beginning
初めにあったように
is now and ever shall be:
今もそしてとこしえに。

world without end.
御代(みよ)終わりなくあれかし。
Amen.
アーメン。

*1 courtは単に中庭という意味の他、宮廷、法廷、高貴な人の御前という意味がある。

text: 詩篇第100編(聖公会祈祷書による)
tune: Benjamin Britten(1913-1976)

Jubilate Deoはラテン語での詩篇第100編の冒頭で、「神にありて歓べ」の意。繰り返し「感謝」という言葉が出てくるため、詩篇第100編は「感謝の賛歌」というサブタイトルがつくこともある。
同じ歌詞で、同じくブリテンによるin E flat(変ホ音)のものもある。


Oxford New College Choir
収録アルバム: Britten: The Sacred Choral Music

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by CockRobin96 | 2017-06-18 09:09 | Trackback | Comments(0)

Litany to the Holy Spirit《聖霊への連祷》

アマゾンにはなかった


youtubeはなかった
The Choir of Chichester Cathedral, Timothy Ravalde, Sarah Baldock
収録アルバム: The Day Thou Gavest

In the hour of my distress,
When temptations me oppress,
And when I my sins confess,
Sweet Spirit, comfort me!
わたしの苦悩のひととき
誘惑がわたしをおびやかす時
わたしが罪を悔いる時には
優しき聖霊よ、慰め給え!

When I lie within my bed,
Sick in heart and sick in head,
And with doubts discomforted,
Sweet Spirit, comfort me!
わたしが寝床に横たわる時
胸を悩ませ頭を悩ませ
つらい不安に苛まれる時は
優しき聖霊よ、慰め給え!

When the house doth sigh and weep,
And the world is drown'd in sleep,
Yet mine eyes the watch do keep,
Sweet Spirit, comfort me!
家庭はため息をつきすすり泣き
世界は眠りにうち沈む時
それでもわたしが両目を凝らし続ける時は
優しき聖霊よ、慰め給え!

Text: Robert Herrick (1591-1674) 17世紀に活躍した詩人で聖職者。
Tune: Peter Hurford (1930-) イギリスのオルガニスト。弟子になぜか琵琶奏者がいる。

本来は10連続く長い詩(→全文)。
聖霊はキリスト教におけるの神の三つの位相のうちのひとつ。神から遣わされる力であり、神そのものでもある。鳩、燃え盛る炎、神の息、風などで表現される。

「そのとき、天がイエスに向かって開いた。イエスは、神の霊が鳩のように御自分の上に降って来るのを御覧になった。」(マタイによる福音書3:16)

サン・ピエトロ大聖堂のステンドグラス
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by CockRobin96 | 2017-05-03 09:56 | Trackback | Comments(0)

Ding, Dong, Bell, Pussy’s in the Well《ディン・ドン・ベル、ニャン子が井戸の中》



The Broadside Band
収録アルバム: Old English Nursery Rhymes

Ding, Dong, Bell,
Pussy’s in the Well.
Who put Her in?
Little Johnny Green.
Who pulled Her out?
Little Tommy Stout.
What a Naughty Boy was that,
To try to Drown poor Pussy Cat,
Who ne’er did Him any Harm,
But killed all the Mice
in the Father’s Barn.
ディン・ドン・ベル
ニャン子が井戸の中
誰が放り込んだの?
ジョニー・グリーンくんよ
誰が引き上げたの?
トミー・スタウトくんよ
なんていけない坊やでしょう
かわいそうなニャン子ちゃんを溺れ死なそうとするなんて
ニャン子はジョニーを傷つけたことなんてなかったのに
それどころかネズミをみんなやっつけてくれたのよ
お父さんの納屋にいたのを

text & tune: イギリスのマザーグース(ナーサリーライムズ)。

非常に古いイギリスの童謡。1580年、ウィンチェスター大聖堂のオルガニストによって記録されたもっとも初期の形では、
Jacke boy, ho boy newes,
(ジャッキー坊や、ニュースだ坊や)
The cat is in the well,
(猫が井戸の中)
Let us ring now for her Knell,
(猫のお弔いの鐘を鳴らせ)
Ding dong ding dong Bell.
(ディン・ドン・ディン・ドン・ベルと)
の4行だけで、猫がすでに死亡している。
ジョニー・グリーン及びトミー・スタウトは、バージョンによって名前が変わるが、常に「in」「out」で韻が踏めるようになっている。当時は「弔いの鐘」は「ディン・ドン・ベル」と鳴るもの、と相場が決まっていた。(→Full fathom five thy Father lies《父は五尋の海の底に》
「drown」「kill」などが子供向けではないとして、「put(単に「入れる」)」「scare(おどかす)」に置き換えられていることもある。

おまけ:いろんな絵本作家による《ニャン子が井戸の中》
ウォルター・クレーン
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ウィルビーク・ル・メール
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アーサー・ラッカム
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さらにいっぱい画像があるブログ:英語で本三昧
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by CockRobin96 | 2017-04-08 11:38 | Trackback | Comments(2)

Hail, Thou once despised Jesus《万歳、かつて蔑まれしイエスよ(いばらのかむりを)》



The Festival Choir and Hosanna Chorus
収録アルバム: 100 Church Classics


The Bambinis
収録アルバム: 30 Easter Songs for Kids
児童のソロによる短いバージョン


Hail, Thou once despised Jesus!
Hail, Thou Galilean King!
Thou didst suffer to release us;
Thou didst free salvation bring.
Hail, Thou universal Savior,
bearer of our sin and shame,
by thy merit we find favor:
life is given through thy Name.
万歳、かつて蔑(さげす)まれしイエスよ、
万歳、ガリラヤびとの王よ!*1
御身は我らを解き放つため苦しまれた、
御身は自由という救済をもたらされた
万歳、万有の救い主よ、
我らの罪と恥を背負われたお方よ
御身の功(いさお)によりて我らはその恩寵を知る、
命が御身のみ名によりて与えられしを

Paschal Lamb, by God appointed,
All our sins on Thee were laid;
By almighty love anointed,
Thou hast full atonement made.
All thy people are forgiven
Through the virtue of thy blood:
Opened is the gate of heaven,
reconciled are we with God.
いけにえの小羊よ、神に定められしものよ、
我らの罪はことごとく御身の上に積まれた
全能の愛によりて聖別され、
御身は豊かなあがないをなされ給うた*2
御身の民は皆赦しを得る、
御身の血の功徳(くどく)によりて
天の扉は開かれ、
我らと神の間に和解が成し遂げられた

Jesus, hail, enthroned in glory,
There forever to abide!
All the heavenly host adore Thee,
Seated at Thy Father's side.
There for sinners Thou art pleading,
There Thou dost our place prepare,
Ever for us interceding
Till in glory we appear.
イエスよ、万歳! 栄光のうちに玉座へ着き給い、
とこしえにとどまられる!
天の万軍はみな御身を崇める、
父のお側に座し給う君を
罪びとらのために御身は嘆願され、
我らの居どころを備えてくださる
限りなく我らをとりなされる、
我らが栄光のうちに潔白となるまで

Worship, honor, power, and blessing
Thou art worthy to receive;
Loudest praises, without ceasing,
Meet it is for us to give.
Help, ye bright angelic spirits,
Bring your sweetest, noblest lays;
Help to sing our Savior's merits,
Help to chant Emmanuel's praise.
崇拝と、栄誉と、力と、祝福は、
御身こそが受けるにふさわしい
声高き賛美が、絶えることなく、
我らに与えられるのを目の当たりにする
助け給え、御身のまばゆい天翔ける霊らを、*3
こよなく甘美で高貴なるさえずりをもたらさせ給え
救い主の功(いさお)をほめ歌うのを助け給え、
インマヌエルへの賛美を唱えることを助け給え

*1 「兵士たちは、官邸、すなわち総督官邸の中に、イエスを引いて行き、部隊の全員を呼び集めた。 そして、イエスに紫の服を着せ、茨の冠を編んでかぶらせ、 『ユダヤ人の王、万歳』と言って敬礼し始めた。 また何度も、葦の棒で頭をたたき、唾を吐きかけ、ひざまずいて拝んだりした。」(マルコによる福音書15:16-19)より。なお、ヨハネによる福音書では提督ピラトが「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と罪状書きを書き、祭司長たちから「自称したと書いてくれ」と要請されているが却下したことになっている。蔑称と敬称が表一体になっている訳である。
*2 ユダヤ教及びキリスト教に出てくる概念。「あがない」はもともと人手に渡った財産を買い戻す、身代金を払って奴隷を解放する、生け贄や金銭を払って罪をつぐなうという意味。ユダヤ教では異民族の奴隷となったイスラエルの民を解放する者として神をあがない主と呼び、キリスト教では罪から人類を解放する者としてキリストを指す。
*3 天使だけでなく天国にあげられた人々の霊魂をも指すと思われる。

text: John Bakewell(1721-1819)による歌詞を、Augustus Toplady(1740-1778)が一部改変。
tune: 通称In Babilone《バビロンにて》と呼ばれる、オランダ由来のメロディ。 1710年の 『Oude en Nieuwe Hollantse Boerenlities en Contradanseu(新旧オランダ民謡と対面ダンス曲集)』に初出。

「いばらのかむりを」で始まる日本語訳詞がある。

いばらの冠を 戴きましし
栄えの君なる 主のみ名とうとし
わがため打たれて わが罪を負い
世の人の救い 成し遂げませり

父なるみ神の 右にいまして
とこしえの住まい 備え給いて
我らをとりなす イエスきみをほめ
千万(ちよろず)の使い 絶えずぞ歌(うと)う

きみのみ恵みも きみの御稜威(みいつ)も
あまねくあらわれ たえにとうとし
み使いとともに 世の人こぞり
輝く栄えを ほめよたたえよ
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by CockRobin96 | 2017-03-12 10:28 | Trackback | Comments(0)