Requiem《ラッターのレクイエム》Rutter

1.Requiem Aeternam《とこしえの安息》

Requiem aeternam,
とこしえの安息を、
dona eis, Domine:
彼らに与えたまえ、主よ。


et lux,
そして光を、
et lux perpetua,
絶えざる光を
luceat eis.
彼らに照らしたまえ。


Te decet hymnus,
賛歌があなたに献げられる、
Deus in Sion:
シオンにいます神に、*1
et tibi reddetur votum in Jerusalem.
そして誓いがあなたに立てられる、エルサレムにて。


Exaudi,
聞き給え、
exaudi orationem meam,
わたしの祈りを聞き給え。
ad te omnis caro veniet.
すべて肉なるものはみなあなたのもとへ至る。


Kyrie eleison.
主よ、憐れみ給え。
Christe eleison.
キリストよ、憐れみ給え。
Kyrie eleison.
主よ、憐れみ給え。


*1 シオンはエルサレムにある丘。王家の城や墓があり、エルサレムの象徴、愛称になった。


2.Out of the Deep《深き淵より》

Out of the deep
深き淵より、
have I called unto thee, O Lord:
わたしはあなたを呼ぶ、主よ、
Lord, hear my voice.
主よ、わたしの声を聞き給え。

O let thine ears consider well
あなたの耳を傾けて
the voice of my complaint.
わたしの訴えの声を聞き届けてください。

If thou, Lord,
もしあなたが、主よ
wilt be extreme to mark what is done amiss:
過ちをことごとく心に留められるならば、
O Lord, who may abide it?
主よ、誰がそれに耐え得るでしょうか?

For there is mercy with thee:
憐れみはあなたと共にあり、
therefore shalt thou be fear'd.
それゆえあなたは畏れられる。

I look for the Lord:
わたしは主を捜し求め、
my soul doth wait for him,
わが魂は主を待ち望む。
and in his word is my trust.
主のみ言葉がわたしの頼み。

my soul fleeeth unto the Lord:
わが魂は主のもとに馳せゆく、
before the morning watch, I say,
朝を待ちこがれる見張りのように、そう
before the morning watch.
朝を待ちこがれる見張りのように。

O Israel trust in the Lord,
おおイスラエルよ、主に依り頼め、
for with the Lord there is mercy:
憐れみが主と共にあり、
and with him is plenteous redemption.
豊かな贖いが主と共にあるのだから。*1
And he shall redeem Israel from all his sins,
主はイスラエルを全ての罪から贖われた、
from all his sins.
全ての罪から。

Out of the deep
深き淵より、
have I called unto thee, O Lord:
わたしはあなたを呼ぶ、主よ、
Lord, hear my voice.
主よ、わたしの声を聞き給え。

*1 ユダヤ教及びキリスト教に出てくる概念。「あがない」はもともと人手に渡った財産を買い戻す、身代金を払って奴隷を解放する、生け贄や金銭を払って罪をつぐなうという意味。ユダヤ教では異民族の奴隷となったイスラエルの民を解放する者として神をあがない主と呼び、キリスト教では罪から人類を解放する者としてキリストを指す。

text: 旧約詩編第130編より。

3.Pie Jesu《慈しみ深きイエス》

Pie Jesu Domine,
慈しみ深き主イエスよ、
dona eis requiem,
彼らに安息を与え給え。
sempiternam requiem.
絶えざる安息を
dona eis domine.
彼らに与え給え。


4.Sanctus《聖なるかな》

Sanctus, Sanctus, Sanctus
聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。
Dominus Deus Sabaoth.
万軍の神なる主。
Pleni sunt caeli
天に満ち満ちる、
groria tua.
あなたの栄光は。
Hosanna in excelsis.
いと高きところにホサナ。
*1

Benedictus
ほむべきかな、
qui venit in nomine Domini:
主のみ名において来たるもの。
Hosanna in excelsis.
いと高きところにホサナ。


*1 本来は「我らを救い給え」を意味するヘブライ語。のちに礼拝などで気分の高揚や賛美をあらわすかけ声と化した。

旧約聖書イザヤ書(6:03)及びヨハネの黙示録(4:08)に登場する、異形の生物が歌う神への賛歌をもとにしている。モーツァルトやフォーレなどのレクイエムでは「Pleni sunt caeli et terra(天地に満ちる)」となっている。天使の大群が神の周囲を飛び交いながら歌うイメージ。


5.Agnus Dei《神の小羊》

Agnus Dei,
神の小羊、*1
qui tollis peccata mundi.
世の罪を除くものよ、
dona eis requiem.
彼らに安息を与え給え。


Man that is born of a woman
女から生まれたものは、*2
hath but a short time to live,
生きるに短い時を生き、
and is full of misery.
しかも苦悩に満ちている。

He cometh up,
現れたかと思えば、
and is cut down like a flower;
花のように刈り取られる。
he fleeth as it were a shadow.
逃げ失せる様は影のよう。

Agnus Dei,
神の小羊、

(In the midst of life,)
(生のただ中にあっても、)
qui tollis peccata mundi.
世の罪を除くものよ、

(we are in death:)
(我らは死の内にある。)
dona eis requiem.
彼らに安息を与え給え。

(we are in death:)
(我らは死の内にある。)

Agnus Dei,
神の小羊、

(of whom may we seek for succour?)
(我らが求める助けは誰からくるのか)
qui tollis peccata mundi.
世の罪を除くものよ、

(of whom may we seek for succour?)
(我らが求める助けは誰からくるのか)
dona eis requiem.
彼らに安息を与え給え。

(of whom?)
(誰から?)

Agnus Dei,
神の小羊、
qui tollis peccata mundi.
世の罪を除くものよ、
dona eis requiem.
彼らに安息を与え給え。


I am the resurrection and the life,
わたしは復活であり命である、*3
saith the Lord:
と主は言われる。
he that believeth in me,
わたしを信じるものは
though he were dead, yet shall he live:
死んでも生きる、
and who so ever liveth
生きている者は誰であれ
and believeth in me
わたしを信じているものは
shall never die,
決して死なない、
shall never die.
決して死なない。

*1 イエスの呼び名のひとつ、洗礼者ヨハネがイエスを指して「見よ、世の罪を除く神の小羊だ」(新約ヨハネによる福音書1:29)と言った故事にちなむ。
*2 聖公会独自の礼拝規則書である『聖公会祈祷書』の埋葬式文より。ただし日本聖公会の現行版では消されている。英米ではどうか知らない。フルだと「我らの罪を怒り給うことは、まことに正し。されど主の他に、たれにか助けを求むべき」となっており、かなりきつい文章になる。
*3 「イエスは言われた。『わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない。このことを信じるか。』」(新約ヨハネによる福音書 11:25-26)

「わたしは復活であり命である…」の直前からVictimae paschali《我らの過越》が挿入されている。


6.The Lord is my Shepherd《主はわたしの羊飼い》

The Lord is my shepherd;
主はわたしの羊飼い、
therefore can I lack nothing.
それゆえわたしは乏しいことが無い。
He shall feed me in a green pasture,
主はわたしを緑の野辺で養い、
and lead me forth beside the waters of comfort.
憩いの水辺に導かれる。

He shall convert me soul
主はわたしの魂を造りかえ、
and bring me forth in the paths of righteousness,
正しい道にともなってくださる。
for his Name's sake,
そのみ名のゆえに、
for his Name's sake.
そのみ名のゆえに。

Yea, though I walk thro' the valley of the shadow of death,
まことに、死の陰の谷を歩むとも、
I will fear no evil;
わたしは邪悪を恐れない。
For thou art with me:
あなたがわたしと共におられるから、
Thy rod and thy staff comfort me.
あなたの杖と鞭がわたしを慰めるから。

Thou shalt prepare a table for me
あなたはわたしのために食卓を整えてくださる、
against them that trouble me:
わたしに仇なすものたちの目の前で。
Thou hast anointed my head with oil
あなたはわたしの頭に油を塗り、
and my cup shall be full.
わたしの杯を満たされる。

But thy loving kind ness and mercy
あなたの愛と憐れみは
shall follow me all the days of my life:
生涯わたしにつき従う。
And I will dwell in the house of the Lord,
そしてわたしは主の家に住まうでしょう、
in the house of the Lord forever.
主の家に、とこしえに。

text: 旧約聖書詩編第23編

詳細はBrother James Air《ブラザー・ジェームズ・エアー》にて。


7.Lux Aeterna《とこしえの光》

I heard a voice from haeven
わたしは天よりの声を聞いた、*1
saying unto me,
わたしにこう告げるのを
Blessed,
「祝されよ
Blessed are the dead who die in the Lord,
主において死んだものは祝されよ、
for they rest,
彼らは憩うからである
from their labours.
労苦から解き放たれて。
They rest from their labours.
彼らは労苦から解き放たれて憩う。」

Even so saith the spirit,
『霊』はそのようにさえ言われる、
for they rest.
「彼らは憩う」と。

Lux aeterna
とこしえの光で
luceat eis,
彼らを照らし給え、
Domine:
主よ。


Cum sanctis tuis in aeternum,
あなたの聖人らとともにとこしえにいさせ給え、
quia pius es.
あなたは慈しみ深い方であらせられますから。


Requiem aeternam
とこしえの安息を
dona eis Domine,
彼らに与え給え、主よ、
et lux perpetua
絶えざる光で
luceat eis:
彼らを照らし給え。


Requiem aeternam.
とこしえの安息を。


*1 「また、わたしは天からこう告げる声を聞いた。『書き記せ。『今から後、主に結ばれて死ぬ人は幸いである』と。』“霊”も言う。『然り。彼らは労苦を解かれて、安らぎを得る。その行いが報われるからである。』」(新約聖書黙示録14:13)

tune: John Rutter (1945- )

レクイエムは本来カトリックの式典なのだが、時代が下がるに連れて礼拝のためというよりもコンサート用としての用途が増えた。
ラッターも本来の式文以外に、聖公会の葬送礼拝等でよく使われる詩編や式文を組み合わせた、独自の「レクイエム風合唱組曲」となっている。一説には若くして交通事故で亡くなった息子に捧げたとも。「息子を思い出してつらい」となるのではなく、この曲が演奏される限り息子の名が記念されるわけである。

自作自演版


プライムで聴き放題

[PR]
by CockRobin96 | 2016-09-12 22:46 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://jennywren.exblog.jp/tb/26184449
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< Full fathom fiv... Swing Low, Swee... >>