What Sweeter Music《もっと甘美な音楽を》


What sweeter music can we bring
Than a carol, for to sing
The birth of this our heavenly King?
Awake the voice! Awake the string!
もっと甘美な音楽を奏でられぬものだろうか
キャロルよりも甘く、歌うための*1
我らの天の王の誕生にふさわしい音楽とは?
声よ目覚めよ! 弦よ目覚めよ!

Dark and dull night fly hence away!
And give the honour to this day
That sees December turn’d to May,
That sees December turn’d to May.
暗く沈んだ夜よ、立ち去れ!
そしてこの日を仰ぎ見よ、
12月が5月になったようなこの日を、*2
12月が5月になったようなこの日を

Why does the chilling winter’s morn
Smile like a field beset with corn?
Or smell like to a mead newly-shorn,
Thus on a sudden? Come and see
どうして凍てつく冬の朝が
小麦で彩られた畑のように微笑むのか、*3
刈ったばかりの牧草地のように香るのか
かくも突然に! 来たりて見よ!

The cause why things thus fragrant be:
’Tis He is born, whose quickening birth
Gives life and lustre, public mirth,
To heaven and the under-earth.
こんなにもかぐわしいその訳は、
主が生まれたもうたがゆえ、その胎動は*4
命と輝き、そして民の悦びを与えてくださる
天にも、地の底までも

We see Him come, and know Him ours,
Who with his sunshine and his showers
Turns all the patient ground to flowers,
Turns all the patient ground to flowers.
主が来られる、我らの主が
その陽光と慈雨とで
あらゆる荒地を花盛りに変えるお方が、*5
あらゆる荒地を花盛りに変えるお方が

The darling of the world is come,
And fit it is we find a room
To welcome Him,
To welcome Him.
世界中の最愛の人が来られる、
そのお方にぴったりの一室を見つけました
主をもてなすのにふさわしいところ、
主をもてなすのにふさわしいところ

The nobler part of all the house here
is the heart,
お屋敷じゅうで最も豪華なところとは
この心なのです!

Which we will give Him; and bequeath
This holly and this ivy wreath
To do Him honour, who’s our King
And Lord of all this revelling.
これこそ我らが主に献げ、後世に伝えるもの
このヒイラギとツタのリースを*6
我らが王、主の誉れとしましょう
あらゆる悦楽の主(あるじ)に

What sweeter music can we bring
Than a carol, for to sing
The birth of this our heavenly King?
The birth of this our heavenly King?
もっと甘美な音楽を奏でられぬものだろうか
キャロルよりも甘く、歌うための
我らの天の王の誕生にふさわしい音楽とは、
我らの天の王の誕生にふさわしい音楽とは?

*1 「キャロル」とは本来世俗的なダンス曲や歌を指すものであったとされる(少なくともシェイクスピア時代はまだそういうイメージだった)。この頃でもまだ「酒場なんかで歌われているポピュラーソング」っぽいイメージがまだあったと思われる。
*2 特に五月を名指ししているのは、春または夏の到来を祝う「五月祭」という風習があるため。
*3 cornは古語ではトウモロコシではなく小麦を指す。
*4 quickeningは「胎動」のほか「息づき始める」「活発になりつつある」という形容でもある。
*5 とりあえず「荒れ地」と訳したが、実はthe patient groundの意味がよくわからなかった…
*6 「柊と蔦」は同名のクリスマスの歌としても知られる。キリスト教が伝わる以前から、イングランドでは柊は男性の象徴、蔦は女性の象徴とされ、常緑ゆえに魔除けになるとされた。


text: Robert Herrick(1591–1674)
tune: John Rutter (1945- )

ロバート・ヘリックは17世紀ごろ活躍したイギリスの詩人であり、聖職者。この詩は本来のタイトルを「A Christmas Carol(クリスマスのキャロル。まんまや)」という。クロムウェルのピューリタン革命によって、俗っぽい宗教行事をことごとく禁じられ(その中にはクリスマス禁止も含まれていた)、もともとが世俗音楽であったキャロルも歌ったり作ったりすることができなくなってしまった。王政復古後にキャロルの演奏や製作が再開されたが、この時に世俗曲に新しく宗教的な歌詞をあてるということが多く行われた。と言っても、このへリックの詩がそういうのを想定して作られたのかどうか不明。
なお、ラッターは原詩を全部使うのではなく、抜粋して使っている。

参考:へリックの詩の全文
および別の人の和訳(ヘリックの原詩の方の一部)


ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「クリスマス・キャロル」
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Choir of King's College, Cambridge & Stephen Cleobury
収録アルバム: Carols from King's

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by CockRobin96 | 2018-11-26 21:40 | Trackback | Comments(0)
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