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Drop, Drop, Slow Tears《平和の主の御足に》


Drop, drop, slow tears,
And bathe those beauteous feet,
Which brought from Heav'n the news
And Prince of Peace.
ぽたり、ぽたりと滴る涙、
そのうるわしい御足(みあし)を濡らす。
それは天から知らせを携えてきた、
平和の君の御足。*1

Cease not, wet tears,
His mercies to entreat;
To cry for vengeance: Sin
doth never cease.
絶えまなく、涙に濡れる、
主の憐れみを嘆願するために。
報いを求めて泣き叫ぶために、
絶えることない罪の行いに。

In your deep floods
Drown all my faults and fears;
Nor let His eye see Sin,
but through my tears.
あなたの深い大水で、
わたしの過ちと怖れは皆溺れ死ぬ。
主の目がわたしの罪を見給わぬように、
だが流れる涙はご覧ください。

*1 キリストの別称のひとつ。「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、「驚くべき指導者、力ある神/永遠の父、平和の君」と唱えられる。」(イザヤ書9:5)

text: Phineas Fletcher (1582-1650)
tune: Orland Gibbons (1583-1625)

この町に一人の罪深い女がいた。
イエスがファリサイ派の人の家に入って食事の席に着いておられるのを知り、香油の入った石膏の壺を持って来て、後ろからイエスの足もとに近寄り、泣きながらその足を涙でぬらし始め、自分の髪の毛でぬぐい、イエスの足に接吻して香油を塗った。
イエスを招待したファリサイ派の人はこれを見て、
「この人がもし預言者なら、自分に触れている女がだれで、どんな人か分かるはずだ。罪深い女なのに」と思った。(中略)
「この人を見ないか。
わたしがあなたの家に入ったとき、あなたは足を洗う水もくれなかったが、この人は涙でわたしの足をぬらし、髪の毛でぬぐってくれた。
あなたはわたしに接吻の挨拶もしなかったが、この人はわたしが入って来てから、わたしの足に接吻してやまなかった。
あなたは頭にオリーブ油を塗ってくれなかったが、この人は足に香油を塗ってくれた。
だから、言っておく。
この人が多くの罪を赦されたことは、わたしに示した愛の大きさで分かる。
赦されることの少ない者は、愛することも少ない。」
そして、イエスは女に、
「あなたの罪は赦された」と言われた。
同席の人たちは、
「罪まで赦すこの人は、いったい何者だろう」と考え始めた。
イエスは女に、
「あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい」と言われた。
(ルカによる福音書 第7章 37-50節)

イエスに香油を注ぐ女のエピソードは全福音書に共通するが、他のエピソードでは女は高価な香油の無駄遣いをとがめられているのに対し、「罪深い女」であることが問われているのは『ルカによる福音書』のみである。罪深い女は伝統的にマグダラのマリア(→《我らの過越》)と同一視される。

モリス商会のデザインによるコーンウォール州レイドックの聖ラドカ教会のステンドグラス
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日本語訳詞:
平和の
主の御足に
そそがばや
わが涙

わが主の
憐み乞わん
責むるもの
猛るなり

わが主よ
慈しみて
わが涙
覚えませ



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by CockRobin96 | 2015-03-13 23:07 | Trackback | Comments(0)

O Clap Your Hands《共に手を打ち鳴らせ》


O clap your hands together, all ye people;
おお、ともに手を打ち鳴らせ、全ての民よ、
O sing unto God with the voice of melody.
おお、神に向かって歌え、歌声でもって。
For the Lord is high and to be feared;
主は高貴にして畏れられる、
He is the great King of all the earth,
全地を支配される偉大な王なのだから。
He shall subdue the people under us,
主は人民をわたしたちのもとに、
and the nations under our feet.
諸国民をわたしたちの足もとに導かれる。
He shall choose out an heritage for us,
主はわたしたちのために嗣業(しぎょう)の地を選びだし、*1
ev'n the worship of the jacob,
ヤコブの誉れとさえなされる、*2
whom he loved.
主が愛されたヤコブのものと。

God is gone up with a merry noise,
神は昇られる、歓呼のうちに、
and the Lord with the sound of trumpet.
主は角笛の響きとともに昇られる。
O sing praises
おお、賛美して歌え、
unto our God:
わたしたちの神に向かって。
O sing praises
おお、賛美して歌え、
unto the Lord our King.
わたしたちの王なる主に向かって。
For God is the King of all the earth:
神は全地の王であると、
sing ye praises with the understanding.
心に留めて賛美して歌え。
God reifneth over the heathen:
神は異邦人らをも統治される、
God sitteth upon his holy seat.
神は座しておられる、その聖なる王座の上に。
For God, which is highly exalted,
神は高く、卓抜した方、
doth defend the earth,
地を守られる、
as it were with a shield.
盾持つ人のごとく。

Glory be to the Father, and to the Son,
栄光は父と子と
and to the Holy Ghost;
聖霊に、
As it was in the begining, is now,
始めのように、今も
and ever shall be,
そしてとこしえに
world without end, Amen.
世々に限り無く、アーメン。

*1 嗣業とは聖書独特の概念で、神からの賜わりものを指す。具体的には土地、財産。特に、神はアブラハムとその子孫に肥沃なカナンの地を与えると約束した。元々他民族が住んでたのをぶんどって神からもらったと言い張ってるという説もある。まあ混在・混血しただけという説もあるけど。なお、新約聖書では天国の方を指す。
*2 《マニフィカト》や《汝の天幕はいかに善きかな》でも解説した、ユダヤ人の祖先にして英雄にしてゲス野郎。「私は全能の神である。産めよ、増えよ。あなたから、一つの国民、いや多くの国民の群れが起こり あなたの腰から王達が出る。わたしは、アブラハムとイサクに与えた土地を あなたに与える。また、あなたに続く子孫にこの土地を与える。」(創世記35:11-12)

text: 詩編47:2-7
tune: Orlando Gibbons(1583-1625)

ヴォーン=ウィリアムズ及びラッターの同名合唱曲がある(ヴォーン=ウィリアムズ版は「Who he loved」まで)。crapとclapを間違えると大変なことになるぞ! 気をつけてね!
オーランド・ギボンズはイギリスにとって国民的な音楽家のひとりであり、チューダー朝の人物。オーランド・ブルームの名前の由来でもある。早熟で、弱冠21歳にして王室礼拝堂付きのオルガニストに就任。同時代のタリスやバードがカトリックの信仰を守り続けたのに対し、英国国教会のために英語を用いた音楽を創作し続け、英国独自の宗教音楽(アンセム)発展に貢献。宗教曲の他に世俗曲であるマドリガルもよく作った。墓はカンタベリー大聖堂にある。
この時期のイギリスの宗教曲の特徴として、アカペラ&何層も声部を重ねるというのがある(この曲も楽譜を見ればわかるが八声で歌う)。別にCDで聞いても構わないが、音響のいい礼拝堂などで生で聞くと、ミルフィーユ状に幾重にも重なった声がさらに反響して心地よい音の洪水を生み出す。極端な例にトーマス・タリスの《四十声のモテット》がある。

ラッター版

ヴォーン=ウィリアムズ版





ラッター版



ヴォーン=ウィリアムズ版


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by CockRobin96 | 2015-02-07 22:03 | Trackback | Comments(0)

This Is the Record of John《ヨハネの証はかくの如し》


This is the record of John,
when the Jews sent priests and Levites
from Jerusalem
to ask him:
Who art thou?
And he confessed and denied not,
and said plainly:
I am not the Christ.
ヨハネの証(あかし)はこうである、
ユダヤ人たちが司祭とレビ人を*1
エルサレムから遣わした、
彼に尋ねるために、
「あなたは誰だ?」と。
彼は公言して拒むことなく
はっきりと言った、
「わたしはキリストではない」と。

And he confessed and denied not,
and said plainly:
I am not the christ.
彼は公言して拒むことなく
はっきりと言った、
「わたしはキリストではない」と。

And they asked him:
What art thou then?
Art thou Elias?
And he said: I am not.
Art thou the prophet?
And he answer'd: No.
そこで彼らはヨハネに尋ねた、
「それではあなたは何なのだ?
 あなたはエリヤか?」*2
ヨハネは言った、「違う」と。
「あなたは預言者か?」
ヨハネは答えた、「否」と。

Then said they unto him:
What thou?
That we may give an answer unto them
that sent us.
What say'st thou of thy-self?
And he said: I am the voice of him
that crieth in the wilderness:
Make straight the way of the Lord.
そこで彼らはヨハネに向かって言った、
「あなたは何者だ?
 わたしたちは答えを持って行かなくては、
 わたしたちを遣わした人たちに。
 あなたは自分を何だと言うのだ?」
ヨハネは言った、「わたしは預言者の言う、
 荒れ野で叫ぶ声である、
『主の道をまっすぐにせよ』と。」

And he said:
I am the voice of him
that crieth in the wilderness:
Make straight the way of the Lord,
the way of the Lord.
ヨハネは言った、
「わたしは預言者の言う、
 荒れ野で叫ぶ声である。
『主の道をまっすぐにせよ』、
『主の道をまっすぐにせよ』と。」

*1 イスラエル神殿における祭司の一グループ。祭司職を司ったレビ族を源流とするとされ、初期は祭司と同義であった。旧約聖書『出エジプト記』に登場するモーセとその兄アロンはレビ族の出身で、アロンの直系子孫のみを大祭司と定めたため、傍系のレビ人は次第に下級の祭司あるいは神殿の下働きに転落していった。

*2 旧約聖書『列王記』に登場する重要な預言者。当時の王妃イゼベルが信仰する異教の神々の預言者たちと雨乞い合戦をして勝つが、イゼベルに憎まれ山に隠遁する。最後は火の馬がひく炎の戦車に乗って天へ上げられる。偉大な預言者として非常に重視され、救世主とともにエリヤの再来があると信じられた。

text: ヨハネによる福音書1:19-1:23
tune: Orland Gibbons (1583-1625)

呼びかける声がある。
主のために、
荒れ野に道を備え
わたしたちの神のために、
荒れ野に広い道を通せ。
谷は全て身を起こし、
山と丘は身を低くせよ。
険しい道は平らに、
狭い道は広い谷となれ。
(イザヤ書 第40章3節)

幼子よ、
お前はいと高き方の預言者と呼ばれる。
主に先立って行き、その道を整え、
主の民に罪の赦しによる救いを
知らせるからである。
(ルカによる福音書 第1章76-77節)

洗礼者ヨハネはイエスに先立って現れ、悔い改めを人々に促したとされる人物。イエスに洗礼を授けた。『ルカによる福音書』によれば、ヨハネの母エリサベトはイエスの母マリアの遠い親戚なので、ヨハネはイエスの親戚で半年ほど年長ということになる(→《ト音のマリアの賛歌》。身分の高い祭司の子でありながら、毛皮を着て野に暮らし、人々に洗礼を授けていた。ヘロデ大王の後をついだヘロデ・アンティパスとその兄嫁へロディアの結婚を批判し、ヘロディアに恨まれて斬首された。ということになっているが、単純にヘロデ・アンティパスのみによる政治的決断という説もある。
西洋美術では毛皮をまとい、イエスを象徴する子羊、あるいは十字架を持ち物とする。普通は伸びっぱなしの髪と髭を持つ原始人みたいにワイルドな成人男性として描かれるが、若く美しい少年や青年、あるいは聖家族の一員として幼児の姿で描かれることも少なくない。ダ・ヴィンチ、カラバッジョなどが美少年ヨハネ派である。どう見てもショタコンです本当にありがとうございました
ヘロディアは娘のサロメをそそのかし、ヨハネの首を所望させることでヨハネを殺害したが、男の首を持つ美女というグロテスクな画題は古くから人気があった(旧約聖書のユディトから流用がきくこともあって。同じポーズで二枚描けるじゃないか!)。オスカー・ワイルドはサロメを主役とし、首だけになった美青年に口づけする恐ろしい美女『サロメ』の戯曲を書いて一世を風靡した。

ラファエロ『荒野の洗礼者ヨハネ』
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by CockRobin96 | 2014-11-30 22:09 | Trackback | Comments(0)