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My Bonnie lies over the ocean《わたしのいい人は大海原の彼方に眠る(マイ・ボニー)》


My Bonnie lies over the ocean
My Bonnie lies over the sea
My Bonnie lies over the ocean
Oh bring back my Bonnie to me
わたしのいい人は大海原の彼方に眠る*1
わたしのいい人は海の彼方に眠る
わたしのいい人は大海原の彼方に眠る
ああ、わたしのいい人を返してよ

*Bring back, bring back
Bring back my Bonnie to me, to me
Bring back, bring back
Bring back my Bonnie to me
*返してよ、返してよ、
わたしに、わたしに、あの人を返して
返してよ、返してよ、
わたしにあの人を返してよ

Last night as I lay on my pillow
Last night as I lay on my bed
Last night as I lay on my pillow
I dreamt that my Bonnie was there.
夕べ枕に頭を横たえていると
夕べ寝床に横たわっていると
夕べ枕に頭を横たえていると
わたしのいい人がそこにいる夢を見た*2

*Refrain
*繰返し

Blow the winds over the ocean
Blow the winds over the sea
Blow the winds over the ocean
To bring back my Bonnie to me
風よ吹き渡れ、大海原を越えて
風よ吹き渡れ、海を越えて
風よ吹き渡れ、大海原を越えて
わたしのいい人を連れ戻して

*Refrain
*繰返し

The winds have blown over the ocean
The winds have blown over the sea
The winds have blown over the ocean
And brought back my Bonnie to me
風が大海原を越えて吹き渡り
風が海を越えて吹き渡り
風が大海原を越えて吹き渡り
わたしのいい人を連れ戻した

*Refrain
*繰返し

*1 bonnie(bonny) スコットランドや北イングランドの方言で、「うるわしの」「ハンサムな」「風采のいい」など。
*2 本来は「my Bonnie was dead(わたしのいい人は死んでしまった)」となっている。子供向けのアレンジなのでやっぱ死ぬのはまずい。

text & tune: スコットランド民謡

異国の地で没した恋人への思いを歌う恋歌と見ることもできるが、スコットランド人の愛国心を隠した政治的な歌とすることもできる。ボニー(いい人)とはBonnie Prince Charlie(うるわしのチャーリー王子)と呼ばれたチャールズ・エドワード・ステュアートを指すとされる。(→《ロッホ・ローモンド》)。先だってイギリスから追い出されたジェームズ2世の孫息子チャーリーは、イギリスの王位奪還を企てイギリスに上陸したが、カローデンの戦いで大敗北を喫し、女装して追っ手を逃れ、フランスからローマに亡命した。それ以後不遇の生涯を送り、二度とイギリスに戻ることはできなかった。
カトリックの(というか自分たちに味方してくれる)王を戴くことが悲願であったスコットランド人にとって、チャーリーは実際の人物像を超えた象徴的な存在となった(実在のチャーリーは顔はいいけどあんまり有能ではなく、その上敗北後は心が折れたっぽい)。いつの日か血筋と美とカリスマを兼ね備えたスコットランド王の帰還があると信じ、この歌に託して歌ったのである。
繰り返しが多く覚えやすいので、子供の歌の鉄板ソングにもなっている。

漣健児の日本語訳で歌われる《恋人は海の彼方》


参考サイト:
古戦場カローデンのルポ
スコットランドの歴史に関連する様々なバラッド

Anuradha Javeri
収録アルバム: Nursery Rhymes: Hooplakidz, Vol. 4


ジャケットは死ぬほどダサいが編曲と声は素敵だ

おまけ

坂田靖子の短編集『村野』に、この歌を元ネタにした短編漫画が収録されている。
海難事故で死んだ美少年の幽霊につきまとわれ怯える男が、幽霊の見える友人に見てもらったら…
なんで美少年なのかというと、掲載されたのがJUNE(ジュネ)だったから。知ってる? ジュネ。
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by CockRobin96 | 2016-03-30 21:32 | Trackback | Comments(0)

The Devil And The Farmer's Wife《悪魔と農家の女房》


Well there was an old man living up on the hill
If he ain't moved away, he's a livin' there still
*Hi diddle ai diddle hi fi,
diddle ai diddle ai day
爺さんがひとり丘の上に住んでいた
もし引っ越してなけりゃ、まだ住んでるだろう*1
*(ハイ・ディドライ・ディドライ・ファイ
 ディドライ・ディドライ・デイ)

The Devil he came to the farmer one day
said "One of your kin I'm gonna take away"
*Refrain
ある日悪魔が農夫のところにやってきて
「お前の家族をひとりを連れて行くぞ」
*繰り返し

"Well please don't take my eldest son
There's work on the farm that's gotta be done"
*Refrain
「どうか長男だけは連れてかないでくれ、
 畑仕事を終わらせたいから」
*繰り返し

"But you can have my nagging wife
By God, she's the curse of my life"
*Refrain
「だがやかまし屋の女房なら連れてってもいい、
 全くのところ、あれは俺の一生の災いの種だ」*2
*繰り返し

So he threw the old lady over his back
and he headed down the road with a clickety clack
*Refrain
そこで悪魔は老婆を背中に担いで
デコボコ道を降っていった
*繰り返し

He put her down at a fork in the road
said "By God lady, you're one hell of a load"
*Refrain
悪魔は婆さんを分かれ道に置いて*3
「全く奥さん、あんたは地獄一つ分くらい重いな」
*繰り返し

Well he carried her down to the gates of hell
Said "Stoke up the fire boys, we'll roast her well"
*Refrain
悪魔は地獄の門まで婆さんを運んできて
「釜焚き係よ火を起こせ、こいつをよーく焼いてやろう」
*繰り返し

Come along a little devil with a ball and a chain
She upped with her foot and knocked out his brain
*Refrain
小悪魔が足枷を持ってくると*4
婆さん小悪魔を蹴り上げて、脳みそをぶちまけた
*繰り返し

Two little devils come peeking round the door
She up with her elbow killed 10 more
*Refrain
二匹の小悪魔が扉から覗き見たら
婆さんは肘を突き上げて十匹あまりを殺してた
*繰り返し

A hundred little devils come a climbing up the wall
Said "take her back daddy she'll murder us all"
*Refrain
百匹もの小悪魔が壁を駆け上がり
「返品してくれおとっつぁん、こいつはおいら達みんなを殺す気だ」
*繰り返し

Well the Farmer upped and he looked out a crack
said "Oh my god he's a bringing her back!"
*Refrain
さて農夫が起きてドアを細く開けて見たら*5
「なんてこった、悪魔が女房を返しにきやがった!」
*繰り返し

Well the farmer he crawled up under his bed
But she yanked him out by the hair on his head
*Refrain
農夫はベッドの下に這いつくばったが
婆さん髪の毛つかんで引きずり出した
*繰り返し

"Well here's your wife I hope she's well,
If I'd a kept her any longer, she'd have ruined hell"
*Refrain
「お前の女房だぞ、婆さん達者でな
 こいつがいたら、地獄がメチャクチャになっちまう」
*繰り返し

"Well I've been a devil most all of my life
But I never been in hell till I met your wife"
*Refrain
「俺も長いこと悪魔をやってきたが
 お前の女房みたいなのには会ったことがない」
*繰り返し

Guess this proves that the women are stronger than the men
To go down to hell and come back again
*Refrain
考えてごらん、女は男よりも強いということを
地獄に落ちてもまた戻ってくるほどに
*繰り返し

*1 18世紀イギリスで文献初出したナーサリーライム(マザーグース)に、「Here was an old woman/Liv'd under a hill/And if she ben't gone,She lives there still」で始まる短いナンセンス歌がある。ただし、シェイクスピアの『リア王』に似た言い回しがあり、起源はもっと古いと思われる。
*2 By God=神かけて、絶対、本当に。驚き、不信、不愉快なニュアンスがある。
*3 三叉路や十字路は不思議な力を持つという信仰が世界中にある。悪霊の力を抑えるため、犯罪者の死体を埋めたり、祠を建てたりした。転じて悪魔が好む場所でもある。伝説的歌手ロバート・ジョンソンは、「十字路で悪魔と契約した」と言われている。
*4 昔の囚人とか奴隷が足につけてる、鉄球がついたアレ。
*5 crackはスキマのことだが、本当はドアに限らず窓、壁の裂け目なども指す。

text&tune: スコットランド起源のアメリカ民謡

嫌がらせに長男連れてけばいいのに、馬鹿正直に女房連れてくとか悪魔もアホちゃうか。
「お前の宝物を一つ奪ってやる!」「これもういらないから持ってっていいよ」「ヤッター」みたいなもんやぞ。

The Farmer's curst Wife《農夫の意地悪女房》というタイトルもある。歌詞に膨大なバージョンがあり、「女は悪魔よりも悪い」という趣旨のものもある。尻に敷かれる男の女に対する当てこすりとも、抑圧される女の内なる願望とも取れる。元はスコットランド民謡だが、アメリカでも非常に愛好された。囃し言葉の部分も多岐にわたり、「So Daddy be gay and eat candy(父っつあん陽気にやりな、飴を食べな)」という珍妙なものもある。

Robin Greenstein
収録アルバム:Images of Women



参考文献
アメリカフォークソングの世界 (民俗民芸双書)


おまけ・いろんなバージョン


《花はどこへいった》で知られるフォークシンガー、ピート・シーガーのバージョン






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by CockRobin96 | 2016-03-27 10:49 | Trackback | Comments(0)

The Felix the Cat Theme《フィリックス・ザ・キャットのテーマ》


Felix The Cat,
猫のフィリックス、
The Wonderful Wonderful Cat.
とってもフシギな猫。
Whenever He Gets In A Fix,
困ったことになればいつだって
He Reaches Into His Bag Of Trix.
ステキなカバンの中に手を伸ばす。*1

Felix The Cat,
猫のフィリックス、
The Wonderful Wonderful Cat.
とってもフシギな猫。
You'll Laugh So Much Your Sides Will Ache,
横っ腹が痛くなるくらい笑わせちゃうよ、
Your Heart Will Go Pit A Pat.
君のハートをドキドキさせるよ。

Watching Felix, The Wonderful Cat.
フィリックスにご注目、フシギな猫に。

*1 Trix(Trixie)は本来女性名Beatrix(ベアトリクス)の愛称だが、Trick(いたずら、手品、口語でオシャレ、素敵などの意)の表記ゆれ。

text&tune: Winston Sharples (1909–1978)

フィリックスはミッキー・マウスよりも歴史が古い、黒猫のアニメキャラクター。田河水泡の「のらくろ」のモデルにもなった。ミッキーの登場と、プロデューサーの死による版権の混乱で一時は落ちぶれたが、戦後にキャラ設定をリニューアルされ、1958年にカラーアニメとなった。魔法の黄色いカバンを持ち歩き、それを奪おうとする敵キャラによって窮地に陥ると、カバンを様々なものに変形させて解決する。ドラえもんの元ネタではないかとも言われている。あれ? じゃあすごいのはカバンだけでフィリックスじゃないんじゃないかと思ったけど、二本足で歩く猫も充分すごいと思い直す。
日本でも人気キャラで、様々な企業のマスコットキャラになっている。
ちなみに嫁がいる模様。

オープニングのテーマ


戦前の白黒アニメの頃のフィリックス


日本語版公式サイト


Cartoon Theme Players
収録アルバム: Classic Cartoon Theme Songs

アイチューンには違う歌手のしかなかった

CDのみ
カートゥーンネットワークで育った奴にしかわかんないぞこれ

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by CockRobin96 | 2016-03-23 21:36 | Trackback | Comments(0)

The Murder of the Lawson Family《ローソン家の殺人》


It was on last Christmas Evening;
A snow was on the ground.
His home in North Carolina
Where the murderer was found
His name was Charlie Lawson,
And he had a loving wife.
But we'll never know what caused him
To take his family's life.
それは去年のクリスマスの夕べのこと、
一面の雪だった。
その家はノースキャロライナにあった、
殺人事件が見つかった場所は。
彼の名はチャーリー・ローソン、
愛しい妻もいた。
だが我々には決してわからない、どうして
彼が自分の家族の命を奪ったのか。

They say he killed his wife at first,
And then the little ones did cry,
"Please, Papa, won't you spare our life?
For it is so hard to die!'
But the raging man could not be stopped;
He would not heed their call,
And he kept on firing fatal shots
Until he killed them all.
まずは妻を殺したそうだ、*1
そしておチビさんたちが叫んだそうだ。
「お願い、パパ、わたしたちがかわいくはないの?
 死ぬのはすごく怖いんだもの」
だが荒れ狂う男を止めることはできなかった、
彼は子供達の声を気にも留めず
破滅の銃弾を撃ち続けた
みんなを殺し尽くすまで。

And when the sad, sad news was heard
It was a great surprise.
He killed six children and his wife,
And then he closed their eyes.
"And now farewell, kind friends and home;
I'II see you all no more.
Into my breast I'll fire one fatal shot;
Then my troubles will be o'er."
悲しい悲しいニュースが知らされた時
これは大変な驚きだった。
彼は六人の子供たちと妻を殺して
彼らの目をつむらせた。
「さよならだ、親切だった友達に故郷よ、
 もう二度と会うことはない。
 俺の胸にこの破滅の銃弾を撃ちこんだら
 この災難もおしまいだ」

They did not carry him to jail;
No lawyers did he pay.
He'll have his trial in another world
On the final judgment day.
They were all buried in a crowded grave
While angels watched above.
"Come home, come home, my little ones.
To the land of peace and love."
みんなはチャーリーを刑務所に連れてかなかったし、
弁護士も依頼を受けなかった。
チャーリーは異世界で裁きを受けるだろうから
かの最後の審判の日に。
一家がすし詰めの墓地に埋葬される間
天使が空から見守った。
「おかえり、おかえり、おチビさんたち。
 安らぎと愛のみ国へおいで。」

*1 実際にはまず次女(12)と三女(7)、しばらく置いて妻、長女(17)、隠れようとした次男(4)と三男(2)、最後に四女(4ヶ月)の順で殺害した。チャーリーは遺体を納屋に手を組んだ状態で安置した後、自分に銃を向けて自殺した。

text & tune: アメリカ民謡。1956年に初めてレコーディングされた。

のどかなメロディとは裏腹に、非常に陰惨な歌詞を持つ不気味なバラッド。Christmas Family Tragedy《クリスマスの惨劇》とも。
1929年のクリスマスの日、ノースキャロライナでタバコ農場を営むチャーリー・ローソンが、散弾銃で妻と6人の子供達を殺害し、自殺したという実際の事件が元になっている。この際、長男(16)だけがお使いに出かけていて無事だった。特異なのは、この直前に一家は町に出かけておめかしし、家族写真を残しているということである。
事件の経過は英語版ウィキに詳しく掲載されている。経営が苦しかった説の他、チャーリーが頭に障害があり情緒不安定だったという説があるが、検視の結果は異状なし。もう一つ、長女が妊娠しており、その相手が父チャーリーだったという説もある。検死結果について書いてないからなんとも言えん。
事件の後、チャーリーの弟が家を公開してツアー客を呼び込んでいた。それってどうなの。長女がクリスマスのために焼いてたケーキなどを展示してたが、客がレーズンなどをちょろまかしていくのでガラスカバーを被せたそうな。それもどうなの。

追記:今気づいたけど、タグ:殺人バラッドの曲ってほとんどノースキャロライナの事件やんけ! ノースキャロライナにだけは絶対行かないようにするわ。

殺人バラッドや天災・大事故をテーマにしたバラッドばかり集めたアルバム。怖すぎ。
Carolina Buddies
収録アルバム: People Take Warning! Murder Ballads & Disaster Songs 1913-1938


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by CockRobin96 | 2016-03-14 21:23 | Trackback | Comments(0)

Haec dies《この日こそ》



Haec dies
この日こそ
quam fecit Dominus.
主の創り給いし日。
Exultemus,
歓べ、
et letemur
喜べ、
in ea.
この日ゆえに。
Alleluia.
アレルヤ。

text: 旧約聖書詩篇118:24
tune: William Byrd(1543-1623)

詩篇118編は、元来ユダヤ教では年3回の都に詣でる祝日、すなわち過越(すぎこし。出エジプトの直前、エジプトを襲った災いを神の加護により「過ぎ越した」ことを記念)の祭り、五旬節(ごじゅんせつ。十戒を与えられたことを記念)、仮庵(かりいお。出エジプトの後荒野でキャンプしたことを記念)の祭りで歌われたもの。このうち過越、五旬はキリスト教ではイースター、聖霊降臨節と化した。神の救いが示されたことを喜び祝う歌詞なのである。
なお、グレゴリオ聖歌ではイースターの昇階唱として使用される。


プレミアついちゃってるDVD


Trinity College Choir, Cambridge
収録アルバム: Byrd: Cantiones Sacrae, Book I and Ii (Excerpts)

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by CockRobin96 | 2016-03-11 19:59 | Trackback | Comments(0)

Frankie and Johnny《フランキーとジョニー》


Frankie and Johnny were sweethearts
Oh, what a couple in love
Frankie was loyal to Johnny
Just as true as the stars above
フランキーとジョニーは好き同士*1
ああ、恋に落ちた仲だった
フランキーはジョニーに誠実だった
まるで星空のように真実だった

He was her man
But he done her wrong
彼は彼女の男だったのに、
彼は彼女を裏切った

Frankie went down to the drugstore
Some ice cream she wanted to buy
The soda jerk told her that Johnny
Was making love to Nellie Bly
フランキーはドラッグストアに入っていった
アイスクリームを買いたかったから
ソーダ水の売り子が彼女に言うことには、ジョニーが
ネリー・ブライを口説いてたって*2

He was her man
But he was doing her wrong
彼は彼女の男だったのに、
彼は彼女を裏切った

Now Frankie's dad was a policeman
She stole his old forty four gun
Then back to the drugstore she beat it
Just as fast as she could run
フランキーのパパは警官だった
フランキーはパパの古びた44口径を盗み出し*3
ドラッグストアに足音高くとって返した
できる限り速く走って

After her man
Who was doing her wrong
それからどうなった
彼女を裏切った男は

Now Frankie peaked in on the party
She got a surprise when she saw
That Nellie and Johnny were making love
And sipping soda through a straw
フランキーはパーティの最中踏み込んで
ネリーを見つけてびっくり仰天
ネリーとジョニーがいちゃついてたから
ソーダ水をストローでチュウチュウやりながら

He was her man
But he was doing her wrong
彼は彼女の男だったのに、
彼は彼女を裏切った

So Frankie flew into a tantrum
She whipped out that old forty four
And her rootie toot boom, that gal did shoot
Right through that hard wood swinging door
それでフランキーはカッと逆上して
古びた44口径を抜きはなった
ルン・タン・バン!と、彼女がぶっ放したそれは*4
硬い木のスイングドアをまっすぐ貫通した

She shot her man
'Cause he was doing her wrong
彼女は男を撃った
男が彼女を裏切ったから

So bring on your crepe and your flowers
Bring on your rubber tired hack
'Cause there's eight men to go to the graveyard
But only seven are coming back
だからお前の喪章と花を持ってきておくれ*5
ゴムタイヤの四輪車も*6
だって8人の男が墓地に行って
戻ってきたのはたったの7人

She shot her man
'Cause he was doing her wrong
彼女は男を撃った
男が彼女を裏切ったから

Now this is the end of my story
And this is the end of my song
Frankie is down in the jail house
And she cries the whole night long
これで俺の話はおしまい
これで俺の歌はおしまい
フランキーは刑務所に入れられて
長い夜を泣き暮らしてる

"He was my man
But he was doing me wrong"
「彼はあたしの男だったのに
 彼はあたしを裏切った」

*1 フランキーはフランシスの愛称。フランシスは男性女性どちらにも使う名前。サイボーグ船大工ではない。
*2 アメリカで人口に膾炙したS・フォスターの曲のヒロインの名でもあり、19世紀の女性ジャーナリストの筆名でもある。魅力的な黒人女性を指しているとも取れる。

*3 1950年代に開発された大口径の弾薬、44マグナム弾を使うピストルの総称。映画『ダーティ・ハリー』シリーズの主人公が愛用しているリボルバーが最もよく知られる。拳銃としてはかなりでかく、反動も強烈なので、手が小さい人には扱えない。フランキーはゴリラか何かか。
*4  rooty-toot-toot、Rum-tum-tumなどのパターンがある。いずれも弾丸の擬音およびそのものと思われる。rooting-tootingは騒々しい、賑やかな、という意味。また3発ではなく5発ぶち込んだとするバージョンもある。るんたった。
*5 crepeはcrapeとも。パンケーキの薄いのではなく、ちりめん生地の喪を示すリボン、あるいは葬儀用の服。もしかして、紙細工の花。
*6 馬車と自動車のどちらも指す。

text & tune: 1904年に初出したアメリカ民謡。

実際の殺人事件を元に作られた殺人バラッドの一つ。膨大なバリエーションがある。
1899年、当時22歳のフランキー・ベイカーという女性が、17歳の恋人アレン(またはアルバート)・ブリット少年の腹を撃ち、少年はその怪我が元で病院で死亡した。ダンス大会で少年が他の女性とタッグで優勝して帰ってきたからだという。フランキーは少年がナイフで刺そうとしてきたとして正当防衛を主張し、釈放された。
この事件を元に、フランキーというヒロインが裏切った恋人を射殺するというモチーフの歌が作られたが、彼氏の名前はアレンだったりビルだったりバージョンによってまちまちだった(フランキーのモデルの女性が1952年まで生きてたからかもしれない)。

クリスティの名作ミステリーでポワロものの一冊『ナイルに死す』では、恋人を金持ちの友人に奪われた女性が、ハネムーンにまでつきまとい、この歌を口ずさむシーンが出てくる。彼女は歌の通り元恋人を射殺しようとするが…
映画では、プレスリーによるドタバタラブコメディ『フランキー&ジョニー』、およびアル・パチーノ主演のしっとり系恋愛映画『恋のためらい フランキーとジョニー』がある。BGMとして使用され、劇中でも言及されるが、どちらもハッピーエンドで終わっている。

《フランキーとジョニー》を法廷ミステリー風に仕立てた短編アニメ
『ルーティ・トゥート・トゥート!』

UPAは近眼の頑固老人を主人公にした『がんばれマグー』シリーズで知られるアニメプロダクション。
1941年、それまでのディズニーに代表される写実的なアニメーションのあり方に対し、よりマンガちっくなアニメーションを目指したアニメーターたちがストライキを起こし、ユナイテッド・プロダクションズ・オブ・アメリカ(UPA)を設立した。この頃、アニメ需要に対し時間と人手が足りなくなっていたこともあり、極端に平面化されたマンガっぽいキャラクターデザインと、パタパタした動きのアニメが作られ、独特の味わいを生み出した。しかしUPAは赤狩りに巻き込まれた上に、テレビ時代を乗り越えることができず、粗製乱造の挙句アニメーション部門は閉鎖となった。ただし東宝と契約して「ゴジラ」シリーズのアメリカにおける所有権を獲得しており、時々新作を紹介しているらしい。

Louis Armstrong
収録アルバム: Chimes Blues



おまけ


おまけその2


おまけその3

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by CockRobin96 | 2016-03-04 20:46 | Trackback | Comments(0)