The Maid and The Palmer《おとめと巡礼》


Oh, the maid went down to the well for to wash,
And the dew fell down from her snow-white flesh,
The dew fell down from her snow-white flesh,
As the sun shone down so early.
おとめが洗濯をしに井戸へ降りていく、
雪白の肌から汗がこぼれる
雪白の肌から汗がこぼれる
(とても朝早くに日が差すから)

And as she washed, as she wrung,
She hung them out on the hazel wand,
She hung them out on the hazel wand,
And by there came a palmer man.
おとめが洗濯したもの、しぼったものを
ハシバミのさおに吊るしてる*1
ハシバミのさおに吊るしてる、
そこへ巡礼の男がやってきた。

Oh, God speed you, Old Man, she cries,
God speed you, you pretty fair maid,
God speed you, you pretty fair maid,
As the sun shines down so early.
道中ご無事でね、おじいさん、と彼女は叫んだ*2
あなたもご無事で、かわいいきれいな娘さん
あなたもご無事で、かわいいきれいな娘さん、
(とても朝早くに日が差すから)

Have you got a cup, have you got a can?
Can you give a drink to a palmer man?
Can you give a drink to a palmer man?
As the sun shines down so early.
カップを持ってないかね、缶を持ってないかね、
この巡礼に飲み物をおくれでないかね
この巡礼に飲み物をおくれでないかね、
(とても朝早くに日が差すから)

Oh, I've no cup and I've no can,
And I cannot give a drink to a palmer man,
And I cannot give a drink to a palmer man,
As the sun shines down so early.
あら、カップもないし、缶もないわ
だから巡礼さんには飲ませるものがないの
だから巡礼さんには飲ませるものがないの、
(とても朝早くに日が差すから)

You lie, you lie, you are forsworn,
For if your true love came from Rome,
Then a cup, a can you'd find for him,
As the sun shines down so early.
嘘だね、嘘だね、誓って嘘だね
お前の最愛の人がローマから戻ってきたとしたら
カップや缶をその人のために探すはず
(とても朝早くに日が差すから)

Now, she swore by God and the good St. John.
True lover she had never a one,
True lover she had never a one,
As the sun shines down so early.
するとおとめは神と善良なる聖ヨハネに誓って言った*3
最愛の人なんていたことない
最愛の人なんていたことない
(とても朝早くに日が差すから)

You lie, you lie, you are forsworn,
For nine children you have born,
For nine children you have born,
As the sun shines down so early.
嘘だね、嘘だね、誓って嘘だね
お前は九人の子を産んだことがあるんだから
お前は九人の子を産んだことがあるんだから
(とても朝早くに日が差すから)

Oh, there's three of them lying under your bed-head,
Three of them under the hearth are laid,
Three of them under the hearth are laid,
As the sun shines down so early.
そのうちの三人はお前のベッドの頭の側の下
そのうち三人は暖炉の下に埋まってる
そのうち三人は暖炉の下に埋まってる、
(とても朝早くに日が差すから)

Three more laying on yonder green,
Count, fair maid, for that makes nine,
Count, fair maid, for that makes nine,
As the sun shines down so early.
もう三人はあそこのしげみの下
数えろ、きれいな娘さんよ、お前の九つの罪を
数えろ、きれいな娘さんよ、お前の九つの罪を、
(とても朝早くに日が差すから)

Palmer, oh, Palmer, do tell me,
Penance that you will give to me,
Penance that you will give to me,
As the sun shines down so early.
巡礼さん、巡礼さん、教えてください
悔い改めのわざをお与えください
悔い改めのわざをお与えください、
(とても朝早くに日が差すから)

Penance I will give thee none,
But seven years as a stepping stone,
But seven years as a stepping stone,
As the sun shines down so early.
そなたにできる悔い改めはこれ以外にない
七年の間踏み石となれ
七年の間踏み石となれ
(とても朝早くに日が差すから)

Seven more as a clapper to ring in the bell,
Seven to run from the apes of hell,
Seven to run from the apes of hell,
As the sun shines down so early.
もう七年は鐘を鳴らす舌(ぜつ)となれ
さらに七年は地獄の大猿たちから逃げ回れ*4
さらに七年は地獄の大猿たちから逃げ回れ
(とても朝早くに日が差すから)

Welcome, welcome stepping stone,
Welcome clapper in the bell to ring,
Welcome clapper in the bell to ring,
As the sun shines down so early.
いいわ、かまわないわ、踏み石も
鐘を鳴らす舌もかまわないわ
鐘を鳴らす舌もかまわないわ
(とても朝早くに日が差すから)

Welcome stone, welcome bell,
Christ, keep me from the apes of hell,
Christ, keep me from the apes of hell,
As the sun shines down so early.
石でもいいわ、鐘でもいいわ、
でもキリストよ、地獄の大猿たちからはお守りください、
でもキリストよ、地獄の大猿たちからはお守りください
(とても朝早くに日が差すから)

*1 いわゆるヘーゼルナッツの木。「ハシバミたくさん子だくさん」と言われるほど良く実がなるので、多産の象徴である一方で、催淫効果があるとも言われていた。身持ちの悪いおとめの本性を象徴する。
*2 God speed youは古い慣用句。「ご成功を(祈ります)!」「道中ご無事で」というほどの意味。
*3 聖ヨハネは洗礼者ヨハネと福音記者ヨハネのふたりがいる。同名つながりで両聖人セットにされることもしばしばある。『ヨハネによる福音書』の第四章に、キリストに井戸水を求められて「どうして異端の人間にそんなことを頼むのか」と答える『サマリアの女』というエピソードがある。サマリアの女は五人もの夫を持ったことがあり、今の連れ合いも正式に結婚しているわけではないということをキリストに見抜かれるが、ひるまずキリストと面と向かって対話する栄誉を得る。この歌は『サマリアの女』のアンチテーゼともとれる。
*4 これも古い慣用句からくる言葉。「They the die maids, lead apes in hell(処女のまま死んだ者は地獄で大猿を率いる)」、すなわち「オールドミスになる」。なお、apeとはmonkeyが小型で尾の長い猿を指すのに対し、尾のない大型の猿を指す。チンパンジーとか。シェイクスピア『空騒ぎ』の第二幕一場などに登場する言い回しであること、またローマを目指した巡礼が登場することから、この歌がイングランドがカトリックであった頃にまでにさかのぼれることがうかがえる。シェイクスピアでは「子供のためにあの世の道案内をするはずが、子供がいないから猿の道案内をさせられる」としているが、「類人猿は人間の女性に欲望を示す」と考えられていたこととも関連するかもしれない。現世での乱行の報いとして、来世では身を清らかに保てという意味か、あるいは地獄の鬼たちからの陵辱から逃げ回れという意味か。企画ものAVかよ!

追記:一説には「ape」は密通の暗喩で、「結婚対象にならない(既婚者など)男と婚前に密通した女が結果的に未婚になる」ことを揶揄したのではないかとも。中世では猿は「人間の出来損ない」とみなされ、「愚か」「狂う」「粗暴な男」などの象徴でもあった。男性を狂気に陥らせることを、猿を地獄に連れていく様子に例えているのかもしれない。

チャイルドバラッド21番。未婚の母の子殺しという、『残酷な母』や『緑の森の方へ』によく似たテーマの民謡。七年の倍数の数だけ罪滅ぼしをするというところも似ている。
この老いた巡礼が変わり果てた昔の恋人であったとも読めるが、このおとめの産んだ子供たちの父親についてはこの歌詞では触れていない。子供の数や父親についてはさまざまなバリエーションがあるが、伯父や兄弟や実の父の子という罪深さに拍車をかけるようなパターンが多い。
参考サイト「やまなかみつよしのバラッド・トーク」

異形にWell Below The Valley《谷底の井戸》という別メロディがあり、こちらは実在の女性専門の精神病院を題材にした映画『マグダレンの祈り』の冒頭で結婚式の歌として使われている(不道徳な性交渉をいましめる意味で歌うという風習があるらしい)。堕落した女性(未婚の母の他、レイプ被害者、極端な場合は「堕落しそうだなこいつ」と思われただけの女性まで)を収容する修道院だったが、実質は差別と虐待と重労働に苦しめられる悲惨な場所だったと言われる。


John Kirkpatrick, Martin Carthy
収録アルバム: The Complete Brass Monkey


Steeleye Span
収録アルバム: The Journey

[PR]
by CockRobin96 | 2014-05-06 15:56 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://jennywren.exblog.jp/tb/22565610
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< The Cruel Mothe... Omie Wise《オーミー・... >>