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When David Heard That Absalom Was Slain《ダビデはアブサロムが討たれたのを聞き》


When David heard that Absalom was slain,
ダビデは、アブサロムが討たれたのを聞いた時、
he went up to his chamber, over the gate,
城門の上の寝室に上がり、
and wept:
悲嘆に暮れた。
and thus he said,
そしてこう言った。
O my son, my son,
「ああ、わが子よ、わが息子よ、
Absalom my son,
 わが子アブサロムよ、
Would God I had died for thee.
 神がお前の代わりにわたしを死なせてくだされば良かった。
Absalom my son, my son,
 アブサロムよ、わが子よ、
O Absalom my son.
 ああわたしのアブサロムよ。」

text: 旧約聖書サムエル記下19:01
tune: Thomas Tomkins(1572–1656) ウィリアム・バードの弟子にあたる作曲家。エルガーの故郷で知られるウースターの大聖堂聖歌隊指導者に任命され、清教徒革命が起こって失職するまで住み続けた(清教徒にとって音楽は軽薄なものだったため)。作風は当時としては極めて保守的で、人気のバロック調には絶対に手を出さず、ルネサンス調のアンセムを作曲し続けた。しかしそれがなぜか好評で、当時の歌曲集に何度も掲載されていた。

アブサロムは旧約聖書の英雄ダビデ王の三男。才能に溢れた美男子で、特に髪が素晴らしく豊かであったとされる。激情家でもあり、妹タマルが異腹の兄アムノンに乱暴された時、復讐としてアムノンを殺害したことがある。のちに父に反逆し、ダビデは一時期都落ちするほど追い詰められた。その上ダビデが我が子を惜しんで「アブサロムを傷つけるな」という命令を出していたため、ダビデ軍は苦戦を強いられる。そこで知将ヨアブはゲリラ戦法をとり、アブサロム軍を森の中に誘い込み、同士討ちしたりパニックになって戦闘不能になるように仕向けた。アブサロムは馬で森の中を駆け回るうちに、自慢の髪を絡まった木の枝に引っかけてしまい、宙吊り状態になったところを発見され、そのまま討ち取られてしまう。どんなに素晴らしい長所や才能を持っていても、うまく活かさないとそれが致命的な弱点になりうるのである。
愛息を失ったダビデの嘆きは、イエスを十字架に送った父なる神の嘆きに比せられる。

Fulda大学図書館所蔵、14世紀ドイツの細密画より「アブサロムの死」
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Gallicantus
収録アルバム: Dialogues of Sorrow


おまけ:アブサロムの逸話に題材を得た、アメリカ南部を舞台にしたゴシック小説。サトペンなる男が貧困から身を起こし、大規模な邸宅と荘園を建てて自分の帝国を築き上げようとするが、様々な人物の愛情・憎悪・欲望・野心の果てに自らも殺され、子孫たちもほとんど死に絶えサトペン家の崩壊で終わるという物語。タイトルは自分の帝国を受け継ぐべき息子を熱望するが、次々と失っていくサトペンの運命をあらわす。また、兄と妹の近親相姦に近い愛憎をも含んでいる。サトペンの娘のジュディスは、異腹の兄チャールズとそうと知らず婚約し、ジュディスの兄ヘンリーもそれを後押ししていた。チャールズが兄と知ったヘンリーは駆け落ちのような形でヘンリーとともに出奔し、悩んだ挙句「兄妹で結婚してもいいじゃない」という結論に達するが、チャールズに黒人の血が入ってると知った途端に手のひら返して殺害する。

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by CockRobin96 | 2018-03-01 19:59 | Trackback | Comments(0)

Riddles Wisely Expounded《解き明かされた謎々(賢女問答)》


There were three sisters in the north
Lay the bend to the bonny broom
And they lived in their mother's house
And you'll beguile a lady soon
北国に三人の姉妹がいた
(愛らしいほうきに反(そ)り身(み)を寝かせよ)*1
母親の家にいっしょに住んでいた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

There came a man one evening late
Lay the bend to the bonny broom
And he came knocking at the gate
And you'll beguile a lady soon
ある晩遅くにひとりの男がやって来た
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
そして門を叩いた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

The eldest sister let him in
Lay the bend to the bonny broom
And locked the door with a silver pin
And you'll beguile a lady soon
長女が男を迎え入れ
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
銀のくさびでドアを封じた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

The second sister made his bed
Lay the bend to the bonny broom
And laid soft pillows 'neath his head
And you'll beguile a lady soon
次女が男のためにベッドを整え
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
男の頭の下に柔らかな枕を置いた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり))

The youngest sister, fair and bright
Lay the bend to the bonny broom
She lay beside him all through the night
And you'll beguile a lady soon
輝くようにうるわしい末娘が
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
夜通し男のかたわらに寝た
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

And in the morning, come the day
Lay the bend to the bonny broom
She said, "Young man, will you marry me?"
And you'll beguile a lady soon
朝になって一日が始まると
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
末娘は言った、「お若いお方、わたくしと結婚してくださる?」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

And he said, "Yes, I'll marry thee
Lay the bend to the bonny broom
If you can answer this to me"
And you'll beguile a lady soon
男は言った、「よろしい、結婚しよう、
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
わたしの出す謎かけに答えられたならね」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"What is greener than the grass?
Lay the bend to the bonny broom
And what is smoother than the glass?"
And you'll beguile a lady soon
「芝生よりも緑色なのは何?」
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「そして芝生よりも滑らかなのは何?」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"What is louder than a horn?
Lay the bend to the bonny broom
And what is sharper than a thorn?"
And you'll beguile a lady soon
「角笛よりもうるさいのは何?」
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「いばらよりも鋭いのは何?」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"What is deeper than the sea?
Lay the bend to the bonny broom
And what is longer than the way?"
And you'll beguile a lady soon
「海より深いのは何?」
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「道より長く続くのは何?」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"Envy's greener than the grass
Lay the bend to the bonny broom
Flattery's smoother than the glass"
And you'll beguile a lady soon
「芝生より緑色なのは『嫉妬』」*2
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「芝生より滑らかなのは『お世辞』」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"Rumor's louder than a horn
Lay the bend to the bonny broom
Slander's sharper than a thorn"
And you'll beguile a lady soon
「角笛よりうるさいのは『噂』」
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「いばらより鋭いものは『中傷』」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"Regret is deeper than the sea
Lay the bend to the bonny broom
But love is longer than the way"
And you'll beguile a lady soon
「海より深いのは『後悔』」
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「道よりもなお長く続くのは『愛』」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

The eldest sister rang the bell
Lay the bend to the bonny broom
She rang it from the highest hill
And you'll beguile a lady soon
長女は鐘を鳴らした
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
一番高い丘の上でそれを鳴らした
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

The second sister made the gown
Lay the bend to the bonny broom
She sewed it of the silk so fine
And you'll beguile a lady soon
次女は上着を仕立てた
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
とても上等なシルクで縫いあげた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

The youngest sister, true and wise
Lay the bend to the bonny broom
They've made of her a lovely bride
And you'll beguile a lady soon
誠実で賢い末娘
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
みんなは彼女を愛らしい花嫁に仕立てた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

And now fair maids, I bid adieu
Lay the bend to the bonny broom
These parting words I'll leave with you
And you'll beguile a lady soon
今こそ、うるわしいおとめたちよ、お暇(いとま)しましょう*3
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
お別れの言葉をあなたがたに残して参りましょう
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

May you always constant prove
Lay the bend to the bonny broom
Unto the one that you do love
And you'll beguile a lady soon
あなたがたは常に証し続けることができますか
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
ただひとりの人への愛を
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

*1 bend(bent)はイネ科の雑草、broomはエニシダと解釈されることもある。またエニシダを束ねてほうきにすることもある。しかし、bend(そりかえったもの、ゆみなりになったもの、のけぞるもの)を男性自身、ほうきを女性自身と解釈し、共寝を暗喩するエロチックなフレーズと解釈することができる。後に、ペンタングルによって《残酷な姉》に引用されることになる。Riddles Wisely Expoundedでは末娘が二人の姉に祝福されているのに対し、こちらでは嫉妬に燃えた姉によって妹が殺害される物語になっている。

*2 緑色は古くから嫉妬を表す色とされる。おそらく、「隣の芝生は青く見える(The grass is always greener on the other side of the fence.)」ということわざが大元。
「お気をつけなさい、将軍、嫉妬というやつに。こいつは緑色の目をした怪物で、人の心を餌食とし、それをもてあそぶのです。」(「オセロー」第三幕三場・小田島雄志訳)
*3 ここから先は歌い手のセリフになっている。

text & tune: イギリス民謡

チャイルド・バラッド第一番。騎士が実は悪魔で、娘たちをたぶらかしに来たというバージョンもある。その場合は、「女より悪いものは何?」「悪魔」と言われ、正体を現して逃げてゆく。この場合はFalse Knight《偽騎士問答》とも呼ばれる。また、サイモン&ガーファンクルで有名な民謡Scarborough Fair《スカボロー・フェア》で、互いに絶対不可能な難問を出し合うというものもある。

Anaïs Mitchell & Jefferson Hamer
収録アルバム: Child Ballads

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by CockRobin96 | 2018-02-27 22:09 | Trackback | Comments(0)

Binnorie (The Twa Sisters)《ビノーリー(二人姉妹)》


There were twa sisters sat in a bow'r
(Binnorie, O Binnorie)
There cam a knight to be their wooer.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
二人の姉妹が寝室で座っているところへ
(ビノーリー、ビノーリーよ)*1
一人の騎士が求婚しにやってきた
(ビノーリーの美しい水車堰(せき)のそば)*2

He courted the eldest wi' glove and ring
(Binnorie, O Binnorie)
But he lo'ed the youngest aboon a'thing.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
彼は姉に手袋と指輪で求婚した
(ビノーリー、ビノーリーよ)
しかし何にもまして愛したのは妹の方だった
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

The eldest she was vexed sair
(Binnorie, O Binnorie)
And sore envied her sister fair.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
姉は大いに心ざわつかせ*
(ビノーリー、ビノーリーよ)
妹のうるわしさをひどく妬んだ
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

The eldest said to the youngest ane:
(Binnorie, O Binnorie)
"Will you go and see our father's ships come in"
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
姉は妹に向かって言った
(ビノーリー、ビノーリーよ)
「お父様の船が来るのを見に行ったら?」
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

She's ta'en her by the lily hand
(Binnorie, O Binnorie)
And led her down to the river strand.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
妹はその白百合の手で姉の手をひき
(ビノーリー、ビノーリーよ)
川岸まで連れて行った
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

The youngest stude upon a stane
(Binnorie, O Binnorie)
The eldest cam' and pushed her in.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
妹が岩の上に立った時
(ビノーリー、ビノーリーよ)
姉は妹を突き落とした
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

"Oh sister, sister reach your hand
(Binnorie, O Binnorie)
And ye shall be heir of half my land"
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
「ああ姉さま、姉さま、手をのばして
(ビノーリー、ビノーリーよ)
 そうしたらわたしの土地の半分はあなたが受け取っていいから」
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

"Oh sister, I'll not reach my hand
(Binnorie, O Binnorie)
And I'll be heir of all your land."
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
「妹よ、手は貸さないわ
(ビノーリー、ビノーリーよ)
 そしたらあなたの土地全てをわたしが継ぐことになるから」
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

"Oh sister, reach me but your glove
(Binnorie, O Binnorie)
And sweet William shall be your love."
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
「姉さま、せめてあなたの手袋を掴ませて
(ビノーリー、ビノーリーよ)
 そしたら愛しいウィリアムはあなたのもの」
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

"Sink on, nor hope for hand or glove
(Binnorie, O Binnorie)
And sweet William shall better be my love."
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
「そのまま沈むがいいわ、手も手袋も諦めなさい
(ビノーリー、ビノーリーよ)
 そして愛しいウィリアムはわたしのものになるのよ」
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

Sometimes she sunk, sometimes she swam
(Binnorie, O Binnorie)
Until she cam to the miller's dam.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
時に沈み、時に浮かび
(ビノーリー、ビノーリーよ)
妹はある粉屋の堰まで流れ着いた
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

The miller's daughter was baking bread
(Binnorie, O Binnorie)
And gaed for water as she had need.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
粉屋の娘がパンをこねていた
(ビノーリー、ビノーリーよ)
そして水が入用なので水辺へ向かった
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

"O father, father, draw your dam!
(Binnorie, O Binnorie)
There's either a mermaid or a milk-white swan."
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
「お父さん、お父さん、堰をよく見てよ
(ビノーリー、ビノーリーよ)
 人魚か、乳白の白鳥じゃないかしら」
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

The miller hasted and drew his dam
(Binnorie, O Binnorie)
And there he found a drown'd woman.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
粉屋が急いで行って堰をよく見ると
(ビノーリー、ビノーリーよ)
水底に沈んだ女を見つけた
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

He couldna see her yellow hair
(Binnorie, O Binnorie)
For gowd and pearls that were sae rare.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
粉屋は彼女の金髪が見えなかった
(ビノーリー、ビノーリーよ)
たぐいまれな黄金と真珠に飾られていたから
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

He coldna see her middle sma'
(Binnorie, O Binnorie)
Her gowden girdle was sae braw.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
彼女の腰のくびれも見えなかった*3
(ビノーリー、ビノーリーよ)
金色の帯がとてもきれいだった
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

He couldna see her lily feet
(Binnorie, O Binnorie)
Her gowden fringes were sae deep.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
白百合のような足も見えなかった
(ビノーリー、ビノーリーよ)
金色の房飾りがすっぽりと覆っていた
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

A famous harper passing by
(Binnorie, O Binnorie)
The sweet pale face he chanced to spy.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
さる高名な竪琴弾きが通りがかり
(ビノーリー、ビノーリーよ)
その愛らしく青ざめた顔を垣間見た
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

And when he looked that lady on
(Binnorie, O Binnorie)
He sighed, and made a heavy moan.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
竪琴弾きはその貴婦人を眺め
(ビノーリー、ビノーリーよ)
吐息を漏らし、厳かに悼んだ
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

He made a harp o' her breast bone
(Binnorie, O Binnorie)
Whose sounds would melt a heart of stone.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
竪琴弾きは彼女の肋骨で竪琴を作った
(ビノーリー、ビノーリーよ)
その響きは石の心もとろかすほど
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

The strings he framed of her yellow hair
(Binnorie, O Binnorie)
Their notes made sad the listening ear.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
弦には彼女の金髪を張った
(ビノーリー、ビノーリーよ)
その旋律は聴衆を悲しませた
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

He steed it to her father's ha'
(Binnorie, O Binnorie)
There was the court assembled there.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
竪琴弾きはそれを彼女の父の館へ携えていった*4
(ビノーリー、ビノーリーよ)
そこには廷臣たちが集められていた
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

He layed the harp upon a stane
(Binnorie, O Binnorie)
And straight it began to play alane.
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
彼が竪琴を岩の上に置くと
(ビノーリー、ビノーリーよ)
すぐさまひとりでに奏でだした
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

"O yonder sits my father the King
(Binnorie, O Binnorie)
 And yonder sits my mother, the queen."
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
「あそこに座っておられるのは父王さま、
(ビノーリー、ビノーリーよ)
 そしてあそこに座っておられるのはお后のお母さま」
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

"And yonder stands my brother Hugh
(Binnorie, O Binnorie)
 And by him, my William, sweet and true."
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
「あそこに立っておられるのはヒュー兄さま、
(ビノーリー、ビノーリーよ)
 そしてそのそばに、わたしのウィリアム、愛しく誠実なお方」
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

But the last tune that the harp played then
(Binnorie, O Binnorie)
Was: "Woe to my sister, false Helen"
(By the bonnie mill-dams of Binnorie.)
しかし竪琴が奏でた最後のメロディはこうだった
(ビノーリー、ビノーリーよ)
「姉さまに災いあれ、嘘つきのヘレンに」
(ビノーリーの美しい水車堰のそば)

*1 Minnorieとするバージョンもある。殺人事件があった場所というよりは、語呂の良さを優先させた架空の地名かもしれない。
*2 ミルダム(水車堰)とは、川をせき止めて水量をあげ、水車を回したり貯水したりするための用水池。蒸気・電気が普及するまでは主な動力源であり、貯水・脱穀・製粉などに使われた。水車小屋の親方が粉屋を兼ねていることが多い。また水車小屋の設置は莫大な費用が掛かり、大概は領主などによって所有され、使用料を徴収して儲けていた。粉屋は領主に雇われて様々な特権を許され、さらに使用料を水増しして吹っ掛けたりできるという実入りのいい職業で、庶民からは疎ましがられてもいた。

*3 sma’=おそらくsmall。稀な使い方ではあるが「腰のくびれ」を意味することがある。
*4 steedはそのままだと「乗馬用の馬」になるが、これでは意味が通じない。なのでここはとりあえず意訳した。Ha'=Hall。

text & tune: イギリス民謡

チャイルドバラッド10番。The Cruel Sister《残酷な姉》、The Miller and the King's Daughter《粉屋と王女》とも。ノーサンブリア(現在のノーサンバランド)発祥の殺人バラッドとされるが、ヨーロッパ各地に同様のバラッドが数多く伝えられている。いわゆる「シンデレラ型」物語の一種でもある。

二股かけてるやつのどこが誠実なんだふざけんなよと思うが、発祥が古いので多妻OKだった文化の名残かもしれない。
また、旧約聖書創世記のエピソードのひとつに、姉妹のうち妹を愛したが、姉妹の父親に「姉を差し置いて妹を嫁がせることはしない」と言われ渋々姉も娶るというものがある。日本神話でも、醜い姉の岩長姫と美しい妹の咲耶姫を娶らされるというエピソードがある。姉妹をそろって嫁がせるというのは割とありふれた風習だったのかもしれない。



イギリスのフォークグループ「ペンタングル」によるアレンジバージョン



ジョン・ファエド「二人姉妹 または残酷な姉」
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Custer LaRue
収録アルバム: Larue, Custer: Daemon Lover (The)

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by CockRobin96 | 2018-02-21 23:41 | Trackback | Comments(0)

Diaphenia《ディアフェニア(ダイアフィニア)》


Diaphenia, like the daffadowndilly,
White as the sun, fair as the lily,
Heigh ho, how I do love thee!
I do love thee as my lambs
Are belovèd of their dams:
How blest were I
if thou would'st prove me.
ダイアフィニア、ラッパ水仙のような君、*1
太陽のように白く、百合のようにうるわしく、
ああもう、君をどう愛したらいいだろう!
子羊みたいな君を愛してる、
母羊が子羊をかわいがるように。
どんなにかすばらしいだろう、
もし君が僕を受け入れてくれたなら。*2

Diaphenia, like the spreading roses,
That in thy sweets all sweets incloses,
Fair sweet, how I do love thee!
I do love thee as each flower
Loves the sun's life-giving power;
For dead, thy breath
to life might move me.
ダイアフィニア、咲き誇る薔薇のような君、
素敵なものをみんな集めて君の中に閉じ込めたみたい、
うるわしくて素敵な人よ、君をどう愛したらいいだろう!
花みたいに君を愛してる、
命を与える日光を愛する花のように。
たとえ枯れ死にしても、君の息が
僕に命を吹き込んで動かすだろう。

Diaphenia, like to all things blessèd,
When all thy praises are expressèd,
Dear joy, how I do love thee!
As the birds do love the spring,
Or the bees their careful king,
Then in requite,
sweet virgin,
love me!
ダイアフィニア、なにもかもが素晴らしくなる、
君の美点の全てが明らかにされたときには、
歓びそのものよ、君をどう愛したらいいだろう!
鳥たちが春を愛するように、
思いやりある蜜蜂の王が、*3
報いを与えるように、
素敵なおとめよ、
僕を愛して!

*1 普通はdaffodilと表記される。
*2 would'st=wilt(willの古語)の過去形。
*3 女王じゃないのかと思うが、非常に稀に女王蜂をKing Beeとも言うらしい。養蜂の歴史は非常に古く、一万年前から始まっていたとされる。女王蜂が「雌」と認識されたのはいったいいつ頃なのか調べてみたが、わからなかった。有識者を求む。

text: Henry Constable (1562–1613)
tune: Charles Villiers Stanford (1852 - 1924)

作品番号49番の連作集、6 Elizabethan Pastorales《六つのエリザベス朝の牧歌》より第3曲目。


Birmingham Conservatoire Chamber Choir
収録アルバム: Stanford: Partsongs

自由部門




第2回プラチナブロガーコンテスト



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by CockRobin96 | 2018-02-05 11:19 | Trackback | Comments(0)

Twelve Days of Christmas《クリスマスの十二日》Canadian Brass


On the first day of Christmas my true love gave to me
Some brass music on a CD.
クリスマスの一日目に、恋人がわたしにくれたのは
CDに入った吹奏楽の曲

On the second day of Christmas the CD played for me
Samuel Scheidt's Galliard,
Baroque brass music on a CD.
クリスマスの二日目に、CDが聞かせてくれたのは
ザムエル・シャイトのガリアルド、*1
CDに入ったバロック吹奏楽の曲

On the third day of Christmas the CD played for me
Purcell's trumpet tune
(also by Jeremiah Clarke),
Samuel Scheidt's Galliard,
Baroque brass music on a CD.
クリスマスの三日目に、CDが聞かせてくれたのは
パーセルのトランペット曲
(もしかするとジェレマイア・クラーク)、*2
ザムエル・シャイトのガリアルド、
CDに入ったバロック吹奏楽の曲

On the fourth day of Christmas the CD played for me
Johann Sebastian Bach,
Purcell's trumpet tune,
Samuel Scheidt's Galliard,
Baroque brass music on a CD.
クリスマスの四日目に、CDが聞かせてくれたのは
ヨハン・セバスチャン・バッハ、*3
パーセルのトランペット曲、
ザムエル・シャイトのガリアルド、
CDに入ったバロック吹奏楽の曲

On the fifth day of Christmas the CD played for me
George Frideric Handel,
J.S. Bach,
Purcell or Clarke,
Galliard by Scheidt,
Classic brass music on a CD.
クリスマスの五日目に、CDが聞かせてくれたのは
ジョージ・フリデリック・ヘンデル、*4
J・S・バッハ、
パーセルもしくはクラーク、
シャイトのガリアルド、
CDに入ったクラシック吹奏楽の曲

On the sixth day of Christmas the CD played for me
Mozart's Horn Concerto,
George Frideric Handel,
J.S Bach,
Purcell or Clarke,
Galliard by Scheidt,
Classic brass music on a CD.
クリスマスの六日目に、CDが聞かせてくれたのは
モーツァルトのホルン協奏曲、*5
ジョージ・フリデリック・ヘンデル、
J・S・バッハ、
パーセルもしくはクラーク、
シャイトのガリアルド、
CDに入ったクラシック吹奏楽の曲

On the seventh day of Christmas the CD played for me
Papa Haydn's trumpets,
Mozart's Horn Concerto,
George Frideric Handel,
J. S Bach,
Purcell or Clarke,
Galliard by Scheidt,
Classic brass music on a CD.
クリスマスの七日目に、CDが聞かせてくれたのは
パパ・ハイドンのトランペット、*6
モーツァルトのホルン協奏曲、
ジョージ・フリデリック・ヘンデル、
J・S・バッハ、
パーセルもしくはクラーク、
シャイトのガリアルド、
CDに入ったクラシック吹奏楽の曲

On the eighth day of Christmas the CD played for me
Rossini's famous tune,
Papa Haydn's trumpets,
Mozart's Horn Concerto,
George Frideric Handel,
J. S Bach,
Purcell or Clarke,
Galliard by Scheidt,
Classic brass music on a CD.
クリスマスの八日目に、CDが聞かせてくれたのは
ロッシーニの有名なメロディ、*7
パパ・ハイドンのトランペット、
モーツァルトのホルン協奏曲、
ジョージ・フリデリック・ヘンデル、
J・S・バッハ、
パーセルもしくはクラーク、
シャイトのガリアルド、
CDに入ったクラシック吹奏楽の曲

On the ninth day of Christmas the CD played for me
Heroic theme by Wagner,
Rossini's famous tune,
Papa Haydn's trumpets,
Mozart's Horn Concerto,
George Frideric Handel,
J.S. Bach,
Purcell or Clarke,
Galliard by Scheidt,
famous brass music on a CD.
クリスマスの九日目に、CDが聞かせてくれたのは
ワーグナーの英雄的テーマ、*8
ロッシーニの有名なメロディ、
パパ・ハイドンのトランペット、
モーツァルトのホルン協奏曲、
ジョージ・フリデリック・ヘンデル、
J・S・バッハ、
パーセルもしくはクラーク、
シャイトのガリアルド、
CDに入った有名な吹奏楽の曲

On the tenth day of Christmas the CD played for me
Tchaikovsky's big brass band,
Wagner and the Ring,
Rossini's famous tune,
Papa Haydn's trumpets,
Mozart's Horn Concerto,
George Frideric Handel,
J.S. Bach,
Purcell or Clarke,
Galliard by Scheidt,
Famous brass music on a CD.
クリスマスの十日目に、CDが聞かせてくれたのは
チャイコフスキーの大吹奏楽団、*9
ワーグナーと「指環」、
ロッシーニの有名なメロディ、
パパ・ハイドンのトランペット、
モーツァルトのホルン協奏曲、
ジョージ・フリデリック・ヘンデル、
J・S・バッハ、
パーセルもしくはクラーク、
シャイトのガリアルド、
CDに入った有名な吹奏楽の曲

On the eleventh day of Christmas the CD played for me
A ragtime tune by Joplin,
Tchaikovsky's big brass band,
Wagner and the Ring,
Rossini's famous tune,
Papa Haydn's trumpets,
Mozart's Horn Concerto,
George Frideric Handel,
J.S. Bach,
Purcell or Clarke,
Galliard by Scheidt,
Brilliant brass music on a CD.
クリスマスの十一日目に、CDが聞かせてくれたのは
ジョプリンのラグタイム、*10
チャイコフスキーの大吹奏楽団、
ワーグナーと「指環」、
ロッシーニの有名なメロディ、
パパ・ハイドンのトランペット、
モーツァルトのホルン協奏曲、
ジョージ・フリデリック・ヘンデル、
J・S・バッハ、
パーセルもしくはクラーク、
シャイトのガリアルド、
CDに入った有名な吹奏楽の曲

On the twelfth day of Christmas the CD played for me
A world famous march by John Philip Sousa,
And a ragtime tune by Joplin,
Big brass by Tchaikovsky,
Wagner and the Ring,
Heigh ho to Rossini,
Papa Haydn's trumpets,
Mozart's Horn Concerto,
George Frideric Handel,
J.S. Bach,
Henry Purcell,
Galliard by Scheidt,
Great brass music on CD.
クリスマスの十二日目に、CDが聞かせてくれたのは
世界一有名なジョン・フィリップ・スーザのマーチ、*11
ジョプリンのラグタイム、
チャイコフスキーの大吹奏楽、
ワーグナーと「指環」、
ロッシーニのハイ・ホー、
パパ・ハイドンのトランペット、
モーツァルトのホルン協奏曲、
ジョージ・フリデリック・ヘンデル、
J・S・バッハ、
ヘンリー・パーセル、
シャイトのガリアルド、
CDに入った偉大な吹奏楽の曲

*1 ドイツの音楽家シャイト (1587-1654)のBattle Suite《戦いの組曲》のうちの第一曲、Galliard Battaglia《戦いのガリアルド(ガリヤード)》。
*2 Jeremiah Clark(1674-1707)のチェンバロ曲Prince of Denmark's March (Trumpet Voluntary)《デンマーク王子の行進(トランペット・ヴォランタリー)》を、パーセルがトランペット用にアレンジしたもの。よく結婚式に使われる。
*3 もちろんかの大バッハのToccata und Fuge in d-Moll《トッカータとフーガ ニ短調》BWV565。
*4 英語読みだと本当は「ハンデル」。オラトリオMessiah《メサイア》のThe trumpet shall sound《ラッパが鳴り響き》から。
*5 モーツァルトのホルン協奏曲は第一から第四まであり、これはそのうちの第四番第三楽章の「狩りのロンド」。ホルン曲は気のおけない友人だったホルンの名手Joseph Leitgeb(1732-1811)に捧げられたもので、第二番の直筆楽譜には「ろば・牡牛・馬鹿のロイトゲープを憐れんで」というふざけた献辞がある。
*6 Franz Joseph Haydn(1732-1809)のトランペット協奏曲のこと。現在のドイツ国歌の原曲を手がけたことで知られる。モーツァルトなどには「パパ」とあだ名され慕われた。pixiv百科事典の彼の項目は妙に力作で笑える
*7 Gioachino Antonio Rossini(1792-1868)のWilliam Tell Overture《ウィリアム・テル序曲》 より第四楽章「スイス軍の行進」。よく運動会に使われてるあれ。稼ぐだけ稼いだらさっさと引退して趣味に励んだイタリア人の鑑。
*8 もちろんWilhelm Richard Wagner(1813-1883)のDer Ring des Nibelungen《ニーベルングの指環》のうちDie Walküre《ヴァルキューレ》。「ワルキューレの騎行」の名でも知られる。
*9 最近チャイコちゃんとか呼ばれているPeter Ilyich Tchaikovsky(1840-1893)のТоржественная увертюра (1812 год)《序曲(1812年)》より。通称「大序曲」。コマさんの声で喋る甘ロリ美少女に罵倒されたい。なお、フルオケでやると本物の大砲が編成に入るやべー曲であることでも知られる。

*10 「ラグタイム」とは20世紀初頭のアメリカで大流行したピアノ音楽。中でも「ラグタイムの王様」と呼ばれたScott Joplin(1868-1917)はおびただしい数のラグタイムを作曲したことで知られる。これは最も有名な曲の一つThe Entertainer《エンターテイナー》。
*11 スーザ(1854-1932)のStars and Stripes Forever《星条旗よ永遠なれ》。マーチを山ほど作曲したので「マーチ王」と呼ばれた。

text & tune: 英語圏でよく知られる民謡The Twelve Days of Christmas《クリスマスの十二日》の、カナディアン・ブラスによる吹奏楽アレンジ。

カナディアン・ブラス & エルマー・イーズラー・シンガース & Lydia Adams & アーロン・デイヴィス & デビッド・グレイ
収録アルバム: カナディアン・ブラス・クリスマス


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by CockRobin96 | 2017-12-19 11:27 | Trackback | Comments(0)

A Maiden Most Gentle《こよなく優しきおとめ(あめのきさき)》


A maiden most gentle
and tender we sing
Of Mary the mother
of Jesus our King
Ave, Ave, Ave Maria.
こよなく優しきおとめ
いたいけなお方を我らは歌う
み母なるマリア
我らの王イエスのみ母を
めでたし、めでたし、めでたし、マリア」と

How blest is the birth
of her heavenly child
Who came to redeem us
in Mary so mild
Ave, Ave, Ave Maria.

この生誕のいかに祝されしことか
天の幼子の生誕は
そのお方は我らをあがなうために来られた
柔和なるマリアのうちに
めでたし、めでたし、めでたし、マリア

The archangel Gabriel
foretold by his call
The Lord of creation
and Saviour of all
Ave, Ave, Ave Maria.
大天使ガブリエルが
その挨拶で預言した
造り主にして
万物の救い主を
めでたし、めでたし、めでたし、マリア

Three kings came to worship
with gifts rich and rare
And marveled in awe
at the babe in her care
Ave, Ave, Ave Maria.
三人の王が礼拝しにやってきた
高価で珍しい贈り物を持って
そして畏れつつ驚嘆した
おとめが守る赤ん坊に
めでたし、めでたし、めでたし、マリア

Rejoice and be glad
at this Christmas we pray
Sing praise to the Savior
sing endlessly Ave
Ave, Ave, Ave Maria.
歓べ、喜べ、
このクリスマスに我らは祈る
救い主をほめ歌え、
絶えることなく「めでたし」と歌え
めでたし、めでたし、めでたし、マリア

text: イングランドの聖人ベーダ・ヴェネラビリス(Beda Venerabilis 672/673-735 尊者ベーダの意)の詩をAndrew Carter(1939-)が英訳
tune: フランスの聖歌Ave Maria de Lourdes《めでたしルルドのマリア(あめのきさき)》をAndrew Carter(1939-)によりアレンジ


Choir of King's College, Cambridge/Sir Philip Ledger
収録アルバム: Christmas At King's

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by CockRobin96 | 2017-10-18 10:02 | Trackback | Comments(0)

A Frog He Would A-Wooing Go《カエルくんの求婚》

笑顔で食われるのやめろ



A frog he would a wooing go,
Heigh ho! says Rowley,
A frog he would a-wooing go,
Whether his mother would let him or no.
カエルくんが求婚しにゆく
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
カエルくんが求婚しにゆく
おっかさんが行かせようと行かせまいと

*With a rowley, powley, gammon, and spinach,
 Heigh ho! says Anthony Rowley.
*ローリィ、ポーリィ、ベーコンにホウレンソウ*1
 ヘイ・ホー! アンソニー・ローリィと言うのさ

So off he set with his opera hat,
Heigh ho! says Rowley,
So off he set with his opera hat,
And on the road he met a rat,
*Refrain
カエルくんはオペラハットでおめかし*2
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
カエルくんはオペラハットでおめかし
すると道中大ネズミと出会った*3
*繰り返し

"Pray, Mr. Rat, will you go with me,"
Heigh ho! says Rowley,
"Pray, Mr. Rat, will you go with me,"
"Kind Miss. Mousey for to see?"
*Refrain
「どうか大ネズミさん、一緒に行ってくれませんか」
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
「どうか大ネズミさん、一緒に行ってくれませんか」
「優しい小ネズミ嬢にお目にかかりたいんです」*4
*繰り返し

They came to the door at Mousey's hall,
Heigh ho! says Rowley,
They came to the door at Mousey's hall,
They gave a loud knock, and they gave a loud call,
*Refrain
二匹は小ネズミちゃんのお屋敷のドアまで来て*5
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
二匹は小ネズミちゃんのお屋敷のドアまで来て
やかましくノックして、やかましい呼び声をあげた
*繰り返し

"Pray, Mrs. Mouse, are you within?"
Heigho, says Rowley;
"Pray, Mrs. Mouse, are you within?"
"Oh yes, kind sirs, and I'm sitting to spin."
*Refrain
「どうか小ネズミ夫人、入れてくださいな」
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
「どうか小ネズミ夫人、入れてくださいな」
「ええどうぞ、優しい殿方たち、あたくし座って糸紡ぎをしてますの」
*繰り返し

"Pray, Mrs. Mouse, now give us some beer,"
Heigh ho! says Rowley,
"Pray, Mrs. Mouse, now give us some beer,"
"That Froggy and I am fond of good cheer."
*Refrain
「小ネズミ夫人、ビールをくださいな」
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
「小ネズミ夫人、ビールをくださいな」
「そうすりゃカエルくんもわしもご機嫌さ」
*繰り返し


"Pray, Mr. Frog, will you give us a song?"
Heigh ho! says Rowley,
"Pray, Mr. Frog, will you give us a song?"
"But let it be something that's not very long."
*Refrain
「ねえカエルさん、あたくしたちに歌を歌ってくださる?」
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
「ねえカエルさん、あたくしたちに歌を歌ってくださる?」
「でもあまり長すぎないのにしてね」
*繰り返し

"Indeed, Mrs. Mouse," replied the Frog,
Heigh ho! says Rowley,
"Indeed, Mrs. Mouse," replied the Frog,
"A cold has made me as horse as a hog."
*Refrain
「実はですね、小ネズミ夫人」とカエルは答えた
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
「実はですね、小ネズミ夫人」とカエルは答えた
「風邪をひいて馬か豚みたいな声なんですよ」
*繰り返し

"Since you have caught cold, Mr. Frog," Mousey said,
Heigh ho! says Rowley,
"Since you have caught cold, Mr. Frog," Mousey said,
"I'll sing you a song that I have just made."
*Refrain
「あなたが風邪をひいたのなら」と小ネズミが言った
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
「あなたが風邪をひいたのなら」と小ネズミが言った
「あたくしがちょうど作った歌を歌ってあげるわ」
*繰り返し

But while they were all a-merrymaking,
Heigh ho! says Rowley,
But while they were all a-merrymaking,
A Cat and her kittens came tumbling in.
*Refrain
ところがみんなで楽しくやっていたところへ
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
ところがみんなで楽しくやっていたところへ
雌猫と子猫たちが転がり込んできた
*繰り返し

The Cat she seized the Rat by the crown,
Heigh ho! says Rowley,
The Cat she seized the Rat by the crown,
The kittens they pulled the little Mouse down.
*Refrain
猫が大ネズミの脳天をひっ掴み*6
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
猫が大ネズミの脳天をひっ掴み
子猫たちは小ネズミを引き倒した

This put Mr. Frog in a terrible fright,
Heigh ho! says Rowley,
This put Mr. Frog in a terrible fright,
He took up his hat and he wished them good-night.
*Refrain
これにはカエル氏もびっくり仰天
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
これにはカエル氏もびっくり仰天
帽子を取ってごきげんよう*7
*繰り返し

As Froggy was crossing it over a brook,
Heigh ho! says Rowley,
As Froggy was crossing it over a brook,
A lilywhite Duck came and gobbled him up.
*Refrain
カエルくんが小川を渡っていると
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
カエルくんが小川を渡っていると
白百合のようなアヒルがカエルくんを飲み込んじゃった
*繰り返し

So there was an end of one, two three
Heigh ho! says Rowley,
So there was an end of one, two three
The Rat, the Mouse, and little Froggy.
*Refrain
それでおしまい、いち、に、さん
(ヘイ・ホー! ローリィと言うのさ)
それでおしまい、いち、に、さん
大ネズミも、小ネズミも、ちびカエルくんも
*繰り返し

*1 ローリィ・ポーリィはイギリスで作られるプディングの一種。ローリィ(roly)と言う名の通り、ジャムなどを巻き込んだのが特徴。ベーコンやホウレンソウなど、甘くない素材を入れて食事にすることもある。本来は茹でるか蒸すかだが、焼くこともある。ビアトリクス・ポターの「ひげのサムエルのおはなし」で、「まきだんご」という名で登場した。ただし巻き巻きされたのは子猫のトム。
 →ジャム入りローリィ・ポーリィのレシピ
 なお、ギャモン(gammon)はベーコンの一種。たわごとという意味もある。「rowley, powley, gammon, and spinach」とは、サフォーク地方の名家であったRowley家、Poley家、Bacon家、Green家のことではないかと言われている。
*2 オペラハットは折りたたみ式のシルクハット。観劇の時に折りたたんでしまえるようにしてある。
*3 ratはドブネズミやクマネズミ等の大型のネズミ、mouseはハツカネズミなどの小型のネズミを指す。
*4 小ネズミ嬢ではなく小ネズミ夫人に会いにいくバージョンもある。
*5 hallとholeを引っ掛けてる。
*6 crownは王冠ではなく頭のてっぺんのこと。seize by collarだと「襟首をひっ掴む」と言う意味になる。
*7 「I'll wish you good morning(night)」(それじゃごきげんよう)は嫌な人を追い払ったり、そそくさと立ち去る時の嫌味な決まり文句。

text & tune: 16世紀頃にスコットランドで発祥した童謡

A Frog Went A-Courting《カエルくんの求愛》とも。あまりにも長いので、歌われるときはいくつか省略されることもある。
1548年以降から文献にちらほら出ているが、今に近いテキストとメロディでかつ最も古いものは1611年にThomas Ravenscroft(1582/1592-1635)が発表した民謡集『Melismata(メリスマータ)』より。
フランスのアンジュー公フランソワが、エリザベス1世に求婚していたことを揶揄したものという説がある。しかし、この歌のモチーフの初出はそれより古く、元々はメアリー・ステュアート(後のスコットランド女王メアリー)とフランソワ2世(先天性の耳鼻咽頭系症状があり、中耳炎とアデノイド症状で残念なお方だったらしい)の婚約(1548年。それまではヘンリー8世の息子エドワード6世と婚約していたが、それをメアリーの母が破棄した)を揶揄するものだったとも考えられる。すでにあった歌が、アンジュー公の求婚を機に再浮上したものかもしれない。
イギリス人はフランス人を「カエル」と呼んで軽蔑することがある。フランスでは食用ガエル(グルヌイユ)を食べることからくる。エリザベスもフランソワに「カエル」とあだ名していた。食物連鎖や何らかの教訓を教えるような教育的な童謡ではなく、フランスをカエルに、スコットランドをネズミに例え、共倒れを示唆するブリテンの悪意に満ちた歌なのかもしれない。

Henriette Willebeek Le Mair(1889-1966)によるイラスト
b0310887_10214653.jpg
Sara Stowe
収録アルバム: Vocal Music (Children's Songs) (Jack, Jill and All Their Friends - Good Old-Fashioned Nursery Songs)


Vivien Ellis, Tim Laycock & The Broadside Band
収録アルバム: Old English Nursery Rhymes


おまけ:
19世紀に活躍したイギリスの挿絵画家Randolph Caldecott(1846-1886)による絵本。

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by CockRobin96 | 2017-09-29 10:32 | Trackback | Comments(0)

King Henry《ヘンリー王》


Let never a man a-wooing wend
That lacketh thinges three
A store of gold, an oaken heart,
And full of charity
男は決して女を口説いてはならぬ
これら三つのものが欠けているならば
黄金の貯え、オークのように堅固な心、*1
そして溢れる慈愛

And this was seen of King Henry
Though he lay quite alone
For he's taken him to a haunted hall
Seven miles from the town
これはヘンリー王にあったこと
王は長らく独り寝の身だった
王は幽霊屋敷へ向かっていた*2
街からは7マイルも離れたところへ

He's chased the deer now him before
And the doe down by the den
Till the fattest buck in all the flock
King Henry he has slain
王は鹿の後ろを追いかけ
雌鹿を巣穴へ追い込んだ
群れの中で一番太った鴨を
ヘンリー王は討ち取った

His huntsmen followed him to the hall
To make them burly cheer
When loud the wind was heard to sound
And an earthquake rocked the floor
王の狩人達は王に従って館(やかた)へ向かい
野太い歓声をあげた
猛る風の音が聞こえたとき
地震が床を揺らした

And darkness covered all the hall
Where they sat at their meat
The grey dogs, yowling, left their food
And crept to Henry's feet
暗闇が館を覆い
皆が肉料理の前に座っているところへ
猟犬たちは遠吠えをしながら、エサも食べずに*3
ヘンリーの足にまとわりついた

And louder howled the rising wind
And burst the fastened door
And in there came a grisly ghost
Stamping on the floor
吠え猛る風がわき起こり
戸締まりしていた扉が破られた
入ってきたのは不気味な亡霊
どすんどすんと床を踏みならしながら

Her head hit the roof tree of the house
Her middle you could not span
Each frightened huntsman fled the hall
And left the King alone
女の頭は屋敷の梁にぶちあたり、
女の腹にすら男達は背が届かなかった
狩人達はみな怯えきって館から逃げ去り
王ひとりが残された

Her teeth were like the tether stakes
Her nose like club or mell
And nothing less she seemed to be
Than a fiend that comes from Hell
女の歯は縄でつないだ杭のよう
女の鼻は棍棒か木槌のよう
彼女のようなものは見たことがない
地獄から来た悪霊でもなければ

"Some meat, some meat
You King Henry, some meat you give to me
Go kill your horse, you King Henry,
And bring him here to me."
「肉だよ、肉だよ、
 ヘンリー王よ、肉をおくれ
 あんたの馬を殺せ、ヘンリー王よ
 そしてあたしに持ってくるんだよ」

He's gone and slain his berry brown steed
Though it made his heart full sore
For she's eaten up both skin and bone
Left nothing but hide and hair
王は行って一番の栗毛馬を屠った
心が嘆きでいっぱいになっても
女は薄皮も骨も平らげて
大皮とたてがみの他は残らなかった

"More meat, more meat
You King Henry, more meat you give to me
Go kill your greyhounds, King Henry,
And bring them here to me."
「もっと肉を、もっと肉を
 ヘンリー王よ、もっと肉をおくれ
 行ってあんたの猟犬を殺せ、ヘンリー王
 そしてあたしにもってくるんだよ」

And when he's slain his good greyhounds
It made his heart full sore
For she's eaten up both skin and bone
Left nothing but hide and hair
そこで王は上等の猟犬たちを屠った
心は嘆きでいっぱいになった
女は薄皮も骨も平らげて
大皮と毛の他は残らなかった

"More meat, more meat
You King Henry, more meat you give to me
Go fell your goshawks, King Henry,
And bring them here to me."
「もっと肉を、もっと肉を
 ヘンリー王よ、もっと肉をおくれ
 行ってあんたの鷹たちを降ろせ、ヘンリー王
 そしてあたしにもってくるんだよ」

And when he's slain his gay goshawks
It made his heart full sore
For she's eaten them up, both skin and bone,
Left nothing but feathers bare
そこで王は元気な鷹たちを屠った
心は嘆きでいっぱいになった
女は薄皮も骨も平らげて
わずかな羽毛の他は残らなかった

"Some drink, some drink
Now King Henry, some drink you give to me
Oh you sew up your horse's hide
And bring in a drink to me."
「飲み物だよ、飲み物だよ、
 さあヘンリー王よ、飲み物をおくれ
 馬の大皮を縫い合わせて
 それに入れた飲み物を持ってくるんだ」

And he's sewn up the bloody hide
And a pipe of wine put in
And she drank it up all in one draught,
Left never a drop therein
そこで王は血まみれの大皮を縫い合わせて
ワインを樽ごと中にあけた
女は一息でそれを飲み干し
一滴も残らなかった

"A bed, a bed now, King Henry,
A bed you'll make for me
Oh you must pull the heather green
And make it soft for me."
「寝床だ、さあ寝床だよ、ヘンリー王
 あたしのためにベッドをこしらえるんだよ
 ヘザーの若木を引っこ抜いてきて*4
 あたしのために柔らかくしなきゃいけないよ」

And pulled has he the heather green
And made for her a bed
And taken has he his gay mantle
And over it he has spread
王はヘザーの若木を引っこ抜いてきて
女のための寝床をこしらえた
きらびやかなマントをとってきて
その上を覆った

"Take off your clothes now, King Henry
And lie down by my side
Now swear, now swear, you King Henry
To take me for your bride."
「衣を脱ぐんだよ、ヘンリー王よ
 そしてあたしの隣に寝るんだよ
 誓え、誓え、ヘンリー王よ
 あたしをあんたの花嫁にすると」

"Oh God forbid," said King Henry
"That ever the like betide
That ever a fiend that comes from Hell
Should stretch down by my side."
「滅相もないことだ」とヘンリー王が言った*5
「まさかこんなことがおころうとは
 まさか地獄から来た悪霊が
 わたしの傍らで大の字になろうとは」

When the night was gone and the day was come
And the sun shone through the hall
The fairest lady that ever was seen
Lay between him and the wall
夜が去り朝が来て
太陽が館を照らした
見たこともない美しい貴婦人が
王と壁のあいだに横たわっていた

"I've met with many a gentle knight
That gave gave me such a fill
But never before with a courteous knight
That gave me all my will."
「わたくしはたくさんの優しい騎士様にお会いしました
 わたくしを満たしてくださるお方を
 でもついぞ思いやりある騎士様はいませんでした
 わたくしの思うところを与えてくださったお方は」

*1 オークはナラ、カシなどの総称。非常に頑丈であるとされ、「oaken(オーク製)」は「オークのようにたくましく頑丈」という意味を含む。英国海軍にもHeart of Oak《オークの心》という公式行進曲がある。
*2 hallは広間という意味の他、大邸宅をも指す。かつて英国の富裕層は王宮がある都市にtown house、自分の領地にcountry houseを持つのが普通だった。この場合は狩で遅くなって、幽霊屋敷に泊まる羽目になった。
*3 grey hound(dog)は灰色の犬ではなく、グレイハウンドという種の猟犬。greyは本来雌の意。すらりと細いスタイルと俊足で知られる、特権階級の象徴のような犬。
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*4 ヘザーは荒れ野(ヒース)に繁殖するギョリュウモドキなどエリカ属の野草の総称。赤紫色の花をつける。ハーブとしても使う。
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*5 直訳すると「神に呪われた」「神に禁じられたことだ」だが、「滅相もない」「そんなことあってたまるか」という意味の慣用句。

text & tune: イギリス民謡

大事なペットを全部犠牲にした結果が美女ひとりって割にあわない気がするがどうだろう。

チャイルドバラッド第32番。このヘンリー王のモデルは、百年戦争でフランスに勝利し、フランス王女キャサリン・オブ・ヴァロワと結婚してフランスをも支配したヘンリー5世とされる。(ただしふたりの息子ヘンリー6世の精神異常が原因で薔薇戦争が勃発し、王朝が断絶した)
また、スコットランドの民話「The Daughter Of King Under-Waves(海底の王の娘)」もモチーフであるとされる。
もっとも古い元ネタとしては、アイルランド神話の英雄ナイルとアイルランドの跡継ぎの姫の物語でもあろうか。
馬や猟犬たちは百年戦争で犠牲になった兵士達、呪いが解かれた貴婦人はフランスの支配権の暗喩と見ることもできる。

「Loathly lady(忌まわしい女・嫌でたまらない女)との結婚」というテーマは古くから世界中にあるが、なぜか15世紀にイギリスで流行した。類話に「The Wedding of Sir Gawain and Dame Ragnelle(ガウェイン卿とラグネル姫の結婚)」がある。カンタベリー物語の「バースの女房の話」はこのガウェイン卿の話。女性の意思を尊重することに主題が置かれているというのが非常に特異な物語でもある。
似たような話としては、日本の民話「姥皮(うばかわ)」がある。美少女が継子いじめに遭い、その美貌故にやっかいごとに巻き込まれぬようにと老婆の姿に化けられる「姥皮」を乳母からもらって放浪の旅に出る。雇われた先で、姥皮を脱いでいるときにその家の若旦那に見初められ、嫁に迎えられてめでたしめでたしとなる。でもたまたま美少女の姿を見なかったら絶対結婚してない。「鉢かづき」もこの系統だが、これは本人の信仰心により呪いが解かれる。
逆バージョンとして、男性が呪われた姿となり女性によって呪いがとける「カエルの王さま」「タニシ息子」「美女と野獣」などもある。むしろこっちの方が多い。何故だ。

Steeleye Span
収録アルバム: Below The Salt

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by CockRobin96 | 2017-09-15 17:45 | Trackback | Comments(0)

Now We Are Six《僕らは六》

14:06から

In marble halls as white as milk
Lined with skin as soft as silk
Within a fountain crystal clear
A golden apple doth appear
No doors there are to this stronghold
Yet thieves break in and steal the gold
ミルクのように白い大理石の広間に
シルクのようにやわらかい皮を貼りめぐらせて
その中に水晶のように澄んだ泉があって
黄金のりんごが現れる
このとりでには扉もないのに
それでも泥棒が押し入って黄金を盗む

Thirty white horses on a red hill
Now they tramp
Now they champ
Now they stand still
30頭の白い馬が赤い丘にいる
今は足を踏み鳴らし、
今は噛み鳴らし、
今は静かにたたずんでいる

White bird featherless
Flew from paradise
Lit on the castle wall
Along came Lord Landless
Took it up handless
Rode away horseless
To the King's white hall
羽のない白い鳥
楽園から飛んできて
城壁に舞い降りた
領地を持たない貴族がやってきて
手もないのに鳥を捕まえ
馬もないのに乗馬して
王様の白いお城へ行った

text: いずれも古いなぞなぞをそのまま歌詞にしたもの(マザーグースとも)。答えは卵、歯、雪とそれを溶かす太陽(いずれも白い)。
tune: ?(Steeleye Spanのオリジナルか別の民謡をアレンジ?)

こういうタイトルの民謡があるわけではなく、本来は古くからあるなぞなぞをメロディに乗せたもの。ジャケットではクレジットが「St. Eleye Primary School Junior Choir」となっていたが「Steeleye」の悪ふざけ。
3番目のなぞなぞは、ドイツの民謡集「少年の魔法の角笛」にも類似のものがある。
ちなみに、タイトル自体は「くまのプーさん」で知られるA.A.ミルンの詩集から取られた(邦題は「くまのプーさんとぼく」だが、原題を訳すと「僕らは6歳」)。アルバムが第六作目であること、メンバーが当時6人であったこととかけている。

いまぼくは六つで だれにもまけないおりこうさん
だからぼくはこのままいつまでも六つでいたい
(小田島雄志・小田島若子 訳)

Steeleye Span
収録アルバム: Now We Are Six

ちなみに前曲の9:38から入ってるのは、Two Magician《ふたりの魔法使い》。
おまけ:直接は関係ないけど

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by CockRobin96 | 2017-09-13 10:43 | Trackback | Comments(0)

The Grand Old Duke of York《偉大なるヨーク公さま》


Oh, The grand old Duke of York,
He had ten thousand men;
He marched them up to the top of the hill,
And he marched them down again.
ああ、偉大なヨーク公さま
一万人もの家来を持っていた
家来たちを丘の上まで行進させて
また丘の下まで行進させた

And when they were up, they were up,
And when they were down, they were down,
And when they were only half-way up,
they were neither up nor down.
それで家来たちは上にいるときは上にいて
家来たちは下にいるときは下にいて
真ん中まで登ったときは
上でも下でもなかったとさ

text & tune: イギリスのナーサリーライム(マザーグース)。

動画ドイツ語で号令かけとるやんけ。
何をさせたいのかわからないヨーク公と、意味がわからなくても号令に従う家来たちというある意味イギリスらしいナンセンスな童謡。
1642年に文献初出した、フランス王を揶揄する歌が元になっている。

The King of France with forty thousand men,
Came up a hill and so came downe againe.
フランスの王さまと四千人の家来たちが
丘を登ってまた降りてった

ヨーク公爵とは、英国王室の中で王太子が存命中の場合の現国王・女王の次男に与えられる称号。軍人を兼ねることが多い。現在のヨーク公はエリザベス二世の次男アンドリュー王子。
この称号を持った人物は総勢11人になるが、歌のヨーク公のモデルではないかとされているのは3人。
・リチャード・プランタジネット(エドワード4世とリチャード3世の父。薔薇戦争で戦死)
・ジェームズ2世(即位前はヨーク公。カトリックであったために国民の反感を買い、名誉革命で王位を追われた。ボイン川の戦いで味方を見捨ててフランスに逃げたので、「ウンコ野郎」(Séamus á Chaca、James the Shit)というどストレートな蔑称がある)
・ヨーク・オールバニ公フレデリック・オーガスタス王子(フランス革命戦争に参加するが特に戦功なし。愛人が詐欺をやらかして陸軍最高司令官を辞職したことがある)
ちなみに現ヨーク公も未成年淫行の前科持ち。こんなやつしかおらんのかい。

youtubeと同じバージョンのものはありませんでした。いっぱいバージョンがあるので聴き比べてみてね。

The Children's Company Band & Choir
収録アルバム: Kids' Favourite Nursery Rhymes



The Little Kidz Band
収録アルバム: Hits 4 Kidz Vol.7


おまけ:

喋ることができないためにピアノを言葉がわりに愛する女性が、スコットランドからはるばるニュージーランドまで連れ子を抱えて再婚するが、夫にピアノを浜辺に捨てられてしまう。ヒロインは浜辺までピアノを弾きにやってくるが、その姿を見初めた現地人の男がピアノを引き取り、「黒鍵の数だけレッスンをつけてくれたらピアノを返す」という条件を出す。最初は怒ったヒロインだが、レッスンを重ねるごとに惹かれあい、ついには逢引きを重ねるようになるが…というお話。
当時11歳のアンナ・パキン演じるヒロインの娘が、この童謡を口ずさむシーンが出てくる。妻の気持ちにも不倫にも気づかない愚かな義父を揶揄したものでもあろうか。

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by CockRobin96 | 2017-09-09 10:31 | Trackback | Comments(0)