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It's Only a Paper Moon《ペーパー・ムーン》


Say It is only a paper moon
hanging over a cardboard sea,
But it wouldn't be make believe
If you believed in me.
これはただの紙製のお月様で、
厚紙製の海にひっかかってるだけ。
でもそうじゃないって思えるようになるんだ、
君が僕を信じてくれるなら。

yes It is only a canvas sky
sailing over a muslin tree,
But it wouldn't be make believe
If you believed in me.
これはただのキャンバス地に描いた空で、
モスリン製の木の上にはためいてるだけ。*1
でもそうじゃないって思えるようになるんだ、
君が僕を信じてくれるなら。

Without your love,
It's a honky-tonk parade.
Without your love,
It's a melody played in a penny arcade.
君が愛してくれなけりゃ、
これはただの安酒場のパレード。
君が愛してくれなけりゃ、
これはただのアーケードゲームのメロディ。*2

It's a Barnum and Bailey world,
Just as phony as it can be,
But it wouldn't be make believe
If you believed in me.
これこそバーナム&ベイリー・サーカスの世界*3
でもただのまがい物になってしまう、
君が僕を信じて、
そうだって思ってくれなきゃ。

*1 モスリンはコットンやウールでできた薄手の布地。ガーゼやオーガンジーなんかも一種のモスリン。
*2 ペニーアーケードは昔のゲームセンター。イギリスの1円玉であるところの1ペニー、アメリカの場合1セントでできるレトロなピンボールやパラパラアニメがあった。ディズニーランドにもある。
*3 バーナム&ベイリーは19世紀にサーカス王と呼ばれたバーナムとベイリーによるサーカス。

text: Harold Arlen(1905–1986)
tune: Edgar Yipsel Harburg(1896–1981) and Billy Rose(1899–1966)

1930年代のポピュラーソングで、1973年制作のアメリカ映画『ペーパー・ムーン』の主題歌でもある。
ナット・キング・コール版が好き。
なお、カメラがまだ一般的でなかった頃は写真屋に行って写真を撮ってもらったものだだったのだが、そのとき人気があったのが「大きいはりぼての月に座る」というトリックアート風のものだったらしい。
参考サイト

ジョゼフ・コーネル『ローレン・バコールのペニーアーケード・ポートレート』
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おまけ:荒木飛呂彦の漫画「ジョジョリオン」の登場人物つるぎの持つスタンド能力の名が「ペーパー・ムーン・キング」。折り紙または折り紙状に折ったものを操り、それに触れた人間の認識能力を変化させる(通行人の顔が全部同じに見える、車が人間に見えるなど)。
また、つるぎの兄の常秀のスタンド能力は「ナット・キング・コール」で、こちらは対象にネジとナットを打ち込み、分解したりくっつけたりする能力。

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by CockRobin96 | 2015-04-25 23:06 | Trackback | Comments(0)

Zadok the priest《祭司ザドク》HMV258


Zadok the priest,
and Nathan the prophet
anointed Solomon King.
And all the people rejoic'd, rejoic'd, and said:
God save the King!
Long live the King!
May the King live for ever,
Amen, Allelujah, Amen.
祭司ザドクと、
預言者ナタンは、
ソロモン王に油を注ぎぬ。
そして全ての民は喜び、喜び、言えり。
「神よ王を援(たす)け給え、
 王に長寿あれ、
 王の命とこしえにあれ、
 アーメン、アレルヤ、アーメン」と。

text:列王記上1:39
tune: George Frederick Handel(1685-1759)

祭司ツァドクは天幕から油の入った角を持って出て、ソロモンに油を注いだ。
彼らが角笛を吹くと、民は皆、「ソロモン王、万歳」と叫んだ。
(列王記上1:39)

英国王室で、戴冠式などで必ず歌われる戴冠のためのアンセム。ヘンデルがジョージ2世の戴冠式アンセムとして作曲したものの一つ。
英国王室ネタとはつながりが深く、ジョージ3世の乱心をネタにした歴史物『英国万歳!』という映画でも使われた。
何故かジェラルディン・マクイーワン版ミス・マープルのドラマ『ポケットにライ麦を』でも使われたことがある。
なお、サッカーUEFAチャンピオンズリーグのテーマソング『UEFAチャンピオンズリーグ・アンセム』はこれをアレンジしたものである。→参考サイト
というかなんだこのCM。


Stephen Cleobury
収録アルバム: Glorious Majesty



おまけ

マイナーすぎて日本語版DVD出てないやんけ!

さらにおまけ:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(アンサイクロペディア)
大体あってる(白目)

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by CockRobin96 | 2015-04-25 22:26 | Trackback | Comments(0)

I'll Be Glad When You're Dead《お前がくたばったら大喜びしてやるぞ》

ベティ・ブープのアニメに登場するルイ・アームストロング版(2:57頃~)
サッチモの生首が歌いながら飛んでくるとか頭おかしい

I'll be glad when you're dead, you rascal, you!
Oh, you rascal, you!
Boy, I brought you into my home;
You wouldn't leave my wife alone;
I'll be glad when you're dead, you rascal, you.
お前がくたばったら大喜びしてやるぞ、この野郎!
このケダモノめ!*1
小僧め、お前を家に招いてやったのに
俺の女房にちょっかい出さずにいられなかったんだな
お前がくたばったら大喜びしてやるぞ、この野郎!

Now, I'll be glad when you're dead, you rascal, you!
I'll be tickled to death when you leave this earth, you dog!
Hmmm, I took you for my friend,
The way you bit me in the back was a sin;
You ain't no good, you rascal, you!
なあ、お前がくたばったら大喜びしてやるぞ、この野郎!
お前が地面に伸びたら死ぬほど大笑いしてやるぞ、犬畜生め!
うーむ、お前を友達として招待してやったのに
後ろを向いたら噛みつくなんてやり口が汚いぜ
お前はロクな奴じゃない、この野郎!

As I said before, I'll be glad when you're dead, you rascal, you!
Hmm, yea-ee-yea, you rascal, you!
Boy, when you're laying six feet deep,
No more fried chicken will you eat;
Aw, you dog, I know that'll break your heart, ha, ha, ha, ha!
俺の言う通りだろ、お前がくたばったら大喜びしてやるぞ、この野郎!
うーむ、このケダモノめ!
小僧め、お前も6フィートの深さに埋められたら*2
フライドチキンももう食えまい
犬畜生め、さすがのお前もがっくりするだろう、ハ、ハ、ハ!

Boy! Boy, what is it that you've got
That makes my wife think you're hot?
Oh, you dog, you ain't no good. Naw!
おい小僧、何をどうしたら
女房はお前にお熱になるんだ?
犬畜生め、お前はロクな奴じゃない、なあ?

You bought my wife a bottle of Coca Cola,
So you could play on her victrola;
Ha, you dog! Yes, sir!
お前が女房にコカコーラの一本もおごってやれば
蓄音機をかけながらよろしくやるんだろう*3
はっ、この犬畜生! そうだろ!

I'll be glad when you're dead -
I'll be glad when you're dead, you rascal, you...oowehh.
お前がくたばったら大喜びしてやるぞ、
お前がくたばったら大喜びしてやるぞ、この野郎…おおう!

*1rascalは「ならずもの」「厄介者」「わんぱくな動物」などを指す。古くはもうちょっとキツいニュアンスだったようだが、親しみを込めて「いたずらもの」ということもある。どっかのあらいぐまの名前の由来。
*2 6フィートはアメリカで土葬される際に基準となる深さ。転じて死そのもの。
*3 ヴィクトローラはヴィクター謹製の蓄音機。犬が耳を傾けてるアレ。情事の音が漏れないようにかけるのか? まあコカコーラのダジャレなんだけど!

text & tune: Sam Allen Theard (1904-1982)

間男をののしり倒すというあまり教育的でないコミックソング。犬に対する風評被害に訴訟も辞さないワン。ベティのアニメでは犬のビンボーが登場するので、あってると言えばあってる。
かなりの人気を誇り、多くの歌手によってカバーされているが、歌手によって歌詞に多少の差異がある。「女房のキャベツを食いやがった」などというバージョンもあるが、キャベツというのは女性のナニのことだったりする。シモネタである
ちなみに、ニューオリンズでは黒人の男性が亡くなった際、ブラスバンドを雇って演奏しながら葬列を組み、埋葬が済むとうってかわって陽気なジャズを奏でながら戻っていくという風習がある(セカンドラインという)。その際は故人を悼む歌や賛美歌、ゴスペルのみならず、このような故人をけなすふざけた曲を演奏することがしばしばあるという。

サッチモ版



アニメ収録DVD


CDのみ 映像の貴重な音源が入っている

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by CockRobin96 | 2015-04-22 22:09 | Trackback | Comments(0)

St. James Infirmary blues《聖ジェームズ診療所のブルース》

キャブ・キャロウェイによるベティ・ブープ『白雪姫』の劇中歌

Folks, I'm goin' down to St. James Infirmary,
See my baby there;
She's stretched out on a long, white table,
She's so sweet, so cold, so fair.
聖ジェームズ診療所まで出向いて*1
そこで俺のかわいこちゃんを見たんだ
彼女は白いテーブルにだらんと伸びていた、
愛らしく、冷たく、美しかった

Let it go, let it go, Oh brother,
Wherever she may be,
She will search this wide world over,
But she'll never find another sweet man like me.
かまわないでくれ、かまわないでくれよ*2
彼女がどこにいようとも
この広い世界中を探しまわろうとも
俺みたいないい男は他に見つからないってのに

Now, when I die, bury me in my straight-leg britches,
Put on a box-back coat and a stetson hat,
Put a twenty-dollar gold piece on my watch chain,
So you can let all the boys know I died standing pat.*3
なあ、俺が死んだらストレートパンツを履かせて埋めてくれよ
ジャケットにステットソン製の帽子も着せて*4*5
20ドル金貨を懐中時計の鎖に吊るしてくれ
そしたら俺が死んでも相変わらずだってみんなにわかるだろう

An' give me six crap shooting pall bearers,
Let a chorus girl sing me a song.
Put a red hot jazz band at the top of my head
So we can raise Hallelujah as we go along.
六人の棺の担ぎ手は博打仲間で頼むよ*6
コーラスガールに歌を歌わせて
お熱いジャズバンドを俺の頭の方に置いてくれ
そしたら葬列を組みながらみんなでハレルヤを歌えるだろう

Folks, now that you have heard my story,
Say, boy, hand me another shot of that booze;
If anyone should ask you,
Tell 'em I've got those St. James Infirmary blues.
皆の衆、これが俺の聞かせる物語
さあ、もっと酔っぱらえる酒をついでくれよ
もしもだれか聞きたがる奴がいたら
俺の聖ジェームズ診療所のブルースを歌ってやってくれ

*1 日本語訳では「病院」となっていることが多いが、Infirmaryはhospitalよりも小規模な医務室や診療所を指す。hospitalにしているバージョンもある。go down to は下がる、降りるの他に、単に〜まで出かける、赴くという意味がある。
*2 Let it goはアナ雪で一躍有名になった慣用句だが、「解き放とう」「手放そう」「ほっとこう」「諦めよう」などの意味になる。
*3 Box Coatは英和辞書だと「箱のようにまっすぐなラインのゆったりした外套」と書かれているが、英英辞書だと「肩から袖をゆったりたらした短いコート」になっている。どっちやねん。たぶん普通の紳士用ジャケットかハーフコートだと思えばよかろう。
*4 ステットソンはカウボーイ風のつばの広い紳士帽で有名なブランド。
*5 stand pat はアメリカで使われる慣用句で、ポーカーで最初に配られた手札を替えないこと(ジョジョ第三部のダービー兄戦のアレ)。転じて頑固なまでの現状維持者。
*6 crap shootはさいころ博打のこと。転じて危険で不確かな賭け、または非公式なことも指す。英英辞典で調べたらそう出た。

text & tune: アメリカ民謡

「死んだ子供に会いに行く歌」としてよく紹介されてるが、どう読んでも死んだ恋人に会いに行く歌である。陰々滅々とした曲調の、ブルースの典型にして古典的名曲で、多くの歌手にカバーされている。
Joe Primrose(アメリカの音楽実業家Irving Mills1894-1985の変名)によって登録されているが、実際はアメリカの民謡を採取したのを(勝手に)自分の作詞作曲として登録したもの。なお、元になった民謡はStreets of Laredo《ラレード通り》といい、銃で撃たれ死に瀕しているカウボーイが、語り手に自分の葬儀の時にしてほしいことを頼むという内容だった。そしてさらなる原曲が18世紀のアイルランドのバラッドThe Unfortunate Rake《不運な放蕩者》であろうとされている。行きずりの女性に梅毒を伝染され死に瀕している男が、聖ジェームズ病院で語り手に向かって不幸を訴え、やはり自分が死んだ時にして欲しいことを頼むというストーリー。いろいろひどすぎだろ。
いずれも「白(原曲二つは、死にかけた男は白い布にくるまれている)」「遺言(葬儀の時にやってほしいこと)」「6人(棺の担ぎ手)」が重要なキーワードになっている。
Streets of Laredo《ラレード通り》 1949年制作の映画『テキサス決死隊』のテーマソングでもある。


The Unfortunate Rake《不運な放蕩者》 メロディは《英国の擲弾兵》とほとんど同じ





アニメ収録DVD


ベティさんとキャブのコラボは、この《聖ジェームズ診療所》の他に、The Old Man of the Mountain《山の老人》及びMinnie the Moocher《ミニー・ザ・ムーチャー》がある。

CDのみ 映像の貴重な音源が入っている

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by CockRobin96 | 2015-04-14 23:40 | Trackback | Comments(0)

《山辺に向かいて》


山辺(やまべ)に向かいて我
目をあぐ
助けは何方(いずかた)より
来たるか
天地(あめつち)のみ神より
助けぞ我に来たる

み神は汝(なれ)の足を
強くす
み守りあれば汝(なれ)は
動かじ
み民をば守るもの
まどろみ眠りまさじ

み神は敵(あた)を防ぐ
盾なり
汝(な)が身を常に守る
陰なり
夜は月昼は日も
汝(なれ)をば損(そこ)のうまじ

み神は災いをも
避けしめ
疲れし魂をも
休ます
出(い)ずるおり、入(い)るおりも
絶えせず汝(なれ)を守らん

text:別所梅之助(1872-1945)
tune: Charles Henry Purday(1799–1885)

今回は対訳ではない。決して手抜きではない。すまぬ。
旧約聖書詩編121編のまるまる引用だが、元からある聖歌を訳したのではなく日本で作られた歌詞であることに特色がある。明治の文章はリズムがあって実に良い。

(都に上る歌。)
目を上げて、わたしは山々を仰ぐ。わたしの助けはどこから来るのか。
わたしの助けは来る
天地を造られた主のもとから。
どうか、主があなたを助けて
足がよろめかないようにし
まどろむことなく見守ってくださるように。
見よ、イスラエルを見守る方は
まどろむことなく、眠ることもない。
主はあなたを見守る方
あなたを覆う陰、あなたの右にいます方。
昼、太陽はあなたを撃つことがなく
夜、月もあなたを撃つことがない。
主がすべての災いを遠ざけて
あなたを見守り
あなたの魂を見守ってくださるように。
あなたの出で立つのも帰るのも
主が見守ってくださるように。今も、そしてとこしえに。
(詩編121編)



立教女学院
収録CD: ひかりにあゆめよ 私たちの聖歌



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by CockRobin96 | 2015-04-12 20:55 | Trackback | Comments(0)

Ye Choirs of New Jerusalem《汝ら新しきエルサレムの聖歌隊よ》


*Ye choirs of new Jerusalem,
Your sweetest notes employ,
The Paschal victory to hymn
In strains of holy joy.
*汝ら新しきエルサレムの聖歌隊よ、*1
こよなく甘美な歌声をもて、
過越の勝利をほめ歌え、
この聖なる歓びの調べで。

For Judah's Lion bursts His chains,
Crushing the serpent's head;
And cries aloud through death's domains
To wake the in prison'd dead.
ユダの獅子がおのが鎖をひきちぎり、*2
蛇の頭を砕き給うたゆえに。*3
そして高らかに咆哮する、死の支配をひき裂いて、
囚われの死者を目覚めさせるため。

*Refrain
*繰り返し

Devouring depths of hell's their prey
at His command restore,
His ransom'd hosts pursue their way
Where Jesus goes before.
地獄の深みでむさぼられていた餌食達は
今や主のみもとに返され、
主に贖われた者達の群れはたどっていく、
イエスが先立って行かれた道を。

Triumphant in His glory now
To Him all power is given;
To Him in one communion bow
All saints in earth and heaven.
今こそ主の栄光のうちに勝ち誇れ、
全ての力は彼に与えられた。
主に献げる聖餐の場で、
地と天の全ての聖徒らが膝をかがめる。

While we, His soldiers praise our King,
His mercy we implore,
Within His palace bright to bring
And keep us evermore.
主の兵士(つわもの)なるわたしたちは、王を賛美する、
主の憐れみをわたしたちは乞い願う、
主の宮の輝きに導きいれ、
わたしたちをとこしえにお守りくださることを。

*Refrain
*繰り返し

All glory to the Father be,
All glory to the Son,
All glory, Holy Ghost, to Thee,
While endless ages run.
Alleluiah! Amen.
全ての栄光が父にあるように、
全ての栄光が子に、
全ての栄光が聖霊に、あなたに、
世々に限りなくありますように。
アレルヤ、アーメン!

*1 『ヨハネの黙示録』に登場する概念。キリストの再臨、最後の審判の後、善と正義に満ちた天地が新しく創造され、キリストの花嫁として新しいエルサレムが降りてくるとされる。
*2 キリストを指す。「見よ。ユダ族から出た獅子、ダビデのひこばえが勝利を得たので、七つの封印を開いて、その巻物を開くことができる。」(黙示録5:5)
*3 『創世記』でエバをそそのかした蛇は、神に「お前と女、お前の子孫と女の子孫の間に/わたしは敵意を置く。/彼はお前の頭を砕き/お前は彼のかかとを砕く。」(創世記2:15)と呪われた。絵画の中で聖母やキリストはしばしば蛇を踏みつけ、原罪を克服したことを示している。

text: Fulbert de Chartres (c.960-1028)
tune: Charles Villiers Stanford (1852-1924)

中世フランスでシャルトルの大司教だったフルベールによる詩を、Robert Campbell (1814-1868)が英訳したもの。人気のある歌詞で、さまざまなメロディがあてられた。


マティアス・グリューネヴァルト(c.1480-1528)
「イーゼンハイム祭壇画」より「キリストの復活」1511-1515年
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イギリスのことわざに「March comes in like a lion, and goes out like a lamb. (三月は獅子のごとく来たりて、子羊のごとく去る)」というのがあり、三月の天気の不安定さを表しているが、イースターが基本的に三月と四月のどちらかになることもかかっているのかもしれない。
獅子も小羊もキリストの象徴ではある。
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収録アルバム: Stanford: Anthems & Motets


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by CockRobin96 | 2015-04-07 22:21 | Trackback | Comments(0)

Christ The Lord Is Risen Again《主なるキリストは再び目覚め》


Christ the Lord is risen again!
Christ hath broken ev'ry chain!
Hark, the angels shout for joy,
Singing ever more on high,
Alleluia!
キリスト、主は再び目覚められた!
キリストは全ての鎖をうち砕かれた!
聞け、天使らが歓び叫ぶのを、
いと高きところでとこしえに歌うのを、
アレルヤ!と。

He who gave for us his life,
Who for us endur'd the strife,
Is our Paschal Lamb today!
We too sing for joy and say
Alleluia!
その命をわたしたちに給われた方、
わたしたちのために争いをも耐え忍ばれる方が
この日の過越の小羊なのです!
わたしたちは歓び歌い、叫ぶ、
アレルヤ!と。

He who bore all pain and loss
(Alleluia, alleluia)
Comfortless upon the cross,
(Alleluia, alleluia)
Lives in glory now on high,
(Alleluia, alleluia)
Pleads for us, and hears our cry.
Alleluia!
彼は貫かれてあらゆる痛みと喪失を味わわれ、
(アレルヤ、アレルヤ!)
慰めもなく十字架にあげられた。
(アレルヤ、アレルヤ!)
今や栄光のうちに、いと高き処で生きておられる、
(アレルヤ、アレルヤ)
わたしたちのために嘆願し、叫び声に耳を傾ける。
アレルヤ!

Now he bids us tell abroad
(Alleluia, alleluia)
How the lost may be restor'd,
(Alleluia, alleluia)
How the penitent for giv'n,
(Alleluia, alleluia)
How we too may enter heav'n.
Alleluia!
今、彼は四方に命じ語りかけられる。
(アレルヤ、アレルヤ!)
どれほどの迷ったものが正しい道に返され、
(アレルヤ、アレルヤ!)
改悛するものに慰めが与えられ、
(アレルヤ、アレルヤ!)
天国に入らせられることでしょう。
アレルヤ!

Thou, our Paschal lamb indeed,
Christ, today thy people feed;
Take our sins and guilt away,
That we all may sing for ay,
Alleluia!
あなたこそ、わたしたちの過越の子羊。
キリストよ、この日あなたの民に糧を与え
わたしたちの罪と咎(とが)をとり去り、
とこしえにわたしたちに歌わせてください、
アレルヤ!と。

text: Michael Weisse (c.1480-1534)
tune: John Rutter (1945-)

Cathrine Winkworth(1829-1878)による訳詞。より人気の高いチャールズ・ウェスレーの聖歌《ほろぶるものを Christ the Lord Is Risen Today》との混同に注意。
ラターについては《生誕のキャロル》を参照。


また、わたしは、天と地と地の下と海にいる全ての被造物、
そして、そこにいるあらゆるものがこう言うのを聞いた。
「玉座に座っておられる方と小羊とに、賛美、誉れ、栄光、
そして権力が、世々限りなくありますように。」
四つの生き物は「アーメン」と言い、長老たちはひれ伏して礼拝した。
(ヨハネの黙示録 第5章13-14節)

『ベアトゥス黙示録ファクンドゥス写本』より「小羊の礼拝」
↑については《甘き歓びのうちに》に既出。上部にいる人と獣の頭を持つ天使は、それぞれ四つの福音書の書記者をあらわしている。左から人頭がマタイ、獅子がマルコ、牛がルカ、鷲がヨハネである。
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Cambridge Singers
収録アルバム: Rutter: Te Deum and Other Church Music


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by CockRobin96 | 2015-04-07 22:09 | Trackback | Comments(0)

This Joyful Eastertide《この喜ばしいイースターの季節に》


This joyful Eastertide,
away with sin and sorrow!
My Love, hath Crucified,
hath sprung to life this morrow.
*Had Christ, that once was slain,
ne'er burst his three-day prison,
our faith had been in vain;
but now hath Christ arisen,
arisen, arisen, arisen.
この喜ばしいイースターの季節に、
原罪と悲しみは離れ去った!
わたしの愛する、十字架にかけられた方は、
この朝起きあがり、復活なされた。
*キリストは一度はほふられたが、
なんと三日で地獄を破られた。
わたしたちの信仰も虚しさのうちにあったが、
今やキリストはよみがえった、
よみがえった、よみがえった、よみがえった!

My flesh in hope shall rest,
and for a season slumber,
till trump from east to west
shall wake the dead in number.
*Refrain
わたしの身体は希望のうちに安らぐでしょう、
しばし死の眠りについている間は。
東から西までラッパが響き渡れば、*1
あまたの死人が目覚めることでしょう。
*繰り返し

Death's flood hath lost its chill,
since Jesus crossed the river:
Lover of souls, from ill
my passing soul deliver,
*Refrain
死の大水の冷たさは失われた、
イエスがその大河を渡られたときから。
全ての魂の友よ、邪悪から
流れを渡るわたしの魂をもお救いください。
*繰り返し

*1 『ヨハネの黙示録』に登場する、災いを呼ぶ七つのラッパ。七人の天使によって吹き鳴らされた後、さまざまな災害が起こり、世界は最後の審判を迎える。その際に地も海も死者を吐き出し、死者は生者と同じく裁かれる。

text: George Ratcliffe Woodward (1848–1934)
tune: 17世紀オランダのメロディ

復活祭がやってきた、ハレルヤ。
バターも、チーズも、
ヨモギギクで風味をつけた
オムレツとプリンも戻ってきた。
(16世紀イギリスのキャロル)

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画像は、ロマノフ王朝が1885年以来十月革命まで、ファベルジェの工房に作らせ続けたイースターエッグのうちのひとつ。
イースターにつきものの卵は、無から有を生み出す生命力や復活をあらわすとともに、灰水曜日から始まった長い断食の終了を象徴する食べ物でもあった。現在ではチョコレートやプラスチックで代用されることもある。イースターエッグを庭に隠して見つけ出す遊びはドイツから発祥したと言われている。ちなみに、イースターエッグを運んでくる兎は、交尾せずに繁殖できると考えられていた時期があり、処女懐胎したマリアと結びつけられた。

Choir of King's College, Cambridge/Sir Philip Ledger
収録アルバム: Music for Holy Week



おまけ
卵とイースターの関係など、中世の食料事情を面白おかしく解説するエッセイ

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by CockRobin96 | 2015-04-03 23:27 | Trackback | Comments(0)

Victimae Paschali laudes《過越の犠牲をほめたたえよ(われらのすぎこし)》


Victimae paschali laudes
過越(すぎこし)の犠牲(いけにえ)をほめたたえよ、*1
immolent Christiani
ほふられたキリストを。
Agnus redemit oves:
子羊が羊を贖われた。*2
Christus innocens Patri
キリスト、無原罪の父は
reconciliavit peccatores.
罪人を悔い改めさせてくださる。
Mors et vita duello
死と生は相争い、
conflixere mirando:
驚くべき戦いをおこなった。
dux vitae mortuus,
死せる人が、
regnat vivus.
生命を支配した。
Dic nobis Maria
わたしたちに語れ、マリア、*3
quid vidisti in via?
道で何を見たのかを。
Sepulcrum Christi viventis,
「葬られたキリストが生きておられるのを、
et gloriam vidi resurgentis:
そしてそのよみがえりの栄光とを見ました。
Angelicos testes,
天使の証と、
sudarium, et vestes.
残された布を見ました。
surrexit Christus spes mea:
目覚められたキリスト、わたしの望みは、
praecedet suos in Galilaeam
ガリラヤに先行き待っておられます。」
Scimus Christum surrexissae
キリストはよみがえられた、
amortuis vere:
死のうちからまことに。
tu nobis, victor Rex, miserere.
勝利の王よ、わたしたちに憐れみを。
Amen. Alleluia.
アーメン、アレルヤ。

*1 イースターの原型となったユダヤ教の行事「過越の祭」。旧約聖書『出エジプト記』で、神がエジプトに災害をもたらした際、ユダヤ人の家を「過ぎ越」したことを記念する。神への目印のために子羊を屠殺してその血をドアに塗り、肉は焼いて食べる。この犠牲の子羊はイエスの象徴でもある。
*2 神と人の関係は、しばしば善良な羊飼いと羊の群れに例えられる。「わたしたちは羊の群れ/道を誤り、それぞれの方角に向かって行った」(イザヤ書53:6)。
*3 マグダラのマリア。各福音書ではイエスに七つの悪霊を追い出してもらった女性として言及され、伝統では「罪深い女」「ラザロとマルタの姉妹マリア」などと同一人物であるとされる。彼女の罪とは、娼婦あるいは姦通の類いとみなされている。娼婦を始めとする罪に苦しむ女、悔い改める罪人の守護聖人。民衆劇では福音記者ヨハネの元婚約者、異端信仰ではイエスの恋人や妻などとされることもある。

text & tune: Wipo (act c.1020-1040)

マリアは墓の外に立って泣いていた。
泣きながら身をかがめて墓の中を見ると、イエスの遺体の置いてあった所に、白い衣を着た二人の天使が見えた。
一人は頭の方に、もう一人は足の方に座っていた。
天使たちが、「婦人よ、なぜ泣いているのか」と言うと、マリアは言った。
「わたしの主が取り去られました。どこに置かれているのか、わたしには分かりません。」
こう言いながら後ろを振り向くと、イエスの立っておられるのが見えた。
しかし、それがイエスだとは分からなかった。
イエスは言われた。
「婦人よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか。」
マリアは、園丁だと思って言った。
「あなたがあの方を運び去ったのでしたら、どこに置いたのか教えてください。
わたしが、あの方を引き取ります。」
イエスが、「マリア」と言われると、彼女は振り向いて、ヘブライ語で、「ラボニ」と言った。
「先生」という意味である。
イエスは言われた。
「わたしにすがりつくのはよしなさい。まだ父のもとへ上っていないのだから。
わたしの兄弟たちのところへ行って、こう言いなさい。
『わたしの父であり、あなたがたの父である方、また、わたしの神であり、あなたがたの神である方のところへわたしは上る』と。」
マグダラのマリアは弟子たちのところへ行って、「わたしは主を見ました」と告げ、また、主から言われたことを伝えた。
(ヨハネによる福音書 第20章11-18節)

中世に作られた復活日のミサのための曲。作者は神聖ローマ皇帝コンラート二世に仕えた人物。
復活したイエスに一番最初に会うという最高の栄誉を与えられたのは、かつて罪深い女と呼ばれたマグダラのマリアであった。イエスは何故マグダラのマリアを突き放したのか。『ヨハネによる福音書』ではこのエピソードの後、弟子のひとりトマスが釘のあとと脇腹の傷を触って確認しなければ信じないと言い張る。トマスは触れることでやっと信じたが、マリアは見ただけでイエスを信じることができたからこそ、この栄誉にふさわしいとされたわけである。

ティツィアーノ(1488/90-1576)「ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)」1511-12年
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日本語歌詞:「我らの過ぎ越し」
われらのすぎこし、
主はほふられぬ。
世の罪を負い、
こひつじなる主は
み父にとりなしたもう。
はげしきいくさを
死とたたかいて、
いのちの主は勝ちたもう。
語れ、マリヤ、
汝(な)が見しままを。
「むなしきみ墓と
 生ける主をわれは見たり。
 布のみ残りて
 さかえはみちぬ。
 望みなる主イエス
 ガリラヤにゆきたもう」。
主はげに死に勝ちて
世をすべたもう。
主よ、あわれみたまえや。
アーメン

聖モーリス及びモール修道院ヴネディクト派修道士聖歌隊
収録アルバム: Gregorian Chant


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by CockRobin96 | 2015-04-03 23:01 | Trackback | Comments(0)

Stabat Mater《たたずめる御母》


Stabat Mater dolorosa,
Juxta crucem lacrimosa,
Dum pendebat Filius.
たたずめる御母は悲しめり、
十字架のそば涙にくれぬ、
御子のかかりし十字架のそば。

Stabat Mater dolorosa,
Juxta crucem lacrimosa,
Dum pendebat Filius,
Dolorosa,
lacrimosa,
Dum pendebat Filius.
たたずめる御母は悲しめり、
十字架のそば涙にくれぬ、
御子のかかりし十字架のそば、
悲しめり、
涙にくれぬ、
御子のかかりし十字架のそば。

text: c. Jacopone da Todi (1233-1306)
tune: Giovanni Battista Pergolesi (1710-1736)

イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた。
イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に、
「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です」と言われた。
それから弟子に言われた。
「見なさい。あなたの母です。」
そのときから、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。
(ヨハネによる福音書 第19章25-27節)

《スタバト・マーテル》《悲しみの聖母》《十字架のもとに母ぎみ立ちいて》とも。本来は20連もある長い詩。わが子が罪人として辱められ、惨い死に方をするのを目の当たりにするという聖母の悲しみに思いを寄せる哀切な詩で、中世以来非常に人気が高く、多くの作曲家がメロディをつけた。
ペルゴレージは作曲家としての才能に溢れながらも若くして世を去った。この曲を始めとする連作《スタバト・マーテル》は、死の直前に書き上げられた作品である。
イエスの母マリアを託された「愛する弟子」とは、《父の御言葉が人となる》で解説した福音記者ヨハネであるとするのが一般的。
ディルク・バウツ『悲しみの聖母』
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グレゴリオ聖歌の《たたずめる御母》


十字架のもとに 母ぎみ立ちいて
涙にくれぬ
苦しみの剣(つるぎ) 優しき心を
刺し貫けり

とうとき神の子 主イエスの母なる
栄えは何処(いずこ)
呪(のろ)いの十字架に 御子は痛ましく
苦しみたもう

世人(よびと)の嘲り 胸裂く痛みの
苦き杯(さかずき)
飲み干したまえる 御子を見守りて
御母は立てり

主イエスよ 御母の 気高き姿に
弱き我をも
奮い立たしめて 清けき愛にて
満たしたまえや




グレゴリオ聖歌版


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by CockRobin96 | 2015-04-03 22:31 | Trackback | Comments(0)