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Quelle Est Cette Odeur Agreable?《この心地よい香りはなんだろう》


Quelle est cette odeur agréable,
この心地よい香りはなんだろう、
Bergers, qui ravit tous nos sens?
羊飼いたちよ、僕らを楽しい気分にさせるのは何?*1
S’exhale t’il rien de semblable
嗅いだこともないこの香り、
Au milieu des fleurs du printemps?
春の盛りの花々にも勝るこれは何?
Quelle est cette odeur agréable
この心地よい香りはなんだろう、
Bergers, qui ravit tous nos sens?
羊飼いたちよ、僕らを楽しい気分にさせるのは何?

Mais quelle éclatante lumière
それより、輝くあの光はなんだろう、
Dans la nuit vient frapper nos yeux
夜中に僕らの目に差し込んできた。
L’astre de jour, dans sa carrière,
昼の日も、いまだかつて*2
Fût-il jamais si radieux!
こんなにまばゆかったことはない!
Mais quelle éclatante lumière
それより、輝くあの光はなんだろう、
Dans la nuit vient frapper nos yeux.
夜中に僕らの目に差し込んできた。

À Bethléem, dans une crèche
ベツレヘムの、飼い葉おけの中、
Il vient de vous naitre-un Sauveur
彼こそ今まさに生まれた救い主。
Allons, que rien ne vous empêche
さあ、行く手を阻むものは何もない
D’adorer votre rédempteur
贖い主を拝みに行こう。
À Bethléem, dans une crèche,
ベツレヘムの、飼い葉おけの中、
Il vient de vous naître-un Sauveur.
彼こそ今まさに生まれた救い主。

Dieu tout puissant, gloire éternelle
全能の神よ、とこしえに栄光あれ、
Vous soit rendue jusqu’aux cieux.
あなたは天に再び戻られる。
Que la paix soit universelle
平和があまねくあれ、
Que la grâce abonde en tous lieux.
豊かなみ恵みが全地にあれ。
Dieu tout puissant, gloire éternelle
全能の神よ、とこしえに栄光あれ
Vous soit rendue jusqu’aux cieux.
あなたは天に再び戻られる。

*1 sens(sense)は「感覚」という意味のほか、「~という感じ」という意味でも使う。
*2 L’astre de jour(昼の星)=太陽。詩的な言い方。

text & tune: 17世紀フランスのメロディ

Whence is the goodly fragrance flowing《この良い香りはどこからくるの》という英訳もある。
イギリスの作家ジョン・ゲイの風刺劇「乞食オペラ」(1778年)に、この曲が使われた…らしい。

シャルル・ルブラン「羊飼いの礼拝」
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Choir of Clare College, Cambridge & Orchestra of Clare College, Cambridge & ジョン・ルッター
収録アルバム: Silent Night - 25 Carols of Peace & Tranquility

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by CockRobin96 | 2018-11-30 21:55 | Trackback | Comments(0)

The Big Rock Candy Mountains《ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテン》


One evening as the sun went down
And the jungle fire was burning,
Down the track came a hobo hiking,
And he said, "Boys, I'm not turning
I'm headed for a land that's far away
Besides the crystal fountains
So come with me, we'll go and see
The Big Rock Candy Mountains
ある夕暮れ、お日様が沈んだ頃
たき火が赤々と燃える頃*1
小道を降りてひとりのホーボーがてくてくやってきた*2
言うことにゃ、「みんな、おいらはもう決めたぜ*3
おいらははるか彼方にある国を目指す
水晶の泉のそばにあるという
だからおいらと一緒に来いよ、行って見つけようぜ
ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンを」*4

In the Big Rock Candy Mountains,
There's a land that's fair and bright,
Where the handouts grow on bushes
And you sleep out every night
Where the boxcars all are empty
And the sun shines every day
On the birds and the bees
And the cigarette trees
The lemonade springs
Where the bluebird sings
In the Big Rock Candy Mountains
ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテン
そこはきれいでピカピカな土地
そこでは配給品はしげみに生るし
毎晩野宿してられる
そこでは貨物車は空っぽだし
毎日お日様がキラキラと
小鳥たちや蜜蜂たちを照らす
タバコのなる木も
レモネードの泉も
そこでは幸せの青い鳥が歌う
ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンでは

In the Big Rock Candy Mountains
All the cops have wooden legs
And the bulldogs all have rubber teeth
And the hens lay soft-boiled eggs
The farmers' trees are full of fruit
And the barns are full of hay
Oh I'm bound to go
Where there ain't no snow
Where the rain don't fall
The wind don't blow
In the Big Rock Candy Mountains
ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンでは
おまわりどもは足が棒きれだし
ブルドッグはみんなゴム製の歯だし
めんどりは半熟卵を産む
農家の木は果物が鈴なりだし
納屋には干し草がいっぱい
ああ、おいらはそこへ行く定めなんだ
そこでは雪もないし
雨が降ることもない
風も吹きつけない
ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンでは

In the Big Rock Candy Mountains
You never change your socks
And the little streams of alcohol
Come trickling down the rocks
The brakemen have to tip their hats
And the railroad bulls are blind
There's a lake of stew
And of whiskey, too
You can paddle all around 'em
In a big canoe
In the Big Rock Candy Mountains
ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンでは
靴下を履き替えたりしなくていいし
酒の小川が流れてるし
キャンディの石がぽろぽろ落ちてくる
ブレーキ係は帽子をちょいと持って挨拶しなきゃいけないし
鉄道警察は目が見えない
シチューの湖もあるし
ウィスキーの湖もある
その中を漕いでまわることもできる
大きなカヌーに乗って
ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンでは

In the Big Rock Candy Mountains,
The jails are made of tin
And you can walk right out again,
As soon as you are in
There ain't no short-handled shovels,
No axes, saws or picks,
I'ma goin' to stay
Where you sleep all day,
Where they hung the Turk
That invented work
In the Big Rock Candy Mountains
ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンでは
刑務所はブリキ製
だからすぐにシャバに出られる
ぶち込まれるが早いか、すぐにね
そこには片手用スコップもないし、
斧も、ノコギリも、つるはしもない
おいらはそこに住むつもりさ
そこではみんな一日中寝てるし
そこでは乱暴者はつるし上げられる*5
仕事を増やすような奴はね
ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンでは

I'll see you all this coming Fall
In the Big Rock Candy Mountains"
次の秋にまたみんなで会おうぜ*6
ビッグ・ロック・キャンディ・マウンテンで

*1 jungleはいわゆるジャングルのほか、失業者や浮浪者のキャンプやたまり場を指す。外国の映画でよく見る、浮浪者が集まってたき火に当たっている情景。
*2 「ホーボー」は渡り鳥労働者、さすらいながら日雇い労働をする浮浪者、ルンペン。貨物列車にこっそりただ乗りしたり、農作物をちょろまかしたり、勝手に納屋に潜り込んだりしていたらしい。語源ははっきりしない。
*3 「turn」にはコインの表裏がぱっと変わるというイメージがある。ライトをつけたり消したり、誕生日に年をとったりというときに使うが、この場合は「おいらはturnしない=絶対に意志を変えないぞ」という意味になる。
*4 英語圏で「キャンディ」はお菓子全般のことを指すが、ロックキャンディは、日本人がイメージするところの「飴玉」または「氷砂糖」。直訳すれば「巨大飴玉山脈」。べたつきそう。
*5 Turkはトルコ人のことだが、「半月型のサーベルを持った野蛮人」というイメージから、「凶暴な人」または「クビを宣告する係・解雇通知係」という意味でも使われる。
*6 冬までにたどり着かないと凍死する可能性があるから。

text & tune: Harry Kirby McClintock (1882–1957)と伝えられているが、もっと古い民謡をベースにしているという説もある。

最初の録音は1928年にマクリントックによってなされた。「ホーボー」たちが夢見る、とぼけた理想郷を歌う。中世ヨーロッパの伝承にある「コケイン(怠惰な理想郷)」の末裔とみることもできる。
コーエン兄弟の映画『オー・ブラザー!』に、BGMとして登場する。ホーボーよろしく小汚い姿で、貨物車にただ乗りしたり泥棒したり警察の目を逃れたりしつつお宝を目指す脱獄三人組の道行を象徴する。
「オデュッセイア」をベースにした脱力系コメディ・ロードムービーだが、20世紀初期のアメリカの歌が沢山出てきて好き。


Harry "Haywire" McClintock
収録アルバム: Old Folk & Country Soundtrack


おまけ:「オー・ブラザー!」のオリジナルサウンドトラック。レコード盤があるとはたまげたなあ…

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by CockRobin96 | 2018-09-15 08:47 | Trackback | Comments(0)

Barnacle Bill《バーナクル・ビル(フジツボのビル)》



"Who's that knocking at my door?"
"Who's that knocking at my door?"
"Who's that knocking at my door?"
Cried the fair young maiden.
「ドアをノックしているのは誰?」
「ドアをノックしているのは誰?」
「ドアをノックしているのは誰?」
きれいなおとめが大声で言う*1

"It's only me from over the sea"
Says Barnacle Bill the Sailor.
"I'm all lit up like a Christmas tree"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「海を越えてきたこのおいらだけだよ」
水兵バーナクル・ビルが言う*2
「クリスマスツリーみたいにあかあかとしてるぜ」*3
水兵バーナクル・ビルが言う

"I'll sail the sea until I croak,
I fight 'n swear 'n drink 'n smoke,
But I can't swim a bloody stroke"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「くたばるまで航海を続け*4
 ケンカし、ののしり、飲んだくれ、ヤニを吸う
 でも血の海の泳ぎ方は知らねえ」*5
水兵バーナクル・ビルが言う

"Are you young and handsome, sir?
Are you young and handsome, sir?
Are you young and handsome, sir?"
Cried the fair young maiden.
「あんたは若くてハンサムかしら、旦那さん?」
「あんたは若くてハンサムかしら、旦那さん?」
「あんたは若くてハンサムかしら、旦那さん?」
きれいなおとめが大声で言う

"I'm old 'n rough 'n dirty 'n tough"
Says Barnacle Bill the Sailor.
"I drink my gin 'n dip my snuff"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「おいらは年食ってるし、がさつだし、不潔だし、ガンコだ」
水兵バーナクル・ビルが言う
「ジンを飲むし、嗅ぎタバコが鼻についてる」
水兵バーナクル・ビルが言う

"I drink my whiskey when I can,
Whiskey from an old tin can,
Fer whiskey is the life of Man"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「飲めるときにゃウィスキーを飲むんだ、*6
 使い古したブリキ缶から
 ウィスキーこそ人生さ」
水兵バーナクル・ビルが言う

(Instrumental: Sailor's Hornpipe)
(間奏:《水兵の角笛》)*7

"I'll come down and let you in,
I'll come down and let you in,
I'll come down and let you in"
Cried the fair young maiden.
「降りてあんたをいれてあげるわ」
「降りてあんたをいれてあげるわ」
「降りてあんたをいれてあげるわ」
きれいなおとめが大声で言う

"Well hurry before I break the door"
Says Barnacle Bill the Sailor.
"I'll puff 'n fuss 'n rant 'n roar"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「早くしとくれ、おいらがドアを壊す前に」
水兵バーナクル・ビルが言う
「ハァハァして、言い合いして、がなり立てて、吠えてやんよ」
水兵バーナクル・ビルが言う

"I'll spin you yarns 'n tell you lies,
I'll drink yer wine 'n eat yer pies,
I'll kiss yer cheek 'n black yer eyes"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「大ぼらを吹き、空ごとを言ってやんよ、
 おめえのワインを飲んでパイを食ってやんよ、
 おめえのほっぺと黒い瞳にキスしてやんよ」
水兵バーナクル・ビルが言う

"Sing me a love song low and sweet,
Sing me a love song low and sweet,
Sing me a love song low and sweet"
Cried the fair young maiden.
「愛の歌を歌ってよ、静かな甘い声で」
「愛の歌を歌ってよ、静かな甘い声で」
「愛の歌を歌ってよ、静かな甘い声で」
きれいなおとめが大声で言う

"Sixteen men on a dead man's chest"
Sang Barnacle Bill the Sailor.
"Yo-heave-ho and a bottle of rum"
Sang Barnacle Bill the Sailor.
「16人の男が『死者の宝箱』島へ*8」
水兵バーナクル・ビルは歌った
「よいとまけ、ラムがひと瓶」
水兵バーナクル・ビルは歌った

"Oh, a high-rig-a-jig and a jauntin' car,
A-hee a-ho are you 'most done,
Belay my boys and the Bull-jine run"
Sang Barnacle Bill the Sailor.
「二輪馬車がチャグチャグ鳴るよ*9
 アヒー・アホー、もう終わったかい
 野郎ども、エンジンを噴かせ」*10
水兵バーナクル・ビルは歌った

(Instrumental: Bounding Main)
(間奏:《波打つ大海原》)*11

"Tell me that we soon shall wed,
Tell me that we soon shall wed,
Tell me that we soon shall wed"
Cried the fair young maiden.
「言ってよ、すぐ結婚しようって」
「言ってよ、すぐ結婚しようって」
「言ってよ、すぐ結婚しようって」
きれいなおとめが大声で言う

"I've got me a wife in every port"
Says Barnacle Bill the Sailor.
"And handsome gals is what I court"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「おいらはあらゆる港に現地妻がいたもんだ」
水兵バーナクル・ビルが言う
「おいらが口説くならいい女」
水兵バーナクル・ビルが言う

"With my false heart 'n flatterin' tongue
I courts 'em all both old 'n young,
I courts 'em all but marries none"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「まがいものの真心によく回る舌で
 年増も若いのもみんな口説いた
 みんなを口説いたけど誰とも結婚しなかったよ」
水兵バーナクル・ビルが言う

"When shall I see you again?
When shall I see you again?
When shall I see you again?"
Cried the fair young maiden.
「いつまたあんたに逢える?」
「いつまたあんたに逢える?」
「いつまたあんたに逢える?」
きれいなおとめが大声で言う

"Never again, I'll come no more"
Says Barnacle Bill the Sailor.
"Tonight I'm sailin' from the shore"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「ありえないね、もう来ないよ」
水兵バーナクル・ビルが言う
「今夜のおいらは岸から遠く航海中」
水兵バーナクル・ビルが言う

"If you wait fer me to come,
Sittin' and waitin' 'n suckin' yer thumb,
You'll wait until the day of yer doom!"
Says Barnacle Bill the Sailor.
「おいらを待つ気なら
 座り込んで、待ち続けて、親指くわえて
 最後の審判の日までそうしてることになるぜ」
水兵バーナクル・ビルが言う

"Goo'bye!"
「さいなら!」

*1 「きれいなおとめ」とぼかされているが、字面通りかどうか。おそらく娼婦か愛人。
*2 実は東京ディズニーランドに「バーナクル・ビルズ」という名の屋台があり、「勇敢な船乗りのこと」と説明されているが、実際は19世紀ごろに実在した船乗りであり冒険者であるWilliam Bernard(?-?)のあだ名。その生涯はよくは知られていないが、歌の内容から察するに悪名の方が高い気がする。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」及び「ワールド・エンド」に登場した「靴ひものビル」は、フジツボがびっしりとりついた姿になっているが、この《フジツボのビル》が元ネタ。
*3 「lit up」には「ライトアップする」と「ぐでんぐでんに酔っぱらう」の両方の意味がある。
*4 「croak」は「死ぬ」の俗な言い方。カエルやカラスのしわがれ声もさすが、断末魔のうめき声が似ているからとも。
*5 このあたりとりあえずこう訳したが、意味不明。strokeは「泳ぎ方」という意味がある。
*6 Whisky Johnny《ウィスキー・ジョニー》という民謡の一節そのまま。こういう曲。

*7 こういう曲。後述の《波打つ大海原》と共に、ポパイのテーマに使われていることでも知られる。海の男と言えばこの曲。

*8 元来はスティーブンソン『宝島』に登場した海賊の歌。スティーブンソンの創作だが、広く知られるようになり、古謡であると誤解された。元の歌では「15人の男が『デッドマンズ・チェスト(死者の宝箱)』という何もない島に流れ着いた」という内容になっている。

以下はさまざまな歌の歌詞がチャンポンになっている。甘いラブソングを歌ってくれとせがまれてるのに、真逆のうるさい歌ばっかり歌っているわけである。
*9 Eliza Lee《イライザ・リー》という民謡の歌詞の一節。こういう曲。うるせえ。

*10 このブログによれば、ブル・ジンとはエンジンを指す船乗りのスラングであったらしい。
*11 こういう歌。歌詞はこんな感じ


text & tune: アメリカ民謡

Abraham Brown the Sailor《水兵エイブラハム・ブラウン》(イギリスにOld Abraham Brown《エイブラハム・ブラウン爺さん》という童謡があるが別物)という民謡を基にしたアメリカの戯れ歌。

男女の駆け引きをテーマにした歌は古くからあり、この《バーナクル・ビル》もその系統と見なすことができる。
ビルは女の期待をことごとく裏切り、やりたい放題やってハイさよならというロクデナシだが、ずれた対話がなんとなくおかしみを誘うのか、結構人気の曲であったらしい。(明らかに地雷とわかる男に結婚を迫る女もどうかと思うが)
まだデカ鼻角耳だった頃のビン坊&ブッサだったころのベティさんでアニメ化したことがあるが、なぜか「脱線水兵エロ行脚(あんぎゃ)」というとんでもない邦題がついていた。まあ間違いじゃないけど…もっとこう…手心というか…しかも肝心のシーンはチェスを打ってるってオチだし…
フライシャースタジオは後にポパイでもこの歌を劇中歌に使っている。




上記の歌詞と同じ音源だが、CDのみ


同じメンツの音源だが、歌詞が少し子供向けに改変されている模様。そっちの歌詞は見つからなかった。
Frank Luther And Carson Robison
収録アルバム: Vintage Childrens Favourites

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by CockRobin96 | 2018-08-18 10:59 | Trackback | Comments(0)

The Daemon Lover《悪魔の恋人》Alasdair Roberts


'Where have you been my long, long love
These seven long years or more?
I'm seeking for my former vows
You gave to me before'
「今までどこにいたんだ、俺の遠い昔の恋人よ
 七年か、それ以上ものあいだ
 昔の誓いを果たしてほしいのだ
 お前が俺にかつて約束したことを」

'Oh, hold your tongue of your former vows
For they will breed sad strife
Hold your tongue of your former vows
For I'm become a wife'
「ああ、昔の約束のことは言わないで
 悲しいもめごとの種になるから
 昔の約束のことは言わないで
 わたしがあなたの妻になるという」

He's turned him right and round about
And the salt tear blint his eye
'I never would have trodden on Irish ground
But for the love of thee'
男はぐるりと後ろを向いた
その目から塩辛い涙が流れ出した
「俺はアイルランドの土を決して踏まなかった
 それもお前への愛ゆえだったのに」

'If I should leave my dear husband
And my two babes also
What have you to take me to
If I with you would go?'
「もしわたしの夫と
 ふたりの赤ちゃんすら置いて出てきたら
 あなたはわたしに何を持ってきてくれるの
 わたしがあなたと一緒に行くとしたら?」

'I've seven ships upon the sea
And the eighth brought me to land
With four and twenty mariners bold
And music on command'
「俺は海の上に七艘もの船を持っている
 八番目の船で俺は上陸した
 二十四人の屈強な水夫と
 意のままの音楽隊と一緒に」

She's put her foot on board the ship
No mariners she beheld
But the sails were of the taffeta
And the masts of the beaten gold
女が船の甲板に足を入れると
水夫のひとりも見えなかったが
帆はタフタで*1
マストは打ち延べた黄金だった

They had not sailed a league, a league
A league but barely three
Til dismal grew his countenance
And drumly grew the sea
ふたりは一リーグ、一リーグも航海しなかった*2
一リーグはないがあとすこしで三マイル
それまでに男の顔つきは暗くなり
海模様は荒れだした

They had not sailed a league, a league
A league but barely three
Until she saw his cloven foot
And she wept most bitterly
ふたりは一リーグ、一リーグも航海しなかった
一リーグはないがあとすこしで三マイル
女は男の割れたひづめを見て*3
この上なく苦々しげにすすり泣いた

'Leave off your weeping' then said he
'Of your weeping let me be
And I'll show you how the lilies grow
On the banks of Italy'
「嘆くのはおよし」と男が言った
「嘆くなら俺のことで嘆いておくれ*4
 百合がどんなふうに生い茂るか見せてやろう
 イタリアの丘で」*5

'What hill, what hill is thon I see
As white as any snow?'
'Thon is the hill of heaven' he said
Where all good people go
「あの山はなあに、遠くに見えるあの山*6
 雪のように真っ白い山は?」
「遠くのあれは天国の山さ」と男が言った
「善良な人々はみなあそこへ行く」

'What hill, what hill is thon I see
As black as any coal?'
'Thon is the hill of hell' he said
'Where you and I must go'
「あの山はなあに、遠くに見えるあの山
 炭のように真っ黒い山は?」
「遠くのあれは地獄の山さ」と男が言った
「お前と俺が行くべきところなのだ」

He struck the top mast with his hand
And the main mast with his knee
And he struck that gallant ship in two
And he sunk her beneath the sea.
男はその手でトップマストを
膝でメインマストをへし折った
そして二人の乗った壮麗な船を叩き壊し
男と女は海の下へ沈んでいった

*1 薄琥珀とも。うねりと艶を持つ、サテンよりやや硬い感じの生地。本来は絹だが、現在は化繊で作られることもある。
*2 1リーグは約3マイル。
*3 割れたひづめ(ヤギの足など)は悪魔の特徴。
*4 別バージョンでは「残してきた赤ちゃんに二度と会えなくなった」という理由で泣いていることが多い。
*5 スコットランドでカトリックが優勢だったころの名残り?それとも単に憧れの旅行先として名が出ただけ?
*6 thon=yonのスコットランド方言。

text & tune: スコットランドに由来し、英語圏に膨大なバージョンとともに伝わる民謡。

アメリカ版である「家大工」に比べると、女の不実さと、恋人の魔性がより強調された内容になっている。



Too Long in This Condition(CDのみ)

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by CockRobin96 | 2018-04-24 10:33 | Trackback | Comments(0)

Riddles Wisely Expounded《解き明かされた謎々(賢女問答)》


There were three sisters in the north
Lay the bend to the bonny broom
And they lived in their mother's house
And you'll beguile a lady soon
北国に三人の姉妹がいた
(愛らしいほうきに反(そ)り身(み)を寝かせよ)*1
母親の家にいっしょに住んでいた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

There came a man one evening late
Lay the bend to the bonny broom
And he came knocking at the gate
And you'll beguile a lady soon
ある晩遅くにひとりの男がやって来た
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
そして門を叩いた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

The eldest sister let him in
Lay the bend to the bonny broom
And locked the door with a silver pin
And you'll beguile a lady soon
長女が男を迎え入れ
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
銀のくさびでドアを封じた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

The second sister made his bed
Lay the bend to the bonny broom
And laid soft pillows 'neath his head
And you'll beguile a lady soon
次女が男のためにベッドを整え
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
男の頭の下に柔らかな枕を置いた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり))

The youngest sister, fair and bright
Lay the bend to the bonny broom
She lay beside him all through the night
And you'll beguile a lady soon
輝くようにうるわしい末娘が
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
夜通し男のかたわらに寝た
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

And in the morning, come the day
Lay the bend to the bonny broom
She said, "Young man, will you marry me?"
And you'll beguile a lady soon
朝になって一日が始まると
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
末娘は言った、「お若いお方、わたくしと結婚してくださる?」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

And he said, "Yes, I'll marry thee
Lay the bend to the bonny broom
If you can answer this to me"
And you'll beguile a lady soon
男は言った、「よろしい、結婚しよう、
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
わたしの出す謎かけに答えられたならね」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"What is greener than the grass?
Lay the bend to the bonny broom
And what is smoother than the glass?"
And you'll beguile a lady soon
「芝生よりも緑色なのは何?」
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「そして芝生よりも滑らかなのは何?」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"What is louder than a horn?
Lay the bend to the bonny broom
And what is sharper than a thorn?"
And you'll beguile a lady soon
「角笛よりもうるさいのは何?」
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「いばらよりも鋭いのは何?」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"What is deeper than the sea?
Lay the bend to the bonny broom
And what is longer than the way?"
And you'll beguile a lady soon
「海より深いのは何?」
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「道より長く続くのは何?」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"Envy's greener than the grass
Lay the bend to the bonny broom
Flattery's smoother than the glass"
And you'll beguile a lady soon
「芝生より緑色なのは『嫉妬』」*2
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「芝生より滑らかなのは『お世辞』」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"Rumor's louder than a horn
Lay the bend to the bonny broom
Slander's sharper than a thorn"
And you'll beguile a lady soon
「角笛よりうるさいのは『噂』」
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「いばらより鋭いものは『中傷』」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

"Regret is deeper than the sea
Lay the bend to the bonny broom
But love is longer than the way"
And you'll beguile a lady soon
「海より深いのは『後悔』」
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
「道よりもなお長く続くのは『愛』」
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

The eldest sister rang the bell
Lay the bend to the bonny broom
She rang it from the highest hill
And you'll beguile a lady soon
長女は鐘を鳴らした
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
一番高い丘の上でそれを鳴らした
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

The second sister made the gown
Lay the bend to the bonny broom
She sewed it of the silk so fine
And you'll beguile a lady soon
次女は上着を仕立てた
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
とても上等なシルクで縫いあげた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

The youngest sister, true and wise
Lay the bend to the bonny broom
They've made of her a lovely bride
And you'll beguile a lady soon
誠実で賢い末娘
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
みんなは彼女を愛らしい花嫁に仕立てた
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

And now fair maids, I bid adieu
Lay the bend to the bonny broom
These parting words I'll leave with you
And you'll beguile a lady soon
今こそ、うるわしいおとめたちよ、お暇(いとま)しましょう*3
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
お別れの言葉をあなたがたに残して参りましょう
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

May you always constant prove
Lay the bend to the bonny broom
Unto the one that you do love
And you'll beguile a lady soon
あなたがたは常に証し続けることができますか
(愛らしいほうきに反り身を寝かせよ)
ただひとりの人への愛を
(お前はもうじき女をたぶらかすつもり)

*1 bend(bent)はイネ科の雑草、broomはエニシダと解釈されることもある。またエニシダを束ねてほうきにすることもある。しかし、bend(そりかえったもの、ゆみなりになったもの、のけぞるもの)を男性自身、ほうきを女性自身と解釈し、共寝を暗喩するエロチックなフレーズと解釈することができる。後に、ペンタングルによって《残酷な姉》に引用されることになる。Riddles Wisely Expoundedでは末娘が二人の姉に祝福されているのに対し、こちらでは嫉妬に燃えた姉によって妹が殺害される物語になっている。

*2 緑色は古くから嫉妬を表す色とされる。おそらく、「隣の芝生は青く見える(The grass is always greener on the other side of the fence.)」ということわざが大元。
「お気をつけなさい、将軍、嫉妬というやつに。こいつは緑色の目をした怪物で、人の心を餌食とし、それをもてあそぶのです。」(「オセロー」第三幕三場・小田島雄志訳)
*3 ここから先は歌い手のセリフになっている。

text & tune: イギリス民謡

チャイルド・バラッド第一番。騎士が実は悪魔で、娘たちをたぶらかしに来たというバージョンもある。その場合は、「女より悪いものは何?」「悪魔」と言われ、正体を現して逃げてゆく。この場合はFalse Knight《偽騎士問答》とも呼ばれる。また、サイモン&ガーファンクルで有名な民謡Scarborough Fair《スカボロー・フェア》で、互いに絶対不可能な難問を出し合うというものもある。

Anaïs Mitchell & Jefferson Hamer
収録アルバム: Child Ballads

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by CockRobin96 | 2018-02-27 22:09 | Trackback | Comments(0)

The Great Selkie《グレート・セルキー(大アザラシの精)》


An earthly nurse sits and sings,
and aye she sings by the lily wean
sayin "little ken I my bairn's father,
far less the land where he dwells in.
平凡な子守り女が座って歌っていた
白百合のような幼な子のそばで歌う
「この子の父親がちらりとでも見たい
 あの人の住むところには陸地がほとんどない」

For he came on night to her bed,
and a grumbly guest, I'm sure was he,
saying "here I am, I, thy bairn's father,
Although I be not comely."
男がある夜、女のベッドへやってきた、
うろんなこのお客こそ、その人だとわかった
「俺だ、おまえの子の父親だ、
 美しくなかろうともな」

"I am a man, upon the land,
I am selkie on the sea,
and when I'm far, and far frae land,
my home it is in Sule Skerry."
「俺は陸の上では人間の男、
 海の中ではセルキー、
 俺は陸地から遠く、遠く離れたところに住む
 俺のすみかこそはスール・スケリー」*1

And he had taken a purse of gold
and he had placed it upon her knee
saying "give to me my little young son,
and take thee up thy nurse's fee.
そして男は持ってきた金貨入りの財布を
女の膝の上に置いた
「俺の幼い息子を渡せ、
 そしてお前の養育費を受け取るがいい」

and it shall come to pass on a summer day,
when the sun shines bright on every stone,
I'll come and fetch my little young son
and teach him how to swim the foam."
「いつかある夏の日にやってくる、
 日光が全ての岩を照らす頃、
 俺は幼い息子を連れて帰ってくるだろう、
 そして泳ぎ方を教えるのだ」

"I am a man, upon the land,
I am a selkie on the sea,
and when I'm far from every strand
my home it is in Sule Skerry."
「俺は陸の上では人間の男、
 海の中ではセルキー、
 俺はあらゆる岸辺から遠く離れたところに住む
 俺のすみかこそはスール・スケリー」

"And ye shall marry a gunner good,
and a right fine gunner I'm sure he'll be,
and the very first shot that e'er he shoots
will kill both my young son and me."
「お前は銃の名手と結婚する
 きっと素晴らしい射手だろう
 その男が撃つときはいつでも命中する
 それが息子と俺を殺すだろう」

"I am a man upon the land,
I am a selkie on the sea,
and when I'm far, far, far from land,
my home it is in Sule Skerry."
「俺は陸の上では人間の男、
 海の中ではセルキー、
 俺は陸地から遠く、遠く、遠く離れたところに住む
 俺のすみかこそはスール・スケリー」

*1 スール・スケリー(スール岩礁)は、スコットランドの北方にある小島。

text & tune: アイルランド及びスコットランドの民謡をCecil Corbelがアレンジしたもの。

セルキーとはアイルランド・スコットランドに伝わる伝説で、アザラシの皮を脱ぎ着することで人間になったりアザラシになったりすることができる存在。白鳥処女説話、異類婚姻譚の一種。陸の人間と出会って夫婦になることもあるが、最後は別離で終わるのがお約束となっている。女は総じて美しいが、男は美しいとされることもあれば醜いとされることもある。北欧にも似た伝説がある。北欧の少数民族やイヌイットなどの、アザラシの皮を衣類として使う人々をアザラシの精と解釈したという説もある。



セシル・コルベル
収録アルバム: SongBook vol.2

ちなみにBamdCamp(投げ銭機能があるデジタルミュージックサイト)にもある。

おまけ:セルキー伝説をベースに制作されたアイルランドのアニメ。セルキーの母親を持つ兄と妹のアドベンチャー。劇中歌として《デュラマン》も登場する。


スカパー!

冬の5大テーマ祭り「アニメ」をもっと見る

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by CockRobin96 | 2018-02-24 09:35 | Trackback | Comments(0)

Steamboat Bill《蒸気船ビル》



Down the Mississippi steamed the Whipper-will,
commanded by that pilot, Mister Steamboat Bill.
The owners gave him orders on the strick Q. T.,
to try and beat the record of the "Robert E. Lee."
ミシシッピをシュッシュと進んでいくはホイッパーウィル号、*1
操る操縦士はミスター・蒸気船ビル。
オーナーが彼にきつく命じた指令とは、*2
「ロバート・E・リー」号の記録を破ること。*3

Just feed up you fires, let the old smoke roll,
Burn up all your cargo if you run out of coal.
If we don't beat that record, Billy told the mate,
"send mail in care of Peter to the Golden gate."
火をおこせ、蒸気をあげろ、*4
石炭を切らしたら積み荷を燃やしちまえ、*5
「もしも記録を破れなかったら」、ビルは仲間に言ったもんだ
「聖ペテロ様気付で天国の門まで送り付けちまうぞ!」ってね*6

Steamboat Bill, steaming down the Mississippi,
Steamboat Bill, a mighty man was he.
Steamboat Bill, steaming down the Mississippi,
going to beat the record of the "Robert E. Lee."
蒸気船ビル、ミシシッピをシュッシュとくだる、
蒸気船ビル、すごいやつだよ。
蒸気船ビル、ミシシッピをシュッシュとくだる、
「ロバート・E・リー」号の記録を破るため。

Up then stepped a gambling man from Louisville,
who tried to get a bet against the Whipperwill.
Billy flashed a roll that surely was a bear,
the boiler, it exploded, blew them up in the air.
ここにまかり出たのはルイスヴィル出のばくち打ち、
ホイッパーウィル号の負けに賭けたやつ。
ビリーが皮算用で大枚を貼りこんでると、*7
ボイラーが爆発して、二人を空中に吹き飛ばした。

The gambler said to Billy as they left the wreck,
"I don't know where we're going, but we're neck in neck."
Says Bill to the gambler, "I'll tell you what I'll do,
I will bet another thousand I'll go higher than you."
船の残骸を下に見つつ、ばくち打ちがビルに言う、
「この後どうなるかはわからないけど、俺らは首差ってとこだね」*8
ビルがばくち打ちに言うことには、「どうなるか聞かせてやらあ」
「俺がお前より高く飛ぶ方にもう1000ドル賭けるぜ」

Steamboat Bill, he tore up the Mississippi,
Steamboat Bill, the tide it made him swear.
Steamboat Bill, he tore up the Mississippi,
the explosion of the boiler got him up in the air.
蒸気船ビル、ミシシッピで木っ端みじん、
蒸気船ビル、これは彼の身に確かに起こったこと。*9
蒸気船ビル、ミシシッピで木っ端みじん、
ボイラーの爆発で空中まで舞い上がった。

River's all in mourning now for Steamboat Bill,
no more you'll hear the puffing of the Whipperwill,
There's crape on ev'ry steamboat that plows those streams,
from Memphis right to Natchez down to New Orleans.
全流域が今や蒸気船ビルのために喪に服す、
ホイッパーウィル号の汽笛ももう聞こえることはない、
川に浮かぶ全ての蒸気船が喪章をつけた、
メンフィスからナッチェズ、ニュー・オーリンズまでも。

The wife of Mister William was at home in bed,
When she got the telegram that Steamboat's dead.
Says she to the children, "Bless each honey lamb,
the next papa that you will have will be a railroad man."
ウィリアム氏の奥さんはベッドの中だった、
蒸気船ビルの死の知らせを受け取ったときは。
奥さんは子供たちに言う、「かわいい子羊ちゃんたち、
次のパパは鉄道マンにするわ」

Steamboat Bill, missing on the Mississippi,
Steamboat Bill, is with an angel band,
Steamboat Bill, missing on the Mississippi,
he's a pilot on the ferry in that Promised Land.
蒸気船ビル、ミシシッピでミッシング(消え去った)、
蒸気船ビル、天使の楽隊と共にゆく、*10
蒸気船ビル、ミシシッピでミッシング、
彼は今や「約束の地」でフェリーの操縦士さ。*11

*1 whipperは「鞭打つ人」、willは「意志」とウィリアム(ビル)の愛称ウィルのダブルミーニング。
*2 Q.T.はquite(全く、まるっきり、とても)の略。
*3 ロバート・E・リーは南北戦争時代の名将。敗軍である南軍側であったが、温和な人柄を慕われ、その名を冠した施設やモニュメントがたくさん作られた。
*4 the old smoke rollの意味はよくわからなかった。もしかするとsmokeは蒸気、let's rollは「さあ始めよう!」という意味がある。
*5 ここもこの訳であってるかどうかちょっとわからない。
*6 ペテロはキリスト教における十二使徒の筆頭。天国の鍵を預かる門番とされる。つまり、「殺すぞテメー!」って言ってる。


*7 flashed a roll=札束をチラ見せする。bearは日本でいうところの「捕らぬ狸の皮」。Don't sell the bearskin before you've caught the bear(熊を捕る前に毛皮を売るな)という諺から。
*8 neck and neckとも。競馬用語。
*9 ここもこの訳であってるかよくわからない。tideは潮の流れ、傾向、風向き。特に人生のクライマックス。swearは神に誓って断言する、または罰当たりなことを言う。
*10 同様の表現が黒人霊歌にある。


*11 約束の地とはもちろん天国のこと。

text & tune: アメリカ民謡

世にも有名な「蒸気船ウィリー」でミッキーが吹く口笛の旋律は、この《蒸気船ビル》のものである。ウィリーもビルもビリーも「ウィリアム」の愛称のひとつ。
当時すでに時代遅れだった蒸気船を皮肉る歌でもあり、喜劇王バスター・キートンが「キートンの蒸気船」で昔気質の父親と軟弱シティーボーイの息子の対比として取り上げている。『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』では、ディズニーの「蒸気船ウィリー」は「キートンの蒸気船」のさらなるパロディであったとしている。
今気づいたけど、一番最初のミッキーって手袋してないんだな。

Arthur Collins
収録アルバム: The King of the Ragtime Singers - The Best Of Arthur Collins




おまけ:


フィギュアねんどろいど ミッキーマウス 1928Ver.(シロクロ) 「蒸気船ウィリー」

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by CockRobin96 | 2018-02-06 21:58 | Trackback | Comments(0)

House Of The Risin' Sun《朝日のあたる家》Bob Dylan


There is a house in New Orleans
They call the Rising Sun
It's been the ruin of many a-poor girl
And me, oh God, I'm one
その家はニュー・オーリンズにあって*1
「日の出館」と呼ばれてる
そこはたくさんの哀れな娘が身を持ち崩したところ
そしてあたしも、ああ神様、そのひとりなの

My mother was a tailor
She sewed my new blue jeans
My sweetheart was a gambler
Down in New Orleans
あたしの母さんは仕立て屋だった
あたしに新しい青い作業着を縫ってくれた*2
あたしの愛しい人はギャンブラーで
ニュー・オーリンズにいりびたり

Now the only thing a gambler needs
Is a suitcase and a trunk
And the only time he's satisfied
Is when he's on a drunk
ギャンブラーに必要なものはたったこれだけ
スーツケースひとつにトランクひとつ
彼が満たされるときは
お酒におぼれているときだけ

He fills his glasses up to the brim
And he'll pass the cards around
And the only pleasure he gets out of life
Is ramblin' from town to town
グラスのふちまで酒を満たし
つぎからつぎへとカードをめくる
こんな生活から抜け出すことが唯一の望み
街から街へと流れていく暮らしから

Oh tell my baby sister
Not to do what I have done
But shun that house in New Orleans
They call the Rising Sun
ああ、妹ちゃんに話してやって
あたしがしでかしたようにしちゃいけないと
ニュー・オーリンズのあの家には近づいちゃダメ
「日の出館」と呼ばれるところには

Well it's one foot on the platform
The other foot on the train
I'm goin' back to New Orleans
To wear that ball and chain
あたしの片足は駅のホームに
もう片足は列車に
ニュー・オーリンズへ戻らなくちゃ
鉄球と鎖につながれるために

I'm a goin' back to New Orleans
My race is almost run
I'm goin' back to end my life
Down in the Rising Sun
ニュー・オーリンズへ戻らなくちゃ
あたしの道のりはもう終わりにきてる*3
あの暮らしに戻らなくちゃ
「日の出館」に身を沈めて

There is a house in New Orleans
They call the Rising Sun
It's been the ruin of many a-poor girl
And me, oh God, I'm one
その家はニュー・オーリンズにあって
「日の出館」と呼ばれてる
そこはたくさんの哀れな娘が身を持ち崩したところ
そしてあたしも、ああ神様、そのひとりなの

*1 ニュー・オーリンズはアメリカはルイジアナ州の最大の都市。オーリンズという地名はオルレアンに由来し、当初はフランス領だった。ジャズ発祥の地であり、観光地として名高い一方で、海抜の低さとハリケーンによる水害を毎年のように被っている。あと治安の悪い地域もあるので観光の際はお気をつけて。
*2 ブルージーンズは「ブルーのデニム生地で作ったズボン」を指す。現在は日常のオシャレ服となっているが、19世紀頃のアメリカでは作業着扱い。おっかさんは肉体労働者として働きに出る娘のために作業着を作ってくれたわけであるが、娘が苦界入りしたのちは着られなくなったと思われる。
参考:写真で見るジーンズの歴史

*3 英国の詩人Alaric Alexander Watts (1797–1864) の作品に、「My race is almost run, my days are nearly done,...(わが道のりはもう終わりに来ている、わが日々はもはや終わりに来ている…)」で始まる詩がある。

text & tune: アメリカ民謡。現存する最古の録音はClarence "Tom" Ashleyによる1933年。

The Risin' Sunは「朝日楼」とも訳される(浅川マキの日本語歌詞など)。「楼」は日本の遊郭などで「〇〇店」みたいに使われる(角海老楼とか夕霧楼とか)。いかにも希望に満ちた名とは裏腹に、女郎宿に身売りして娼婦となった女性が半生を懺悔するという内容の歌詞だが、イギリスのロックバンド「アニマルズ」による主人公を少年にしたバージョンの方が知られるようになった。この場合、「日の出館」は少年院とも男娼窟ともされる。バージョンによっては、母が言い聞かせたにもかかわらず父と同じくギャンブルで身を持ち崩し、借金返済のために「日の出館」で働くことを強いられていることになっている。
ずっと閉じ込められているわけではなく、里帰りもできるらしい…恋人に売られたのか、恋人の借金をなんとかしようと自ら身売りしたのかは不明。

参考:いろんな人が歌う「朝日のあたる家」



ボブ・ディラン
収録アルバム: Only! Bob Dylan



駿河屋スタッフ募集中

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by CockRobin96 | 2018-01-16 12:30 | Trackback | Comments(0)

King Henry《ヘンリー王》


Let never a man a-wooing wend
That lacketh thinges three
A store of gold, an oaken heart,
And full of charity
男は決して女を口説いてはならぬ
これら三つのものが欠けているならば
金銭の貯え、オークのように堅固な心、*1
そして溢れる慈愛

And this was seen of King Henry
Though he lay quite alone
For he's taken him to a haunted hall
Seven miles from the town
これはヘンリー王にあったこと
王は長らく独り寝の身だった
王は幽霊屋敷へ向かっていた*2
街からは7マイルも離れたところへ

He's chased the deer now him before
And the doe down by the den
Till the fattest buck in all the flock
King Henry he has slain
王は鹿の後ろを追いかけ
雌鹿を巣穴へ追い込んだ
群れの中で一番太った鴨を
ヘンリー王は討ち取った

His huntsmen followed him to the hall
To make them burly cheer
When loud the wind was heard to sound
And an earthquake rocked the floor
王の狩人達は王に従って館(やかた)へ向かい
野太い歓声をあげた
猛る風の音が聞こえたとき
地震が床を揺らした

And darkness covered all the hall
Where they sat at their meat
The grey dogs, yowling, left their food
And crept to Henry's feet
暗闇が館を覆い
皆が肉料理の前に座っているところへ
猟犬たちは遠吠えをしながら、エサも食べずに*3
ヘンリーの足にまとわりついた

And louder howled the rising wind
And burst the fastened door
And in there came a grisly ghost
Stamping on the floor
吠え猛る風がわき起こり
戸締まりしていた扉が破られた
入ってきたのは不気味な亡霊
どすんどすんと床を踏みならしながら

Her head hit the roof tree of the house
Her middle you could not span
Each frightened huntsman fled the hall
And left the King alone
女の頭は屋敷の梁にぶちあたり、
女の腹にすら男達は背が届かなかった
狩人達はみな怯えきって館から逃げ去り
王ひとりが残された

Her teeth were like the tether stakes
Her nose like club or mell
And nothing less she seemed to be
Than a fiend that comes from Hell
女の歯は縄でつないだ杭のよう
女の鼻は棍棒か木槌のよう
彼女のようなものは見たことがない
地獄から来た悪霊でもなければ

"Some meat, some meat
You King Henry, some meat you give to me
Go kill your horse, you King Henry,
And bring him here to me."
「肉だよ、肉だよ、
 ヘンリー王よ、肉をおくれ
 あんたの馬を殺せ、ヘンリー王よ
 そしてあたしに持ってくるんだよ」

He's gone and slain his berry brown steed
Though it made his heart full sore
For she's eaten up both skin and bone
Left nothing but hide and hair
王は行って一番の栗毛馬を屠った
心が嘆きでいっぱいになっても
女は薄皮も骨も平らげて
大皮とたてがみの他は残らなかった

"More meat, more meat
You King Henry, more meat you give to me
Go kill your greyhounds, King Henry,
And bring them here to me."
「もっと肉を、もっと肉を
 ヘンリー王よ、もっと肉をおくれ
 行ってあんたの猟犬を殺せ、ヘンリー王
 そしてあたしにもってくるんだよ」

And when he's slain his good greyhounds
It made his heart full sore
For she's eaten up both skin and bone
Left nothing but hide and hair
そこで王は上等の猟犬たちを屠った
心は嘆きでいっぱいになった
女は薄皮も骨も平らげて
大皮と毛の他は残らなかった

"More meat, more meat
You King Henry, more meat you give to me
Go fell your goshawks, King Henry,
And bring them here to me."
「もっと肉を、もっと肉を
 ヘンリー王よ、もっと肉をおくれ
 行ってあんたの鷹たちを降ろせ、ヘンリー王
 そしてあたしにもってくるんだよ」

And when he's slain his gay goshawks
It made his heart full sore
For she's eaten them up, both skin and bone,
Left nothing but feathers bare
そこで王は元気な鷹たちを屠った
心は嘆きでいっぱいになった
女は薄皮も骨も平らげて
わずかな羽毛の他は残らなかった

"Some drink, some drink
Now King Henry, some drink you give to me
Oh you sew up your horse's hide
And bring in a drink to me."
「飲み物だよ、飲み物だよ、
 さあヘンリー王よ、飲み物をおくれ
 馬の大皮を縫い合わせて
 それに入れた飲み物を持ってくるんだ」

And he's sewn up the bloody hide
And a pipe of wine put in
And she drank it up all in one draught,
Left never a drop therein
そこで王は血まみれの大皮を縫い合わせて
ワインを樽ごと中にあけた
女は一息でそれを飲み干し
一滴も残らなかった

"A bed, a bed now, King Henry,
A bed you'll make for me
Oh you must pull the heather green
And make it soft for me."
「寝床だ、さあ寝床だよ、ヘンリー王
 あたしのためにベッドをこしらえるんだよ
 ヘザーの若木を引っこ抜いてきて*4
 あたしのために柔らかくしなきゃいけないよ」

And pulled has he the heather green
And made for her a bed
And taken has he his gay mantle
And over it he has spread
王はヘザーの若木を引っこ抜いてきて
女のための寝床をこしらえた
きらびやかなマントをとってきて
その上を覆った

"Take off your clothes now, King Henry
And lie down by my side
Now swear, now swear, you King Henry
To take me for your bride."
「衣を脱ぐんだよ、ヘンリー王よ
 そしてあたしの隣に寝るんだよ
 誓え、誓え、ヘンリー王よ
 あたしをあんたの花嫁にすると」

"Oh God forbid," said King Henry
"That ever the like betide
That ever a fiend that comes from Hell
Should stretch down by my side."
「滅相もないことだ」とヘンリー王が言った*5
「まさかこんなことがおころうとは
 まさか地獄から来た悪霊が
 わたしの傍らで大の字になろうとは」

When the night was gone and the day was come
And the sun shone through the hall
The fairest lady that ever was seen
Lay between him and the wall
夜が去り朝が来て
太陽が館を照らした
見たこともない美しい貴婦人が
王と壁のあいだに横たわっていた

"I've met with many a gentle knight
That gave gave me such a fill
But never before with a courteous knight
That gave me all my will."
「わたくしはたくさんの優しい騎士様にお会いしました
 わたくしを満たしてくださるお方を
 でもついぞ思いやりある騎士様はいませんでした
 わたくしの思うところを与えてくださったお方は」

*1 オークはナラ、カシなどの総称。非常に頑丈であるとされ、「oaken(オーク製)」は「オークのようにたくましく頑丈」という意味を含む。英国海軍にもHeart of Oak《オークの心》という公式行進曲がある。
*2 hallは広間という意味の他、大邸宅をも指す。かつて英国の富裕層は王宮がある都市にtown house、自分の領地にcountry houseを持つのが普通だった。この場合は狩で遅くなって、幽霊屋敷に泊まる羽目になった。
*3 grey hound(dog)は灰色の犬ではなく、グレイハウンドという種の猟犬。greyは本来雌の意。すらりと細いスタイルと俊足で知られる、特権階級の象徴のような犬。
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*4 ヘザーは荒れ野(ヒース)に繁殖するギョリュウモドキなどエリカ属の野草の総称。赤紫色の花をつける。ハーブとしても使う。
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*5 直訳すると「神に呪われた」「神に禁じられたことだ」だが、「滅相もない」「そんなことあってたまるか」という意味の慣用句。

text & tune: イギリス民謡

大事なペットを全部犠牲にした結果が美女ひとりって割にあわない気がするがどうだろう。

チャイルドバラッド第32番。このヘンリー王のモデルは、百年戦争でフランスに勝利し、フランス王女キャサリン・オブ・ヴァロワと結婚してフランスをも支配したヘンリー5世とされる。(ただしふたりの息子ヘンリー6世の精神異常が原因で薔薇戦争が勃発し、王朝が断絶した)
また、スコットランドの民話「The Daughter Of King Under-Waves(海底の王の娘)」もモチーフであるとされる。
もっとも古い元ネタとしては、アイルランド神話の英雄ナイルとアイルランドの跡継ぎの姫の物語でもあろうか。
馬や猟犬たちは百年戦争で犠牲になった兵士達、呪いが解かれた貴婦人はフランスの支配権の暗喩と見ることもできる。

「Loathly lady(忌まわしい女・嫌でたまらない女)との結婚」というテーマは古くから世界中にあるが、なぜか15世紀にイギリスで流行した。類話に「The Wedding of Sir Gawain and Dame Ragnelle(ガウェイン卿とラグネル姫の結婚)」がある。カンタベリー物語の「バースの女房の話」はこのガウェイン卿の話。女性の意思を尊重することに主題が置かれているというのが非常に特異な物語でもある。
似たような話としては、日本の民話「姥皮(うばかわ)」がある。美少女が継子いじめに遭い、その美貌故にやっかいごとに巻き込まれぬようにと老婆の姿に化けられる「姥皮」を乳母からもらって放浪の旅に出る。雇われた先で、姥皮を脱いでいるときにその家の若旦那に見初められ、嫁に迎えられてめでたしめでたしとなる。でもたまたま美少女の姿を見なかったら絶対結婚してない。「鉢かづき」もこの系統だが、これは本人の信仰心により呪いが解かれる。
逆バージョンとして、男性が呪われた姿となり女性によって呪いがとける「カエルの王さま」「タニシ息子」「美女と野獣」などもある。むしろこっちの方が多い。何故だ。

Steeleye Span
収録アルバム: Below The Salt

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by CockRobin96 | 2017-09-15 17:45 | Trackback | Comments(0)

Finnegan's Wake《フィネガン家のお通夜(フィネガンズ・ウェイク)》


Tim Finnegan lived in Walken' Street
A gentleman Irishman mighty odd;
He seen a brogue so soft and sweet
And to rise in the world he carried the hod
ティム・フィネガンはウォーケン通りに住んでいた
紳士で、アイルランド男で、かなりの変わり者
なまりも心地よい優男(やさおとこ)*1
レンガ箱を担いで世過ぎをしていた

Tim had a sort of a tipplin' way
With a love of the liquor now he was born
To help him on with his work each day
Had a "drop of the cray-chur" every morn
ティムは飲み助といってもまあよかった
生まれてこの方酒が大好き
仕事の助けになるからと
毎朝「ウイスキーのひとしずく」をきこしめす*2

*Whack fol the da O, dance to your partner
Welt the floor, your trotters shake;
Wasn't it the truth I told you?
Lots of fun at Finnegan's wake!
*おっさんをひっぱたいて、パートナーとダンス、*3
 床を蹴飛ばし、足を振り振り
 俺のお喋りはほんとのことかな?
 フィネガン家のお通夜はお楽しみがいっぱい!*4

One mornin' Tim felt rather full
His head felt heavy which made him shake;
Fell from a ladder and he burst his skull
So they carried him home his corpse to wake
ある日ティムはしたたか飲み過ぎて
頭が重い気がしてかぶりを振ってみたら
はしごから落ちて頭蓋はめちゃめちゃ
それでみんなはお通夜のために遺体をティムの家に運び込んだ

Rolled him up in a nice clean sheet
Laid him out upon the bed;
A gallon of whiskey at his feet
A barrel of porter at his head
きれいで清潔なシーツでティムを包み
ベッドの上に寝かせてやり
足元にはウイスキー1ガロン
頭には黒ビールをひと樽*5

*Refrain
*繰り返し

His friends assembled at the wake
And Mrs. Finnegan called for lunch
First they brung in tea and cake;
Then pipes, tobacco and whiskey punch
友人一同がお通夜に集い
フィネガン夫人が昼食に招待
まずはみんなでお茶とケーキを持ち込み*6
それからパイプにタバコにウイスキーパンチ

Biddy O'Brien began to cry
"Such a nice clean corpse, did you ever see?
Tim mavournin, why did you die?"
Arragh, shut your gob said Paddy McGhee!
ビディ・オブライエンが泣き始めた*7
「こんなきれいな死体、見たことあって?
愛しいティム、どうして死んでしまったの?」*8
「あらまあ、お黙りよ」とパディ・マッギー

*Refrain
*繰り返し

Patty O'Connor took up the job
"Ah Biddy," says she, "You're wrong, I'm sure"
Biddy gave her a belt in the gob
Then left her sprawlin' on the floor
パティ・オコナーが仕事にかかった
「ああ、ビディったら」とパティ、「言い間違いよね、そうでしょ」
ビディはパティの口にベルトをぶっこみ
床に大の字にのしちゃった

Then the war did soon enrage
Woman to woman and man to man
Shillelagh-law was all the rage
And a row and a ruction soon began
それから戦いに火がついた
女は女に、男は男に、
みんなが怒鳴りあいいきりたち*9
すぐに罵りあいと喧嘩が始まった

Mickey Maloney lowered his head
And a bottle of whiskey flew at him
Missed, and fallin' on the bed
The liquor scattered over Tim!
ミッキー・マロニーが頭をかがめて
その上をウイスキー瓶が飛んでいく
それは外れてベッドに落ちて
お酒がティムにぶちまけられた!

Tim revives! See how he rises!
Timothy risin' from the bed
Sayin', "Whirl your liquor around like blazes
Thunderin' Jaysus! Do you thunk I'm dead?"
ティムが生き返った! ティムが起きてるよ!
ティモシーはベッドから起き上がって*10
言うことには、「そこら中お前らの酒でめちゃくちゃだ
とんでもねえこった! お前ら俺を死人だとでも思ってるのか!」

*Refrain
*繰り返し

*1 brogueは本来アイルランドやスコットランドで使われた頑丈な革靴。現在では穴飾りのあるオシャレ革靴。転じて、アイルランドなまり。
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*2 強い酒、特にウイスキーのことをcreatureと称し、さらになまってcray-churとも呼ぶ。
*3 恐らくは「whack for the daddy 'o」のこと。意味不明の囃し言葉。
*4 wakeは目覚める、起きているという意味だが、アイルランド地方では「通夜」「寝ずの番」を意味する(ずっとwakeしているから)。「死者が目覚める」ことにひっかけてもいる。
*5 porterは荷担ぎ人夫、転じてそのような労働者が好んで飲んでいた弱い黒ビール。
*6 brungはbringの過去形のなまり。フィネガン家の人が部屋に持ち込んだのか、友人達が自前で持ち込んだのかよくわからない。
*7 BiddyはBridget(ブリジット)の愛称だが、くちやかましいめんどり婆さんという意味もある。
*8 mavournin=my bonnie、my daringのこと。ゲール語の「mo mhuirnín」からきている。
*9 Shillelaghは本来ステッキがわりに使うコブのついた杖。Shillelagh-lawは口げんか、ののしりあいのこと。
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*10 ティムは元々ティモシーの愛称。
*11 Thundering=雷鳴が轟く音、転じて「ものすごく」という意味のスラング。 Jaysus=Jesus。英米人がよく言う「南無三!」。

text & tune: アイルランド民謡

また酒の歌か。

The Irish Rovers
収録アルバム: The Irish Rovers 50 Years - Vol. 1


おまけ

「ダブリン市民」「ユリシーズ」で知られるアイルランド人作家ジェイムズ・ジョイスの最後の小説。
死亡したが復活したティム・フィネガンを、原罪による転落からキリストの復活へ至る人類の象徴と見立て、ある一家族の物語を描くと見せかけて円環する人類の意識そのものを描こうとする一方で、神話だの言葉遊びだの当て字などを入れまくってふざけまくっているという、とっても難解な小説。
タイトルがFinnegan's WakeではなくFinnegans Wakeとなっているのは、「フィネガンたち」という意味を含んでいる。
このバージョンでは生き返ったティムはまた棺に戻される…らしい。
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by CockRobin96 | 2017-08-05 14:26 | Trackback | Comments(0)